この記事をまとめると
■日本でもそれぞれのメーカーのメリットが合致すればOEM販売が行われる■日本では見られない日系メーカー同士のOEM供給車が海外では見かけることがある
■電動化時代に突入するとさらにOEM販売が盛んになることが予想される
OEM販売ならゼロから開発するよりもコストを削減できる
OEMという言葉を聞いたことがあるだろうか?
オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリングの略称だ。日本語では一般的には、相手先ブランド製造(または販売、供給)という記載になることが多い。簡単にいえば、車体やパワートレインなどが同じで、内外装の意匠の一部が違う程度の、いわゆる「兄弟車」を指す。
直近で、日本市場のOEM販売(供給)を見てみると、代表的な事例はスバルがトヨタに対して行っているBRZとGR86(先代は86)がある。
同じくスバルとトヨタでは、これから発売が始まるEVのbZ4Xとソルテラについて、電動系はトヨタ、X-MODEなど四駆制御技術はスバルとして共同開発としているので、トヨタからスバルへのOEM販売(供給)という表現は当てはまらないといえるだろう。

また、トヨタの場合、グループ企業のひとつであるダイハツが、ロッキーをライズとしてトヨタにOEM販売(供給)している。そのほか、軽自動車についてはOEM販売(供給)が昔から盛んで、トヨタとダイハツはもちろんのこと、スズキとマツダ(フレアシリーズ、キャロル等)、ダイハツとスバル(サンバーシリーズ、シフォンなど)と数多い。

日本ではちょっと考えられないOEM販売も海外では見られる
そうした中、海外でも日系メーカーどうしのOEM販売(供給)はいろいろなパターンがある。
たとえば、スズキとトヨタだ。英国のスズキホームページを開くと、モデルラインアップの中に、スウェイスという5ドアハッチバック車があるが、これはカローラツーリングのハイブリッド車だ。

さらに、アクロスというSUVがあり、こちらはRAV4 ハイブリッドである。

トヨタとスズキは2017年に包括的な事業連携に向けた覚書を交わし、スズキとしては乗用車での電動化へのコスト抑制を目的として、欧州向けにトヨタのハイブリッド車を活用しているのだ。
逆のパターンもある。インド市場で圧倒的なシェアを誇るスズキが、トヨタに対して小型車バレーノをベースとしたグランザと、ビターラ ブレッツァをベースとしたアーバンクルーザーをOEM販売(供給)している。
アメリカでは、マツダはマツダ2をヤリスハッチバックとして供給していた。

今後、電動化がさらに進むことで、特にEVについては電動パワーユニットを含むプラットフォームの共通化が拡大する。例えば、ホンダは米GMから中大型車向けのEVプラットフォームの供給を受ける。
電動化時代、OEM販売(供給)はさらに増えていくことは間違いなさそうだ。