この記事をまとめると
◼︎今では当たり前な装備も昔は標準装備ではなかった◼︎意外にもホンダが日本初や世界初装備を多く取り入れている
◼︎今でも「世界初装備」というのが生まれるくらいクルマの進化は凄まじい
今では当たり前でも当時は超最新&最先端な装備だった
自動車業界では、ときに「世界初」と謳う装備、機能が搭載される。たとえば、トヨタRAV4のダイナミックトルクベクタリングAWDが「世界初」の機能と紹介されるなど、国産車からも世界に先駆けた装備、機能が生まれている。
が、ここでは、今では当たり前の、もっと一般的に普及している、しかし当時は世界初だったりする装備、機能を搭載したクルマたちを紹介したい。
1)エアバッグ(ホンダ・レジェンド&トヨタ・プログレ)
まずは、シートベルトとともに乗員の安全を守ってくれるエアバッグだ。すでに1950年代には、自動車先進国のアメリカで特許が取得されていた。そして1960年代にはなんと日本でエアバッグシステムが試作され、国内外の特許を取得。

その市販版は1974年、GMのフルサイズカーにオプション設定されていたという。1980年代になると、欧州勢もエアバックの開発、製品化を推進。ドイツのボッシュがSRSエアバッグを商品化したのを機に、1981年にメルセデスベンツが採用し、1987年にはメルセデスベンツがSRS助手席エアバッグを発表。安全性で定評ある北欧のボルボも1995年にSRSサイドエアバックを発表していた。
一方、国産車ではホンダが1987年に国産車初のエアバッグを開発。信頼性99.9999%の運転席用エアバッグを、国産車初としてフラッグシップセダンのレジェンドに搭載している。

ちなみに、世界初の助手席用2段式インフレーター(遅い速度と速い速度で展開スピードを変えるシステム)/1998年、助手席乗員検知機能/1998年、連続容量変化タイプ/2008年の採用もまた、我がホンダの偉業である。ちなみに、室内側方上部から展開するカーテンシールドエアバッグは、1998年のトヨタ・プログレが世界初搭載となる。

2)サンルーフ(ホンダ N360)
そのホンダは、国産車初のサンルーフも装備していた。クルマは手動式が1968年のN360、電動式は1978年のホンダ・プレリュードだった。

今ではトヨタ・ハリアーに採用された、調光可能なパノラマルーフ(障子のような調光にもなる)、ホンダ・ヴェゼルのLow-E遮熱・断熱ガラスを採用したパノラマルーフも登場している。
今では標準装備が当たり前な機能や装備も歴史が長かった
3)ナビゲーションシステム(ホンダ・アコード)
現在、クルマの装備でありがたさを大きく感じるのが、ナビゲーションシステムである。海外の高級車メーカーが世界初採用したかと思いきや、じつは日本が発祥。

それも、またまたホンダであり、当時は自動車用慣性航法装置=エレクトロジャイロゲーターと呼ばれるもので、1981年、当時のアコードに初搭載されたのである。

以来、三菱電機がモーターショーなどでGPS利用のナビゲーションシステムを提案。それが1990年にユーノス・コスモに採用され、世界初のGPS搭載のカーナビゲーション搭載車となった。
4)アダプティブクルーズコントロール(三菱ディアマンテ)
高速走行でより快適で安全なドライブが実現し、自動運転の入り口ともなっているのがクルーズコントロール。その進化形が、前車追従、停止保持機能などを持つACC(アダプティブクルーズコントロール)である。クルーズコントロール自体の歴史は古く、すでに1958年にはクライスラー・インペリアルに定速走行装置として世界初採用されている。日本では1964年のクラウン(エイト)が、国産車初採用となる(名称はオートドライブ)。

しかしながら、単なる定速走行装置のクルーズコントロールは、広大なアメリカの一本道を延々と走るような場面には適していても、クルマが多く、加減速が繰り返される日本の高速道路では使いづらいのも事実。そこで登場したのが、前走車との距離を一定に保ってくれる、今では軽自動車にも付いているACCと呼ばれるアダプティブクルーズコントロールである。その国産搭載車の第1号は、意外!? にも、1995年に登場した三菱ディアマンテだった。すでにレーダーとカメラを用い、振り返れば、かなり先進的なクルマだったのである。

5)アイサイト(スバル・レガシィランカスター)
そうそう、「ぶつからないクルマ」で有名なスバルのアイサイトだが、その起源は1999年にスバル・レガシイランカスターに搭載されたADA(アダプティブドライビングアシスト)だった。

それが2008年、アイサイトと名前を変え、レガシイアウトバックに初搭載され、進化を続け、今に至っている。
6)モノコックボディ(スバル360)
ところで、装備ではないのだが、今では当たり前のボディ構造、モノコックボディを国産車で初採用したクルマを知っているだろうか。それは1958年に遡る、歴史的名車のスバル360だったのだ。

それは、中島飛行機から続いた富士重工業ならではの航空機技術によって実現したと言われている。もちろん、その採用理由は軽量化とボディ剛性の確保であった。
しかし、そうした世界初、日本初の装備、機能は日進月歩。今では、当時では考えられない飛躍的な進化を遂げている。とくにカーナビゲーションやACCなどによるハイレベルな制御によって、自動運転という近未来のクルマの姿が見え始めている。そして今、ついにハンズオフドライブを可能にした、3D高精度地図や衛星を用いたスバルのアイサイトXや日産のプロパイロット2.0、ホンダのセンシングエリートなどが、クルマの最先端技術として、我々の自動車生活の安全や快適をもたらしてくれているのだ。

とはいえ、この先20年も経てば、そうした現在の最先端技術、装備が、あるいはこれから登場する世界初、日本初の装備が、この記事のように、「そんなものも昔はあった」と、懐かしく語られるに違いない。