レクサスNXのほうがパワーユニットが多彩
レクサスNXといえば、2014年にAZ10型と呼ばれる初代モデルが登場。Premium Urban Sports Gearをコンセプトとした、レクサス初の都会派コンパクトクロスオーバーSUVだった。
そして今秋、レクサスNXの2代目がデビューする予定だ。
まずはプラットフォーム。新型NXが用いるプラットフォームはトヨタ最新のGA-Kプラットフォームで、これはトヨタのハリアー、RAV4と同じ。新型NXのホイールベースが2690mmと、ハリアー、RAV4と同じである(新型NXは12Vバッテリーの位置を移動するなど独自の仕立てだ)。

UXとRXの中間に位置づけられる新型NXのボディサイズは、全長4660mm(+20mm)、全幅1865mm(+20mm)、全高1640mm(+5mm)、ホイールベース2690mm(+30mm)。※括弧内は先代比 日本の路上でもまずまず扱いやすいサイズに収められている。

そしてハリアーは全長4740×全幅1855×全高1660mmだから、意外にもNXのほうが全長が短く、全幅、全高はほんの少し幅広く、高くなる程度。同クラスであることは間違いないということだ。

ここで注目したいのは、ボディの縦横比。新型NXのほうが、短く幅広いため、よりドシリとした迫力ある佇まいが、次世代スピンドルグリルによる顔つきとともに増幅しているのである。

パワーユニットの違いも大きい。

一方、新型NXのパワーユニットは多彩で、2.5リッターNAのNX250、2.4リッターターボのNX350、おなじみの2.5リッター+モーターのNX350h、そして大注目のレクサス初となる、RAV4 PHVのシステムをベースにした2.5リッターのPHEV、NX450h+が揃い、しかも駆動方式、AWD方式違いで全6種類のパワートレインが用意されることになる。とくに新型NXはAWDシステム、駆動力コントロールを徹底的に磨いたというから、AWDシステムがもたらすダイナミクス性能に期待大である。

タイヤサイズも異なる。ハリアーは17~19インチ。新型NXはRAV4やハリアーに設定のない20インチのExtended MobilityTire(EMT)を装着。プラットフォームはハリアーと共通だが、20インチタイヤ装着前提で、プラットフォームや足まわりを専用設計していることは間違いない(先代は18インチ)。

足まわりにしても、Fストラット、Rダブルウイッシュボーンという形式はNXの先代モデル、ハリアーと共通だが、レクサスは独自のチューニングが施されているのは当然として、新型NXは新開発のダンパーを採用するとともに、F SPORTには最新のAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)が標準装備されるのが特徴だ。

ハリアーでも上質なインテリアがNXではさらに磨かれる!
インテリアのクロスオーバーSUVとしての上級感、高級感は、ハリアーでも上級グレードになればかなりのもので、ベースグレードとは別物の世界観、プレミアム感あるものとなっている。しかし、新型NXはレクサス一流の手の込んだ仕立てに加え、先進感も一段上。

わかりやすいのはセンターディスプレイで、ハリアーは高精細12.3インチTFTワイド静電式タッチディスプレー。

先進運転支援機能は、ハリアーでもかなり充実している。最新のトヨタ・セーフティセンスはもちろん、DCM(au車載通信機)、ヘルプネットを全車に標準装備するなど、安心感に満ちた運転、ドライブ、緊急時の対応が可能。また、調光パノラマルーフ、前後方向録画機能付きのデジタルインナーミラーの装備も特徴的だ。

一方、新型NXは進化したレクサスセーフティシステム+を採用。プリクラッシュセーフティは交差点での支援を拡大し、交差する車両や、右折時に前方からくる対向直進車、右左折時に前方から接近する横断歩行者/自転車運転者との衝突回避も支援できるようになったほか、自動二輪車や車線逸脱してきた対向車、夜間の自転車運転者など、支援対象も拡大。

フロントクロストラフィックアラートは、低速で交差点に進入する際に、左右から接近する車両を検知すると、カラーヘッドアップディスプレイで車両が近づいてくる方向をアニメーションで表示。ドライバーが気づきやすい注意喚起を行ってくれる。車両が接近しているにもかかわらずドライバーが発進しようとしているとシステムが判断した場合は、表示とブザーで減速を促してくれるという。また、ドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援に加え、システムが衝突の危険性が高いと判断した際に自動(被害軽減)ブレーキと操舵制御を行うアクティブ操舵支援機能も設定している。

レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)の機能も進化。

細かい点では、ドアのe-ラッチシステムがある。ドアのラッチ/アンラッチ機構をスイッチによる電気制御に置き換えることで、無駄な動きのないスムースなドア操作と滑らかな操作フィーリングを実現するとともに、そのe-ラッチシステムを用いた安心降車アシスト(ドアオープン制御付)を新装備。降車時、ブラインドスポットモニターのセンサーを活用し、後方からの自転車を含む接近車両などを検知。開放後のドア、もしくは降車した乗員と衝突する可能性があるとシステムが判断した場合、アウターミラー内のインジケーターを点灯させ注意喚起。それでもドアを(うっかり)開けようとした場合は、e-ラッチシステムと連携してドア開放をキャンセルする機能を世界初採用!! ブザー、アウターミラー内のインジケーターの点滅、メーターの表示、音声通知で乗員に告知してくれるのだから、降車時までの安全が確保されているというわけだ。これは世界初だけに、ハリアーには望めない先進安全機能といえるだろう。

価格は現行型の同パワーユニットを積むHVモデルを例に比較すると、レクサスNX300hは519万円~612・7万円。ハリアー(2WD)は358万円~482万円だから、NXのほうが、ベースグレード比で約160万円も高価(装備内容が異なるのも一因)となる。
もちろん、ハリアーの上級グレードなら、都会派クロスオーバーSUVとして大満足できる1台であることもまた、事実である。