この記事をまとめると
■世界累計販売台数230万台以上を誇るVWゴルフGTIがゴルフ8ベースにチェンジした



■ステアリングの優れた応答性やエンジンの吹け上がり、豪快なサウンドを愉しめる



■家族とともに使っても文句を言われないレベルと抜群の走行性能で全方位死角ナシ



ゴルフ8に待望のGTIが追加された

世界累計販売台数230万台以上。日本では6万4000台以上が売れたというゴルフGTI。その積み重ねが、ゴルフ8をベースにしたこのクルマによって、これからも継続されて行くことになった。

新たに開発された新型GTIは、優れたドライビングプレジャーや高いコーナーリングスピード、思いのままに操れるレスポンスがありつつ、日常的な使い勝手の良さはそのままにという、かなり欲張りな開発ターゲットがあったという。



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エンジンは先代GTI Performanceが搭載していた2.0TSI EA888 evo3をベースにしたEA888 evo4を搭載。インジェクターは最大200barだったものが最大350barを可能とし、フリクションロスの低減やノイズの改良などを行ったという。結果として最大出力180kW(245馬力)/5000-6500rpm、最大トルク370Nm(37.7kgm)/1600~4300rpmを発生。



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湿式7速DSGと組み合わされる。スペック的に見ればゴルフ7 GTI Performanceとほぼ同等だが、先代GTIのベースモデルと比べるとかなりの進化を果たしている。そのスペックは最高出力169kW(230馬力)/4700-6200、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1500-4600rpmで、組み合わされるトランスミッションは湿式6速DSGだった。



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シャシーは全体的に引き締められたようだ。スプリングレートは旧型比でフロント5%、リヤ15%ハード。ちなみに車高はベースモデルに対して15mmダウン。全高は10mmダウンとなっている。フロント側はウイッシュボーンブッシュ、バンプストップラバー、油圧ダンパー最適化、DCC(アダプティブシャシーコントロール)搭載車は新ソフトウェアを搭載。

アルミ製のサブフレームは3kgの軽量化を実現している。リヤ側は新開発ホイールマウント、ウイッシュボーンブッシュ、準ダンパーベアリングの採用、そしてDCC搭載車は新ソフトウェアを搭載している。



また、Vehicle Dynamics Management systemもこのクルマのポイントのひとつだ。これは先代モデルではGTI PerformanceとTCRのみに搭載されたもの。ブレーキをつまむ電子制御ディファレンシャルロックと、左右輪のトラクションに応じて0-100%までトルクを配分する電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックを統合制御。



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従来はハルデックスと呼ばれていたが、ハルデックス社がボッシュの傘下に入ったため、同じ内容のものではあるが、ハルデックスの名称は出さなくなったそうだ。オプションのDCC装着車では、さらに4輪それぞれのショックアブソーバーを毎秒200回の調整をすることで車両姿勢を制御しているという。



新たなボディはベースモデルと変わらないcd値0.275を達成。旧型は0.30だったからこれもまた地道な進化だ。テールエンドにスポイラーやディフューザーを与え、リヤのリフト量を減らす方向にセットしたにも関わらず、進化した数値を提示しているところが凄さか!?



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スポーツカーとファミリーカーの両方をこなす万能性

あらゆる手段で少しでも走りを良くしようとした新生GTIは果たしてどんな走りを実現してくれるのか? DCCパッケージと19インチタイヤ&ホイールが装着された走りの最上級グレードを走らせる。



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相変わらずのタータンチェック柄のスポーツシートに腰かけ、エンジンをスタートさせれば、良い意味でこれまでと変わらない感覚を得られる。



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デジタルコクピットとなり、スポーツモードを選択しなければ赤基調の表示とはならず、スポーツ性を潜めているところはちょっとオトナな感覚もある。

家族とともに乗る時にはコンフォートモードでも選び、良いパパを演じることも可能だろう。



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だが、パーキングから動き始めた瞬間、ドライバーにだけはこのクルマがタダモノではないことが早くも伝わってくる。



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可変ステアリングラックを採用するプログレッシブステアリングにより、ロックtoロックはわずか2.1回転に仕上げられたGTIは、軽々とタイトなコーナーを駆け抜けて行く。足まわりが引き締められたとはいえ、DCCが緩められた状況では、例え低速走行でも突き上げがそれほど大きくは感じない。あくまでフラットに駆け抜けることが可能だ。



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これには助手席に乗っていた編集者も納得。これなら家族とともに使っても文句を言われないレベルだと言っていたが、僕もそう思う。ちなみに足まわりセッティングはカスタムモードでさらにイジることを可能にし、15段階も減衰力が変更できるのだ。まるでアフターパーツかと思う変化幅が画面のタッチひとつでできてしまうところもこのクルマの面白さのひとつだ。



スポーツモードに変更して首都高速の横羽線を走る。引き締められた感覚がかなり高まり、操作がボディに直結したかに思えるほどだが、意外にも路面の継ぎ目はきちんと収束。バタつくことなくフラットな走りは相変わらずだった。



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もちろん、この状態でタウンスピードをこなそうと思うと突き上げはあるのだが、スピードレンジに応じてモードを変更させて行けば、かなりの領域で快適性が担保されているのだと感じる。



スポーツモードの面白さはそれだけじゃない。エンジンのピックアップもなかなかで、アクセルに対してリニアに吹き上がるところはなかなか爽快! しかも、エンジン音が室内のスピーカーから増幅される感覚が加わり、豪快なサウンドが愉しめるのだ。思わずシフトのアップダウンを繰り返したくなる官能性はなかなか。



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エンジンフィールには常に滑らかさがあり、4000回転を超えたあたりからは伸び感がさらに高まる感覚も得られる。これはディーゼルでは絶対に得られない感覚だし、ほかのガソリンモデルでもパワーと伸び感はない、GTIならではのたまらない仕上がりだ。



タイトターンではアクセルオンとともにノーズがグイッとインをさらに突き刺す感覚で旋回して行く感覚がこれまたたまらない仕上がり。リヤの安定感をしっかりと確保したうえで、アクセルで曲げて行ける感覚が溢れていた。一般道のレベルであってもそんな動きを演出する辺りはさすが。ここまで走りが良さそうなら、やはり最後はサーキットで試してみたいものだ。



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そんなポテンシャルを感じつつ、最後はエコモードで走る。すると、シャシーは一気に力を抜いた感覚になり、しなやかに路面を捉えながら乗り心地を確保。



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エンジン音の演出も穏やかになり、一気にファミリーカーへと変貌を遂げた。アクセルオフすればギヤがニュートラルに入りコースティング。どこまでもタイヤが転がって行きそうなフリクションのなさを感じることができる。これならエコランだって良い結果が出そうだ。もちろん、ブレーキを触れば一瞬でギヤが繋がり安全性にも抜かりはない。



まさに全方位死角ナシ。この仕上がりがあれば、まだまだ販売台数は伸びて行くのは確実だろう。



【試乗】新型ゴルフGTIの「キャラ変」っぷりが圧巻! 本格スポーツカーから納得のファミリーカーまでボタンひとつで味わえる
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