車検では馴染みのない部分もチェックされている

一般的な乗用車であれば、新車時が3年、それ以降は2年ごとに受けなければならない車検。車検時にかかる税金と整備費用でまとまった金額が飛んでいくため、憂鬱に思っている人も多いかもしれない。



当然、車検時はその車両が国の定めた基準に適合しているかどうかが検査されるわけだが、意外と普段馴染みのない部分もチェックされている。

そこで今回は、そんな車検時にチェックされる部分でも意外と知られていない用語をピックアップしてご紹介しよう。



1)サイドスリップ

サイドスリップとは、ステアリングをまっすぐに保持した状態で直進した場合、どれだけ横にずれるかを示す値。クルマの4つのタイヤはすべて進行方向にまっすぐ取り付けられていると思いがちだが、じつは直進安定性やハンドリングなどを考慮して微妙に角度が付けられていることが多い。



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通常はそれでもしっかりまっすぐ進むように調整されているのだが、過去に事故を起こしていたり、経年劣化でサスペンションまわりのゴム類などが変形しているとこの値がズレてしまうことがある。



また、ローダウンやリフトアップなどをしている場合も純正状態とは異なるバランスとなっていて、サイドスリップが狂っていることも珍しくないのだ。



「サイドスリップ」って何? 光軸って何を見てるの? 意外と知らない「車検用語」



当然、まっすぐ走らないクルマは危険なので、車検ごとにチェックされるというワケだ。なお基準は1メートル走行したときのずれ幅が5mmを超えるとNGとなる。



ヘッドライトはより厳密な調整が必要となった

2)ヘッドライトの光軸

夜間や暗い場所を走行するときに必須のヘッドライト。正しく点灯するかどうかも重要なポイントではあるが、車検のときはどこを照らしているかを表す「光軸」というのもチェックの対象となる。



2015年9月以前ではハイビームで計測し、照らす方向さえ同じであれば合格となっていたが、それ以降はロービームでの計測となり、既定の位置に基準点が来ないとNGとなってしまうため、より厳密な調整が必要となったのだ。



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光軸が狂っていると正しく前方を照らすことができないだけではなく、対向車や歩行者を眩惑させることにもつながってしまうため、重要な部分なのである。



3)最低地上高

クルマの底面の最も低い位置を「最低地上高」といい、車検時はこの最低地上高が9センチ以上ないとNGとなる。そのため、過度なローダウンを行っている車両などは車検に通らないことになってしまうのだ。



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ただしこの最も低い位置でも、自由度を有するゴム製の部品や、樹脂製のエアロパーツなどは計測のルールに含まれない。



たとえばSUVタイプの車両などに備わっている大型のマッドフラップ(泥除け)や、後付けの樹脂製エアロパーツは地面から9センチ以下に位置していてもセーフとなるのである。



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ただし、エアロバンパーにウインカーやフォグランプといった灯火類が備わっている場合は構造物と判断されるためNGとなる。逆にバンパー下部に取り付けるリップタイプであればOKだ。

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