この記事をまとめると
■初代スズキ・アルトは1979年に47万円という衝撃価格でデビューした■2021年に登場した9代目アルトは99.88万円と初代の約2倍の価格になっている
■物価の上昇率や装備内容を鑑みると新型アルトは安い!
新型アルトは一般ユーザー向けグレードのLで99.88万円
初代アルトは1979年に47万円という衝撃的な価格でデビューした、スズキ軽自動車のベーシックモデルとして、以来、42年以上、多くの人の愛され、使われてきたお手頃価格の軽セダン。今ではスペーシアやワゴンR、ワゴンRスマイルのようなスーパーハイト系、ハイトワゴン系モデルに人気が集中しているが、アルトはまさに日本のエントリーカーとしての欠かせない存在でもある。
そして2021年12月、アルトは9代目に進化。
初代アルトの47万円(から)という数字を記憶している昭和な人にとっては、「倍の価格じゃないか!」と思うかもしれないが、冷静に考えてみると、新型アルトが100万円を切ったことは、スズキのこだわり、努力もあって、かなりがんばったと断言できる。
時を戻そう。1979年の大卒初任給は10万9500円。それが2021年になると20万9844円というデータがあり、約2倍になっている。
とまぁ、価格だけで話を進めてもしょうがないので、新型アルトの進化の内容について説明したい。先代からの価格アップ、実質的一般ユーザー向けグレードのLで99.88万円という価格が、大いに納得できるはずである。
かつてはなかった技術や装備がてんこ盛りでこの価格は安い!
まずは、エクステリアデザインだ。顔つきのイメージは大きく変わっていないのだが、全高を50mm高くしたことで、ハイトワゴン系とまではいかないものの、日本のエントリーカー、軽自動車の最廉価モデルらしからぬ存在感を示している。
室内に乗り込めば、先代比室内高+45mmの恩恵が痛感できる。アルファードのようなミニバンも、室内高の余裕こそが人気、快適度の決め手だからである。合わせて、フロントドア開口部の高さも20mm高くなり、乗降性まで向上しているのだ。
そして、1979年当時にはあるはずもない先進運転支援機能のスズキ・セーフティサポートは、最廉価グレードのAを含め(!)全グレードに標準装備。
さらに言えば、下手なコンパクトカーには標準装備されていない運転席&助手席、前席サイド、カーテンの6エアバッグまで(!)全グレードに奢られているのだから太っ腹というしかない。いや、日本のエントリーカー、軽自動車の最廉価モデルの域を大きく超えた上級安全装備が、新型アルトにはほぼすべて用意されている! それで100万円を切る価格で手に入るのだから、「どうだっ!」って感じである。
そして何といっても、パワーユニットにスズキ自慢のマイルドハイブリッドが用意されている。さすがにマイルドハイブリッド搭載グレードになると、Sの109.78万円からとなってしまうが、ある意味、世界のハイブリッド最廉価モデルと言っていい(無論、2モーターのストロングハイブリッド、シリーズ式ハイブリッドのe-Powerなどとは機能・効能が異なるが……)。
ところで、新車価格の安さそのものも重要だが、乗り始めてからの維持費も、1台のクルマを所有し、乗り続けていく上で重要な、ランニングコストの目安になる。
それで先代同等グレード比(LとF)で5万5000円しか高くなっていないのだから、軽自動車で150~200万円が当たり前、また、身のまわり品や食材、家電品、そして輸入車を含むあらゆるモノの物価が急上昇している今、見た目の堂々感、室内空間のゆとりや機能&快適装備の充実度などを含め、実質的な一般ユーザー向けグレードで100万円を切っている価格は、どう考えても「超お買い得、安い!」というしかないと結論づけるのが正解なのではないか。