引っ越しなどで住所が変更する際には注意が必要だ

車検証というのは、そのクルマの戸籍のようなもので、複数枚持つことはできないし、そこに記載されていることはすべて事実でなければならないのは当然のこと。さらにクルマを乗り換えれば車検証も変わるので、車両に関する情報が事実と違うということはありえず、1枚の車検証を書き換えて使うことはせず、例えばカローラなのにクラウンということはない。



しかし住所部分については、事実と違う場合が発生してしまう。

発生というと大げさだが、引っ越しはその最たる例だ。ナンバーの管轄が異なれば変えようと思うが、地域内での引っ越しの場合、正規の手続きをしてもナンバープレート自体は変わらないことがほとんど。ただ、最近は細かくご当地ナンバーが用意されるようになっていて、近所でも変わる可能性は高くなっているが、そもそもそれ以前の問題なので、やはりそのままということはありうる。



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いずれにしても、車検証の記載事項が変更になった場合は、事項が発生したときから15日以内に手続きをすることが道路運送車両法で定められていて、50万円以下の罰金が課せられることもあるので注意が必要だ。



ただ、政府全体で引っ越し時の負担軽減を推進していて、オンラインで記載変更の手続きをした場合、ナンバープレートは次の車検までに交換すればいいという特例が2022年1月開始予定で、準備が進められてはいる。これはナンバー交換を猶予するだけなので、手続きは必要だが、負担自体が軽くなるのは確かだ。



実際に困るという点では、自動車税納付がある。4月1日の所有者に対して納付書が送付されるが、当然引っ越していれば届かない。次の車検時に未払い分を支払えば問題なく、車検を通すことはできるが、延滞金が付いてしまう。



引っ越しやローン完済時は要注意! 意外と多い車検証の記載事項「変更」忘れで困るケース



廃車や車両譲渡時に住所が異なると手間がかかる

しかしここでもさらに抜け落ちが出てしまうことがある。郵便局に転居届けを出していれば、新しい住所に転送されることも多くて、ここでもまた変更せずにそのままという可能性はゼロにはならない。しかも納付書と一緒に住所などの変更手続き用のハガキが同梱されていたりして、それさえ出しておけば、郵便局の転送期限が切れても、以降は新しい住所に納付書は届くことになる。

結局、自動車税は地方税で、車検について国が行なうことなので、縦割りの弊害で両者間での整合性は問われないというのが理由だ。



また、廃車にしたり、譲渡するときに、用意した書類と車検証の住所が異なると、面倒なことになる。つまり、氏名がたまたま同じという可能性もあるわけで、新住所と旧住所の関連性を証明したり、直前になって慌てて変更手続きをしたりなど、手間がかかってしまう。手放すクルマなのに手間をかけるのも考えものだ。



引っ越しやローン完済時は要注意! 意外と多い車検証の記載事項「変更」忘れで困るケース



そのほか、手放すときに問題になるのが、記載変更という点では所有者もある。ローンを組んだ場合、ローン会社は完済するまでは担保として所有者になっているのはご存じの方も多いだろうが、完済しても基本的にはそのまま。つまりこちらから申請しないと、ローン会社は所有権を解除してくれないだけに、そのままにして手放すときになって車検証上は自分のものでないことになるので、急きょ手続きをしなくてはならなかったりして、無駄に手間も時間もかかってしまう。



引っ越しやローン完済時は要注意! 意外と多い車検証の記載事項「変更」忘れで困るケース



いずれにしても、たまに車検証を見るようにして、車検の満了日を確認したり、記載されている内容をチェックするようにしたい。どうせ手続きはしなくてはならないので、やるのは一緒。であれば、記載変更が発生した時点で手続きをしておいたほうが後々、慌てなくて済む。

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