手っ取り早く販売実績につなげるには流行りのSUVが適している

電気自動車(EV)の市場導入に際して、SUV(スポーツ多目的車)が多い理由は、SUVがいまもっとも売れ筋の車種だからだ。まだ車種のそろわないEVを着実に販売実績にむすびつけるには、SUVのほうが売りやすいだろう。



くわえて、最低地上高の高いSUVは未舗装路を走行する可能性が考えられ、駆動力制御により的確な路面保持をさせるうえでは、エンジン車よりモーター駆動のほうが適している。

理由は、エンジンに比べモーターのほうが約100分の1秒の速さできめ細かく駆動力調整できるので、タイヤがいっそう滑りにくくなるからだ。



そのうえで、SUVは床下に駆動用のリチウムイオンバッテリーを搭載しやすいという見栄えの理由もある。SUVは、そもそも車高が高めのため、外観的に床下に搭載されるリチウムイオンバッテリーぶんが造形上かさ上げになっても、車両全体の見栄えが崩れにくい。また、万一床をこするような路面状況に出会っても、セダンやハッチバックなどに比べ床下にあるバッテリーパックへの損傷を少なく抑えられる安心感もある。



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たとえば、2年前に来日したメルセデス・ベンツのデザイナーは、「SUVのEVは造形しやすい」と語り、逆に、「4ドアセダンのSクラスなどは、床下に車載するリチウムイオンバッテリー分のかさ上げにより、窓ガラスより下の車体部分の厚みが増してしまうのを、どのように調和した外観として仕上げるか、工夫が必要だ」と語っている。そうした工夫をしながら登場してくるのが、EQSといえる。



MX-30・UX・アリア! 新規導入のEVが「SUVばかり」な「合理的」理由とは



4ドアセダンやハッチバックモデルも用意されている

しかし、これから先はハッチバック車や4ドアセダン、あるいはミニバンなどMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)のEVも登場させなければ、あらゆる消費者を満足させることはできないだろう。



そもそも、クルマとしては4ドアセダンやハッチバックが王道であり、米国のテスラはモデルSを早くに導入した。モデルSの前にロードスターというスポーツカーがあったが、これはロータスの車体を利用した改造EVであり、ゼロから設計をしたEVとしてはモデルSが第1弾だ。次いで、モデルXというSUVを売り出した。



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ドイツのフォルクスワーゲンは、e-up!(イー・アップ)やe-Golf(イー・ゴルフ)というハッチバックから市場導入をはじめている。そしてEV専用設計となるID.3に加え、SUVのID.4もほぼ同時に発表した。

メルセデス・ベンツもSUVのEQCやEQAを導入したのに次いで、4ドアセダンのEQSを用意している。BMWは、メガシティヴィークルと銘打ち、都市で活用できるEVとしてハッチバックのi3を最初に販売した。



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フランスのプジョーは、エンジン車と共通の車体を使いながら、ハッチバックのe208と、SUVのe2008を相前後して市場導入している。



日本でも、マツダはMX-30、レクサスはUX300eというSUVを最初のEVとしたが、日産はハッチバックのリーフ、ホンダもホンダeでの導入とした。



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単に最新ニュースを追いかけているとSUVが多いように感じるかもしれないが、各自動車メーカーとも若干の順序の違いがあったとしても、4ドアセダンやハッチバックのEVという車種構成は外していないといえる。

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