この記事をまとめると
■電子制御はコンピュータを活用することでさまざまな機能を状況に応じて制御する仕組み



■クルマで最初に使われるようになったのは電子制御燃料噴射だ



■メジャーな電子制御システムとしてABSはいまではほとんどのクルマが採用している



電子制御はクルマのさまざまなところに組み込まれている

電子制御とは、コンピュータを活用することにより、素早い演算によって状況に応じて機能を適合させる仕組みをいう。それまでは、機械の動きであったり、自然の摂理であったりなどを活用して機能させていた機構を、より人間の都合に則した効果が得られるようにすることができる。



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クルマで採用されるようになったのは、エンジンへの燃料供給が最初ではないか。

それまでは、キャブレターと呼ばれる気化器でガソリンを霧化していた。ピストンの移動によって生じる負圧でシリンダー内へ吸い込まれる空気と、ガソリンを混合する装置だ。それをまず機械式燃料噴射によって、エンジン回転数に合わせたガソリン量を意図的に供給できるようにした。



次が、電子制御燃料噴射だ。たとえエンジン回転数が同じであっても、そのときの運転状況や外気温度の違いによって、ガソリンを無駄なく燃焼し切るためのガソリン量は異なる。そうした運転者の操作や、外気の違いなども考慮しながら混合気をつくることが、電子制御によりできるようになった。



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環境への意識がコンピュータ化を加速させた

背景にあったのは、排出ガス規制だ。排出ガスを無害化するには、まずガソリンをきちんと燃やし切る必要がある。夏でも冬でも(気温差によって空気の密度が違っても)同じように燃やし尽くす最適なガソリン量の供給には、もはや自然の摂理や機械的な機構ではなしえなくなったのだ。排出ガスを浄化しながら、さらに馬力をあげることにも電子制御は役立っている。



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エンジン以外では、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)など、クルマの姿勢制御も電子制御なくして成立しえない。そもそもABSの原理は、運転者が自ら操作するポンピングブレーキを高度化したもので、路面状況に応じたタイヤのグリップを確保するのが目的だ。

要は、タイヤが回転を止め滑らないようにする。かつては、熟練の運転者が技として利用したが、それをより多くの人々へ普遍的に活用し、事故を未然に防ぐため電子制御によるABSは誕生した。



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以後、アクセルの踏みすぎでタイヤが空転するのを抑えるトラクション・コントロール・システムや、速度の出し過ぎでカーブを飛び出さないようにする姿勢制御、昨今の燃費改善なども含め、電子制御なくして現在のクルマは成り立たず、ある意味でクルマは電子制御の塊ともいえる商品になっている。

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