最大のポイントはタイヤ&ホイール!

全日本ラリー選手権の第7戦「ARKラリー・カムイ」が7月2日~4日、北海道虻田郡ニセコ町を舞台に開催。2021年のシリーズにおいて初のグラベル戦として注目を集めるなか、トヨタGAZOOレーシングの勝田範彦が素晴らしいパフォーマンスを披露し、トヨタGRヤリスが最高峰のJN1クラスで初優勝を獲得したのだが、果たして全日本ラリー選手権のグラベル仕様車とは、どのようなマシンなのだろうか? そして、グラベル仕様車とどのような違いがあるのか?



というわけで、ここではグラベルイベントに初参戦を果たしたトヨタGAZOOレーシングのGRヤリスを参考にグラベル仕様車の特徴をクローズアップしたい。



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まず、グラベル仕様車における最大のポイントがタイヤ&ホイールにほかならない。

245mm、18インチと幅が広く、大口径のホイール&タイヤを使用するターマックに対して、グラベルでは205mm、15インチとコンパクトなグラベル用タイヤ&ホイールを採用している。それに合わせてキャリパー&ローターのブレーキシステムもコンパクトなキットに変更。



悪路を全開でぶっ飛ばすグラベル仕様の「ヤリス」! 全日本ラリーJN1クラスで優勝したクルマの中身とは



もちろん、衝撃吸収性を高めるべく、ダンパーやスプリング、スタビライザーもグラベル専用モデルを採用するほか、グラベルでの走破性を高めるべく、車高も40mmほど高く設定していることもグラベル仕様車ならではの特徴と言えるだろう。



チューブをいれたタイヤは1本あたり約1kg重くなっている

そのほか、泥や石の跳ね上げを抑えるべく、マッドフラップを装着するほか、石やワダチなど床下からの衝撃を守るべく、フロントに金属製のアンダーカード、リアのアーム類に樹脂製のカードを装着したこともグラベル仕様車のポイントで、飛び石から守るためにリアフェンダーの前部にガード類を装着するなど各部の補強に余念がない。



リヤバンパー内部に泥が付着するとその重みでバンパーが外れやすくなることからジョイント部を補強するなど、グラベルではターマック以上にマシンに対する負荷が掛かることから、細部まで作り込みが行われている。



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ちなみにターマックではコンディションが変化しない限り、スペアタイヤの搭載本数も1本が標準的だが、グラベルではパンクのリスクが高いことからスペアタイヤも2本搭載が標準的なパッケージで、加えてダンロップではリム破損によるエア抜けを防ぐべく、チューブの挿入を推奨している。



トヨタGAZOOレーシングもチューブを挿入しており、チーフメカニックの宮本昌司氏によれば「タイヤ&ホイールはコンパクトですが、チューブをいれているのでタイヤ1本あたり1kgぐらい重くなっています。アンダーガードなど補強類を含めるとターマック仕様車に対してグラベル仕様車は20kg以上重くなっています」とのこと。



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さらに「初めてのグラベル戦ですし、これから夏を迎えていくので、冷却システムを含めて、改善すべきポイントが見つかれば対策していきたい」と宮本氏は語っているだけにGRヤリスのグラベル仕様車も進化を続けていくことだろう。



このように過酷なグラベル戦に備えて、グラベル仕様車はしっかりと補強が行われており、対策が行われているからこそ、ラフグラベルを異次元のスピードで攻略することができるようになっているのである。

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