ある意味スペシャル中のスペシャルモデルを一挙解説!
オープンカーと聞くとS2000やロードスターといったスポーティなものや、メルセデスやBMWといった高級ブランドの優雅なものを思い浮かべる人が多いハズ。
しかし、過去に存在したオープンカーのなかにはややマニアックなキャラクターを持つモデルも存在していた。そこで今回はそんなマニアックな香り漂うオープンカーをピックアップしたい。
1)スズキ・カルタスコンバーチブル
現在のスズキのコンパクトカーであるスイフトのご先祖さまともいえるカルタス(実際、日本国外では初代カルタスはスイフト名義で販売されていた)。その2代目モデルに突如設定されたコンバーチブルモデルが存在していた。ベースとなったのは3ドアハッチバックであるが、後部座席は幌を収納するスペースとなったために2シーターとなり、車両価格は159.8万円(CVT車)とカルタスシリーズの中で最も高額となっていた。
残念ながら日本国内ではヒットすることなく、1992年2月の登場からおよそ2年でヒッソリと姿を消してしまったが、じつは海外、とくに北米地域ではスマッシュヒットを記録しており、文化の違いを見せつけられるモデルだったのである。
2)ダイハツ・リーザスパイダー
90年代を代表する軽のオープンモデルとしてはホンダ ビートやスズキ カプチーノが挙げられる。この2台が登場した1991年にはもう1台軽オープンカーがデビューしていた。それがリーザスパイダーである。

元々フロントシート優先の2+2マイクロクーペとして1986年に登場したリーザをベースにルーフをカットしたもので、専用設計のビートやカプチーノに比べるとムリヤリ感があったことは否めない。

実際のところ通常のリーザをベースとした改造車であり、登録に当たっては検査場へ持込登録となっており、150.8万円(AT車)という高額だった点もヒットしなかった要因のひとつだったのかもしれない。
時代を先取りしすぎたSUVのオープンカーも登場
3)トヨタ・サイノスコンバーチブル
トヨタのコンパクトカー、ターセル/コルサ系のプラットフォームを流用したパーソナルクーペのサイノスは、スポーティなフォルムを持ちながらも実用車的な乗りやすさを持ち合わせたモデル。
そんなサイノスの2世代目に設定されていたコンバーチブルは、日本でコンバーチブル用の装備を持ったベース車を一旦アメリカへ送り、現地の架装工場でオープン化がなされた後に再び日本へ送り返すという非常に手間のかかる行程を経て生まれていた。

ベース車を架装したモデルでありながら、しっかりと型式認証を取得しており、ベース車がEL5#系なのに対し、コンバーチブルはEL5#C系となっていた。この辺りはさすがトヨタといったところだろう。ちなみに2代目サイノスの1.3リッターモデルには当時としてもかなり珍しい4速MTが設定されており、これをベースとしたコンバーチブルも同じく4速MTとなっていた。
4)日産ムラーノ クロスカブリオレ
元々は海外向けに作られた高級クロスオーバーSUVのムラーノ。
そんなムラーノの2代目に設定されたオープンモデルがクロスカブリオレだ。残念ながら日本には導入されなかったが、北米市場向けに2011年から追加されたこのモデルは、ムラーノを2ドア化した上で電動開閉式のソフトトップを備えたもの。

これは世界初の「4WDクロスオーバーSUVコンバーチブル」であったが、市場からの評判は芳しくなく、2013年モデルをもって消滅。しかし、2016年にレンジローバー・イヴォークのコンバーチブルモデルが登場したことを考えると、時代を先取りし過ぎてしまったがための悲劇ともいえるかもしれない。