この記事をまとめると
■アルミホイールにはさまざまなデザインがある■ホイールのデザインは走りにどのような影響を与えるのかを考察した
■性能に大きく関係してくるのはスポークの数や太さ
ホイールをカスタムする際はスポークにも注目
クルマ好きの流儀として、その昔はクルマを買ったら、純正ホイールはアフター品へと即交換だった。スチールが主流だったり、デザインが今ひとつというのが理由だったが、最近は純正でも凝ったデザインだし、そもそもアルミホイールがベーシックグレードでも標準で装着されている時代になった。いずれにしても、ホイールというのは見た目上、重要なポイントであるということに変わりはない。
アルミホイールにはさまざまなデザインがあって、車体のシルエットに合わせて選ぶことが基本だったり、時代によってメッシュやディッシュ、スポークなど、流行がいくつもあった。見た目優先であったりするのだが、デザインは走行性能に関係するのだろうか?
アルミやマグネシウムなどの素材、鋳造や鍛造といった製法による性能の違いはあって、これらは剛性や強度、重量にも関係する。ちなみに鋳造はデザインの自由度は高いが、鍛造は限られてしまうので、ここでまず性能とデザインは関係してくる。
デザインで性能に大きく関係してくるのはスポークの数や太さだ。多かったり、太いと剛性や強度は高まり、シャープなイメージは出しにくいが、メッシュなどのように重厚な印象が強まる。逆に6本や8本スポークで細身となると、軽量だったりスポーティなイメージが強くなるし、実際に軽くできる。ただ、うまくデザインや設計をしないと、強度が足りなくて、割れたりするので注意が必要だ。

最近のホイールでは空力面も考慮して設計されているものも
ホイールが割れるなんて信じられないと思うかもしれないが、質の悪いホイールでサーキット走行をすると、スポークの付け根部分にけっこう亀裂が入るし、一般道でもなくはない。アルミホイール黎明期には問題になったことがあるほどだ。
ただ、軽いというのは重要なポイントで、よく耳にするバネ下重量の軽減につながる。バネ下重量が軽いとどうなるかは、よく鉄下駄と木の下駄で例えられるが、重たいと転がしたり、走ったり、止めたりするのに力が必要で、ブレーキの負担や燃費など、意外に広い範囲に影響が及ぶ。また凹凸を乗り越えるときの衝撃が強くなったり、路面への追従性にも関係してくる。

キチンとしたアルミホイールというのは、ただデザイン性を求めるのではなく、重量や剛性、強度も考慮に入れながら、作られていると言っていい。
そして最近、ホイールのデザインに影響が出てきているのが空力だ。ボディまわりは風洞実験や解析を駆使して、徹底的な空力低減が図られているなか、ホイールとタイヤは、今まであまり手つかずの改善余地ありの部分とされる。すでにプリウスやレヴォーグなどで、アルミホイールに樹脂パーツを組み合わせたりしているのはこれを受けてのこと。

今後はフィンタイプなどが増える可能性があるが、こちらも闇雲に空力性能を突き詰めると、デザインが今ひとつになりかねないだけに、じつに難しい。いつの時代もデザインと性能のバランスには苦労するというわけだ。