この記事をまとめると
■エンジンブローという言葉を耳にすることがある



■ブローしたエンジンには100万円以上の修理費がかかることも少なくない



■エンジンブローの意味や原因について解説する



エンジンブローにはいくつかのパターンが存在する

レースの中継などを見ていると、マシンから煙だしてスローダウンしたとき、「エンジンがブローしたようです」といった解説を聞くことがある。この「エンジンブロー」とはどのような症状なのか。



「ブロー」(blow)は、英語で「吹き飛ばす」「壊す」「強打」「打撃」といった意味で、エンジンブローは、engine blow-out(吹き消す)やengine blow-up(爆破)を略したフレーズだ。



要するに単なる不調やトラブルではなく、重篤な問題が発生し、平たくいえば、エンジンが死んだ状態のことを指す。



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具体的には、ピストンの棚落ちや、ピストンとバルブの干渉やクランクシャフトの焼き付き・固着、コンロッドの折損、エンジンブロックの割れ、ピストンの溶解、ヘッドガスケットの吹き抜けなど、いくつかのパターンが存在する。



その原因として考えられるのは、エンジンオイルの不足や油膜切れによるメタル類の焼き付きや、オーバーレブによるピストンとバルブのヒット。ターボ車ならブーストのかけ過ぎや、空燃比の薄さ、あるいは点火時期の進角などによるデトネーション(異常燃焼)によるピストンやプラグの電極の溶解。



タイミングベルトの切れやテンショナーのベアリングの固着なども、バルブをヒットさせブローの原因に。



100万円以上の修理費がかかることも

オーバーヒートによるヘッドの歪みはガスケットの吹き抜けにつながるし、エンジン内の部品の損傷や、異物の混入もエンジンを壊すし、オイルパンの底を打って割ってしまい、オイルが漏れて焼き付くことも。



酷いと折れたコンロッドがブロックを破って足を出したり、漏れたオイルが引火して車両火災につながることも!



ブローしたエンジンは、最低でも腰上オーバーホール、最悪だとブロックやクランクシャフトも含め一式交換、エンジン載せ替えコースになるので、100万円以上の修理費がかかることも少なくない。



エンジンブローを防ぐためには、第一にオイル管理。良質のオイルを劣化する前に定期的に交換すること。オーバーレブは厳禁で、プラグやタイミングベルト、クーラントなども早め早めに交換したい。ECUのセッティングも重要なので、チューニングしている人は、信頼のできるチューナーにセッティングを依頼すること。



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ついでにターボチャージャーのブローについても触れておこう。



毎分10万回転で回るターボチャージャーも、オイル管理が悪いとタービンの軸が焼き付きブローする。焼き付かなくても、タービンの軸のベアリングが痛みガタが出てくると、回転がぶれて、ターボの羽根がハウジングに干渉し折損することにもつながる。



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この場合、接触して折損した羽根の破片がエンジン内部に吸い込まれ、それがエンジンブローを引き起こすこともあるので要注意。



タービンの付け根が首からポッキリ折れるブローの仕方もある。

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