少数派だが今でもデザインは健在!
古くは1920~30年代からFRのスポーツカーの典型的なプロポーションとされてきた「ロングノーズショートデッキ」。
直列8気筒のブガッティや7.9リッターのベントレー(直6)などのクラシックスポーツカーは、その大排気量の直列エンジンあるいはV型エンジン(V16気筒を積んだクルマ=マーモン「シックスティーン」などもあった)を載せるために、ノーズ=ボンネット部分が長くなり、一方で車体の全長は押さえて、運動性能を高めるために、デッキ=船の甲板、クルマでいえば荷台、つまりトランクが極端に短い、「ロングノーズショートデッキ」のスタイルを採用した(デッキには乗車スペースを含むという説もある)。
さらに1960年代になると、ジャガーEタイプや、ロータス・スーパー7、ACコブラ、フェラーリ・デイトナ(365GTB/4)、そして大ヒットしたフォード・マスタングなど、スポーツカーの世界では、「ロングノーズショートデッキ」が一大潮流となっていく。
国産車でも、トヨタ2000GTやフェアレディZ(S30)などがその流れを継いで、「ロングノーズショートデッキ」=大きなエンジンを積んだ高性能スポーツカーという図式が出来上がった。
大きく長いエンジンをなるべくフロントアクスルよりも後方に積んで、余ったスペースに運転席とトランクルームを押し込んだ結果が、「ロングノーズショートデッキ」になったわけだが、デザインしてみると「ロングノーズショートデッキ」のスポーツカーは、どれも美しくカッコいい!
「FRのスポーツカーは、ウインドウシールドをホイールベースの中央にレイアウトするのが理想」といわれた時代もあったが、その後、運動性能を追求すると、ミッドシップに行き着き、重量物は車体中央に集められ、エンジンはよりコンパクトに。
前後のオーバーハングは極力短く切り詰められた形が主流になり、どちらかというと少数派のスタイルになりつつある。
しかし、メルセデス・ベンツのフラッグシップ、AMG GTをはじめ、BMWのZシリーズ、フェラーリ・ローマなど、伝統的なロングノーズショートデッキもまだまだ健在。
国産車でもフェアレディZ(Z34)や次期フェアレディZ、GRスープラもレクサスLCもロングノーズショートデッキ。
コンセプトカーではあったが、マツダのRX-VISION(→RX-9?)などもロングノーズショートデッキの美しいクーペとして評価されたのは記憶に新しいところ。
ロングノーズショートデッキは不滅だ!

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