この記事をまとめると
■登録車については新規登録や名義変更手続き時に車庫証明が必要となる



■保管場所標章は後面ガラスに後方から見やすいように貼り付けることが決められている



■保管場所標章は東南アジアなどのカー用品店でコピー品が販売されるほど人気のアイテムになっている



登録車の新規登録や名義変更では必ず必要となる車庫証明

日本では、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」に基づき、新たに自動車を所有する際には、車庫証明(自動車保管場所証明書)が新規車両登録申請や登録車の名義変更申請などに必要となってくる。登録車については新規登録や名義変更手続き時に車庫証明が必要となるが、軽自動車についても地域はかなり限られるが、事後申請(つまり軽自動車を取得した後)という形で車庫証明が必要となるケースもある。



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世界的に見れば、車庫証明制度は珍しい部類に入る。

韓国では済州島で試験的に導入されているようだし、ミャンマーでは輸入車のみ車庫証明を必要としているなど、少し調べてみてもレアケースといえるだろう。一般的には車庫証明は世界的に必要とされず、都市部では路上駐車して保管するケースが大半となっている。



登録車については日本のほとんどの地域で車庫証明が必要となるが、埼玉県を例にしてみると、東秩父村が全域、神川村、秩父市、小鹿野町、飯能市が一部地域で車庫証明を不要としている。村や島しょ部では車庫証明を必要としない傾向が高い。それでは埼玉県で軽自動車でも車庫証明が必要(事後申請)なところをみると、川越市、川口市、蕨市、戸田市、所沢市、狭山市、入間市、草加市、越谷市、八潮市、三郷市、上尾市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、富士見市が全域、熊谷市、深谷市、春日部市、ふじみ野市が一部地域となっている。県内最大都市で政令指定都市となる、さいたま市は車庫証明が不要なことに少々驚かされた。



登録車はディーラーが代行して車庫証明の申請などの手続きを行うケースが多いが、事後申請となる軽自動車では、たとえば新車ならば納車されてから所有者が手続きを行えばいいのだが、必要とされる地域のディーラーでは、見積書に自動的に代行費用が計上されているケースも目立つ。



それでは、軽自動車を買った人がきちんと車庫証明の事後申請を行っているのかといえば、「事後申請ですので、お客様にお任せすることになります。しかし、見ていると実際には事後申請せずに、そのまま乗っておられる方も結構目立つようです」と以前販売現場で聞いたことがある。



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軽自動車については車庫証明を必要としない地域が多いのだが、登録車同様に路上に放置駐車していれば取り締まりの対象となる道路がほとんど。また、路上駐車が可能でも、昼間12時間以上(夜間は8時間以上)同じ場所に駐車していれば取り締まりの対象となるので、軽自動車であってもしっかりとした保管場所(駐車場)を確保しておかないと、日本のとくに都市部では所有するのはなかなか難しいといえよう。



東南アジアではコピー品が出まわるほどの人気アイテム

車庫証明を申請して受理されると、書類とともにステッカー(標章)が警察から交付される。

リヤガラスに貼られているが、これは車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)にて、“自動車の後面ガラスに保管場所標章に表示された事項が後方から見やすいように貼り付けること”となっているため。



しかし、「かっこ悪い」などとして貼らない人も少なくない。「『納車時に貼らないで欲しい』とお願いしてくるお客様もいらっしゃいます。納車時には貼らずに車検証入れなどに標章を入れ、貼るのか貼らないのかの判断をお客様に委ねるケースもあると聞きます」とは現場のセールススタッフ。



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日本ではかっこ悪いと思われることも多い車庫証明の標章だが、筆者はタイの首都バンコクの自動車用品を扱う店が集まる地域で、本物の標章をベースとしたレプリカ標章が売られているのを見かけたことがある。日本でも時々、カリフォルニア州など、アメリカのライセンスプレートをファッションアイテムとして車両に載せたり自宅や店内に飾る人がいるが、それと似ているのかもしれない。



カリフォルニア州ではZEVなど環境負荷の低いクルマをフリーウェイの一部に設定されている優先レーンの通行(一般的なガソリン車では複数名乗車しているのが条件)を、単独乗車でも可能とのことを証明する、“ACCESS OK”というステッカーが交付されている。



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日本のプリウスユーザーなどで欲しがる人も目立つが、本物はバンパーに貼り付けるため、仮に損傷してバンパーを交換したら既存のステッカーを貼りかえる必要があるほど管理が厳密なので(シリアルナンバーが入っている)、その代わりのレプリカ商品が日本でも通販などで販売されている。



前述したバンコクで見た車庫証明標章のレプリカは、日本への憧れを強く持つ人や、日本車の販売比率が圧倒的に高いので、自分の乗っている日本車を日本で走っている同型のように限りなく日本仕様に忠実なものとして乗りたいといった人の人気アイテムとなっているようである。



ところ変わればではないが、日本でかっこ悪いと思われているものも、新興国を中心に「クールなもの」と思われているのである。

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