国内ではカローラ・アクシオが唯一の5ナンバーセダン
先日某ディーラーでセールスマンと話をしていると、「最近はSUVのなかでもコンパクトSUVがよく売れていて、お客様からのお問い合わせも多いのですが、個人的には5ナンバーサイズのコンパクトセダンをラインアップして欲しいですね」と話してくれた。
日本国内ではトヨタが、いまでもカローラ・アクシオセダンをラインアップしており、これが唯一の5ナンバーサイズセダン。サイズにこだわらなくても国内で見かける数は少なめだが、セダンの新車といえば、トヨタ・クラウン、同カローラセダン(3ナンバーの方)ばかり。
ただ、まるでセダンが“絶滅危惧種”のようになっているのは日本だけでなく、世界で同じ傾向となっているのだが、日本の場合は5ナンバーサイズのセダンが消えていった、つまり扱いやすいセダンがなくなったことも大きく影響しているところではないだろうか。セダンからSUVへのシフトが目立つ世界市場とは傾向が少々異なるものと考える。
東南アジアを例にすると、たとえばトヨタではカローラ(グローバルサイズ)セダンの下に、コンパクトセダンとしてヴィオスがラインアップされている。同クラスとして日産ではアルメーラ(アメリカではヴァーサ)、ホンダではシティをラインアップ。

ただし、残念ながらいずれも5ナンバーサイズではない。ただ、三菱自動車が海外でラインアップしているミラージュのセダン版、タイでアトラージュと呼ばれるモデルは、5ナンバーサイズとなっている。
3ナンバー車として開発する方お金と手間がかからない
東南アジア諸国でもSUV人気が高まっている。ただし、政策的に税金の高いインドネシアを除けば、もともとセダンが大好きな国ばかり。いまでも重要カテゴリーとして日系ビッグ3ではモデルチェンジを行うなどして、コンパクトセダンもラインアップを続けている。もはや「日本製を」というつもりはないので、タイなどで生産したこれらのモデルを導入してみてはどうかと言いたいところだが、実際国内で正規販売、しかも少量販売前提とすると、価格に割高感が見えてしまったりして結局たいして売れなかったということになるので、軽々しく日本でも売ってほしいというべきではないともよく言われる。
3ナンバー化は衝突安全性能の向上などのために進んでいったとされている。以前、某メーカーのエンジニアに話を聞いていた時、「いまどきは5ナンバーサイズのクルマを開発するほうが、限られたサイズに必要なものを詰め込むので、お金と手間がかかるのです。

セダン販売で健闘しているトヨタでも、継続販売されているアクシオを除けば、カローラセダンが最小セダンとはいえ3ナンバーサイズとなっている。グローバルモデルより全長を詰め、全幅も狭めているとはいえ、なかなか立派なクルマとなった。ただアクシオセダンを併売扱いで残したものの、3ナンバーとなったセダンがステーションワゴンのツーリングとともに、法人ニーズ(つまり営業車)などでも意外とスンナリ使われるようになっており、いまどき5ナンバーだ3ナンバーだといっているのは、“オジさんの証”になってしまっているのかもしれない。

運転免許証の自主返納が進むいまどきであるが、まだまだ日本でセダンが元気だったころを知っており、自分もセダン好きというドライバーも多いはず。本当はセダンに乗りたいのだが、選択肢がなくハッチバック車を選ぶというケースもあるようだ。国内でコンパクトセダンのニーズは極めて限定的なのは確か。ただ“ファーストペンギン”として、少量販売でトライして可能性を探ってくれるメーカーが出てこないかなあ、と筆者は個人的には期待している。