この記事をまとめると
■一般のクルマの登坂能力について解説する



■上り勾配における縦断勾配の限界は32%



■登坂性能45度を誇るクルマも存在



上り勾配における縦断勾配の限界は32%

ダイハツ・タントのTVCMで有名になった島根県松江市八束町と鳥取県境港市渡町を結ぶ「江島大橋」、通称「ベタ踏み坂」。かなりの急坂に見えるが、その勾配は島根側6.1 %、鳥取側5.1 %と、意外なほど数字は小さい……。



では、普通のクルマは一体どのぐらいの坂道まで上ることが可能なのだろうか?



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国土技術政策総合研究所の研究資料によると、「走行性能曲線図から登坂能力を調査した結果、小型乗用車等の登坂応力は、徐行時(10km/h)において、第1速ギヤで約32%の勾配の登坂が可能である」とまとめている(選定車は初代ヴィッツ)。



また普通自動車(トラック=日野プロフィア)も同じく32%で、「したがって、車両の登坂能力から見た上り勾配における縦断勾配の限界は32%と考えられる」と結論づけている。



ちなみに日本一の急勾配な道として知られる、大阪府と奈良県の県境にある「暗峠」(国道308号)の最大傾斜勾配は31%なので、路面やタイヤの条件がよかったとしても、通常はこのぐらいがMAXだろう。



三菱やスバルのSUVは強烈だった! クルマが登れる坂道の限界角度とは



勾配をパーセントでいわれてもピンとこないかもしれないが、簡単にいうと、10%勾配の上り坂は、水平に100m進んだ時に10mの高さを上ることを意味している。



角度に直すと10%勾配は、約5.71度。100m進むと、ビルの3階以上の高さに達することになるので、これでもけっこう急坂だ。上掲の32%勾配だと、角度は17.7度。スキー場では、5~10度が緩斜面、15~20度が中斜面、25~30度が急斜面と呼ばれているので、普通のクルマでは中斜面が限界。



三菱やスバルのSUVは強烈な登坂性能をもつ!

ただし特殊なクルマになれば話は別。ベンツの多目的作業用自動車「ウニモグ」は登坂性能45度を誇る(ギヤは最大で24段)。斜度45度ということは、100m進むと100m高くなるので、100%勾配に!



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ただ国産車だって負けてはおらず、三菱は各地のイベントに最大斜度45度の4WD登坂キット(トラック)を持ち込み、デリカD:5などの同乗体験を実施。100%勾配=45度の登坂能力を証明している。またスバルのフォレスターも、かつて52%勾配(斜度27.5度)を上ったというデモ展示を行なったことがある。



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ちなみに急坂を上るときのコツは、あらかじめ助走をつけて、MTなら1速に入れ、ATならDレンジのまま上り坂にさしかかった時点で、アクセルをすばやく大きく踏み込み早めにキックダウンさせること。ハンドルはできるだけ真っ直ぐを維持し、速度が落ちだす前にしっかりアクセルを踏み足すのが肝要だ。

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