ブレーキのパッドやローター交換後は「当たり付け」が必要
普段あまり意識していないかもしれないが、ブレーキパッドやローターもじつは代表的な消耗品のひとつ。
新品のブレーキパッドの摩擦材の厚みは10mmぐらい。
ローターもパッドとの摩擦で削れていくので、ローターの縁に刻印されている使用限度厚に達したら交換するしかない。ソリッドディスクなら新品-1mm、ベンチレートッドディスクなら新品-2mmが交換目安だ。
そして、交換時期が来て、パッドやローターを交換した場合、パッドとローターが馴染んで、接触面にきれいにアタリがつくように、いわゆる「当たり付け」が必要。とくにパッドだけを交換したときは、新品パッドの表面はきれいでも、ローター表面が荒れたままになっているので重要だ。

とはいえ、「当たり付け」はけして難しいことではなく、急制動や長い下り坂での使用を避けながら、一般道で200kmほど優しく丁寧なブレーキングを行なえばOK。新しいブレーキのフィーリングや利き方を確かめながら、走るのがコツ。はじめは利きが悪かったり、鳴きや異音が出ることもあるが、当たりがつけば解消するはず。
「当たり付け」の期間は、急激にローター温度を上げないことが一番のポイント。当たりがつく前に、ブレーキ温度を高温してしまうと、ローターを歪める原因となるので要注意。
サーキットで使用するスポーツパッドでも要領は同じ。

当日、ピットで新品パッドに交換するような場合は、最初の3~4LAPは全開時の70%ぐらいのペースで走り、ブレーキ踏力もフルブレーキ時の7割ぐらいに押さえて走るようにしよう。
サーキット用パッドも、新品のパッドをつけて、急激にローター温度を上げるのはNG。コースインしたら、周囲のクルマに気を遣いつつ、3~4周かけて徐々に温度を上げていくように走り、その後、一度ピットインして10分以上は自然冷却でブレーキを冷まそう。そうすることで、ローター表面にパッドの被膜がまんべんなく形成され、ブレーキの利きが安定する。ローターを新品に交換するときも同じように「当たり付け」を行なう。

使用歴のあるローターを継続して使い場合、できればローターを研磨して、表面の凸凹を削っておくと、よりきれいな当たりがつくのでおすすめだ。