この記事をまとめると
■運転時の履物選びは安全に大きくかかわる



■道交法に抵触する場合もある



■運転に適した靴について解説する



かかとが固定されないサンダルは違反となる可能性が高い

夏が近づくにつれて、街にはサンダルを履く人の姿が多く見られるようになってきました。海の近くに住んでいる人などは、もっと早くからビーサンで過ごしている人もいるかもしれないですね。オシャレは足もとからと言いますので、今年も思いっきり、サンダルで夏のオシャレを楽しみたいものですね。



とはいえ、運転をするときには要注意。もしかすると、道交法に抵触するかもしれません。今回はどんなサンダルが運転にはNGなのか、運転に適した靴とはどんなものなのか、ご紹介したいと思います。



まず、運転中のサンダルが道交法に抵触するのは、「ハンドル、ブレーキその他の操作を確実に操作する」こと、「事故を起こし人に危害を加えるような運転をしてはならない」と定める第70条「安全運転義務違反」。そしてもう1つ、運転者が各都道府県公安委員会が定めた事項を遵守しなければならないと定める第71条「公安委員会遵守事項違反」で、たとえば宮崎県道路交通法施行細則では第12条に「げた、スリッパ、つっかけ、ハイヒールその他運転操作を妨げるおそれのある履物を履き、又は運転操作を妨げるような方法で履物を履いて、車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。」との一文があります。各都道府県とも同様の趣旨で、「運転操作を妨げる可能性のある履物」での運転を違反とみなす条例があるのです。



下駄やサンダルNGは当然だけどスニーカーでも注意が必要 ! ...の画像はこちら >>



このことから、かかとがしっかりと固定されないようなタイプのサンダルは、違反とみなされる可能性が高いと考えられます。また女性が履くハイヒールやミュール、パンプスも運転にはNGと考えた方がいいでしょう。とくにハイヒールは、安全確実なペダル操作をする上でもっとも適していないといえます。安全確実なペダル操作のためには、まず足のかかとを床に固定して、ブレーキペダルに対して垂直になるよう足を置き、アクセルペダルを踏む時には、そこを支点として足先を右に傾けます。このときに、クルマの挙動にかかわらず、かかとがブレないようにしっかりと固定しておくことが重要となるのですが、ハイヒールではかかとが床に接地する面積が小さく、常にグラグラとブレてしまうことと、ヒールの高さで足全体に角度が付いているために、ペダルに接地する足先の面積も小さくなってしっかりと踏み込めない、微細な調整がしにくい、ということになります。



下駄やサンダルNGは当然だけどスニーカーでも注意が必要 ! 本当にクルマの運転に適した靴とは



また、ほとんどのクルマにはフロアカーペットが敷いてありますが、この素材にハイヒールのかかとが引っかかりやすく、いざ急ブレーキといった時にヒールが引っかかってペダルが踏み込めなかったり、ヒールが引っかかった拍子にハイヒールが脱げて、ペダルの奥に挟まって踏めなくなってしまう場合もあります。さらに、ペダルを踏み込んでから戻す際にヒールがペダルの後ろ側に引っかかり、アクセルペダルが戻らなくなった、という事例もあるのです。



厚底の靴だと反応時間や停止距離が3~8%長くなる

では、どんな靴が運転に適しているのでしょうか。もっとも身近で手に入りやすく、運転しやすい靴として浮かぶのは、スニーカーかもしれません。もちろん、スニーカーは運転するときに理想的ではありますが、注意したいのは近年流行している厚底のスニーカー。というのは、交通事故総合分析センターで厚底の靴を使った実験を行なっていて、厚底の靴を履いた場合にはペダル操作や障害物の回避の際に、反応時間や停止距離が3~8%も長くなることがわかったのです。厚底のスニーカーだけでなく、厚底ブーツや厚底サンダルも同様に、運転には適さないと言えるでしょう。



下駄やサンダルNGは当然だけどスニーカーでも注意が必要 ! 本当にクルマの運転に適した靴とは



運転に適した靴で本当に理想的なのは、やっぱりドライビングシューズです。ファッション性のあるものから、サーキットで使用する本格的なものまで幅広くありますが、どれも共通しているのは、まずかかとの部分が強化されていて、しっかりとフロアに固定してペダル操作ができるようになっていること。そして、ソール部分は厚すぎず薄すぎず、足の微妙な動きを邪魔することのないような柔軟性を損なわない程度の厚さと、緊急ブレーキのように強く正確にペダルを踏む際にも、ぐにゃりとならずしっかり踏める厚さを備えています。また、靴の中で足が泳がないよう、適度なフィット感のあるソール幅というのも大切。足の形状は人ぞれぞれなので、どのドライビングシューズがもっともいいかは、その人の足に合うものということになります。

スリッポンタイプもあれば、紐で結ぶタイプ、マジックテープで止めるタイプなど、種類も豊富。もし、ドライビングシューズではない靴でも、なるべくかかとがしっかりしていて、ソールの柔軟性と強度、足へのフィット感をチェックして選んでみると、運転しやすい靴が選べるのではないかと思います。



下駄やサンダルNGは当然だけどスニーカーでも注意が必要 ! 本当にクルマの運転に適した靴とは



そして最後に、近年はペダルの踏み間違いなど誤操作による事故の報道が増えて注目されていますが、それが高齢ドライバーだけの問題だと思うのは大きな間違いです。年代別ペダル踏み間違い事故発生件数(2015年警察庁データ)では、もっとも多い年代が16歳~24歳の1080件。これは75歳以上の1032件を上回る結果となっているのです。踏み間違いは決して高齢者に多いわけではないので、若い人たちもぜひ注意してくださいね。そしてぜひ、踏み間違いの原因の一つとなっている靴も、オシャレを楽しみつつ、運転する際にはちゃんと運転に適した靴に履き替えて運転してほしいと思います。

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