この記事をまとめると
■「バットモービル」の愛称でよく知られているのがBMW 3.0CSLだ



■BMW 3.0CSLは1971年に登場した3.0CSのライトウェイトバージョンとして誕生した



■BMW 3.0CSLはシリーズIIIまで進化を果たし、1039台が生産された



レースで勝つために誕生したホモロゲーションモデル

BMWのプロダクションモデルをキャンバスに、気鋭のアーティストが各々の作品を生み出すアートカーでも、そしてもちろんその運動性能の高さから、1970年代には数多くのレース・イベントで多くの勝利を獲得したことでも知られる「3.0CSL」。その奇抜な、というよりも究極的な機能美から「バットモービル」の愛称でも知られるこのモデルが今回のコラムのテーマだ。



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ちなみにこの3.0CSLの歴史をさかのぼっていけば、その始祖にあるのはE9型と呼ばれる1968年デビューのビッグクーペ、2800CS。

1971年にはマイナーチェンジによって、排気量をそれまでの2.8リッターから3リッターにまで拡大した3.0CSが誕生するが、BMWにとってそれをモータースポーツの世界に投入することは、それまでにも証明されているとおり、もっとも効果的なセールス・プロモーションだった。



BMWがそのためにサーキットに投じたのが3.0CSのライトウエイト版で、これがここでの主題である3.0CSLだ。



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E9型は当時ベルトーネに在職していたマルッチェロ・ガンディーニの手によってスタイリングされたビッグクーペで、その美しいライン構成は大きな話題となっていた。



言わずと知れた「クーペ・スポーツ・ライトウェイト」

BMWはこれまで2002シリーズによって、ツーリングカー選手権で好成績を残してきたが、その経験から考えて、まず必要になるのはベースとなる3.0CSの軽量化とエアロダイナミクスの向上にあることは十分に理解していた。だからこそ車両の各部を軽量化し、装備を大幅に低減した証としてL(Leicht=軽量)の文字を最後に掲げたCSLをあえて車名とし、実際に車重を3.0CSの1400kgから200kgも低減させることに成功したのだ。



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ボディ素材も、左右のドアはアルミニウム製に、またボンネットや特別にデザインされたフロントのスポイラー、リヤスポイラー、リヤバンパーなどには、軽量なFRP素材が用いられている。



そして同じ3.0CSLでもいくつかのバリエーションがある。1971年に登場したファーストモデルは、2985ccの直列6気筒エンジンに4速MTを組み合わせたもの。



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1972年にはエンジンの排気量が3003ccに拡大され、ここでボディにも大型のフロントスポイラーやリヤスポイラーが装着される。純粋にホモロゲーション取得用に開発されたこのセカンドモデルの強さは圧倒的で、同年のスパ24時間を制覇するなど多くの活躍を見せている。



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そしてラストモデルには3153cc仕様の直列6気筒エンジンを搭載。ここに至ってようやく205馬力という最高出力を得ることに成功している。



総生産台数でもわずか1039台というバットモービル、BMW 3.0CSL。CSLの名前は現代に入り次々に復活を遂げているが、客観的な速さではかなわないものの、サーキットで生まれながらにして、ストリートではときとして快適さやスムースささえ感じさせる3.0CSLの魅力は大きい。サーキットでもオンロードでも、このクルマの持つ魅力は誰もが簡単に理解できるはずだ。

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