先日、不動産会社の営業を行っている男性による投稿が、SNSで多くの反響を呼んだ。投稿には、駐車場に止められた自動車の車体がはみ出ている様子を再現したAI生成画像も添えられていた。
「道路にはみ出していたら道路交通法ではなく車庫法違反になるようです」「下手したら前科が付く案件です」「直ちに違法とはならなくても取り締まりの対象とはなり得ますね」など、法的な問題を指摘する反応も複数あった。
実際、自宅の駐車場から車体の一部が道路にはみ出した状態で日常的に駐車することは違法なのだろうか。また、違法だとすればどのような罰則が課される可能性があるのだろうか。道路交通法や刑法に詳しい、佐々木貴教(たかのり)弁護士に聞いた。
車庫法や道路交通法、刑法に違反
そもそも「車庫法」(※)とは、無秩序な駐車によって円滑で安全な道路の運行が妨げられるのを防ぐために、自動車の保管場所に関するルールを定めた法律だ。※正式名称は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」
車庫法は自動車の所有者に「保管場所の確保」を義務付けており、また道路を保管場所として使用することを禁止している(11条1項)。
自宅の車庫であっても、バンパーやミラーなど車体の一部が道路にはみ出した状態で継続的に駐車されていた場合には違反となり、3か月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が課される可能性がある。
具体的にどのような場合が「継続的」と判断されるのか。佐々木弁護士によると「何日間道路にはみ出して駐車していたら違法」などの明確な基準はない。
ただし、実際の取り締まりにおいては、「数日連続で同じように車がはみ出していた」といった場合には違法と判断されるケースがあるという。
また、「はみ出し駐車」は車庫法以外の法律によっても規制されている。たとえば、はみ出している道路が駐車禁止エリアである場合や、交差点・曲がり角から5メートル以内などの場所である場合、道路交通法44条、45条1項に抵触する「駐車違反」となる。
さらに、はみ出し駐車をした結果、道路に3.5メートル以上の余地が空いていない場合、たとえ駐車禁止場所でなくても「無余地駐車」として道路交通法45条2項に違反する。
はみ出している自動車が歩道や車道を大きくふさぎ、歩行者や他の車を通れなくしている場合には「交通妨害」として、道路管理者(自治体や国)や警察から指導・撤去命令を受ける可能性がある。
そして、はみ出した車を避けようとした歩行者が別の車にはねられた場合や、自転車が夜間にはみ出し部分に衝突してケガをした場合には、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に該当する可能性がある。刑罰は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金だ。
なお、自動車の故障や事故、災害の発生が原因で緊急に車を止めた場合には、刑法上の「緊急避難」(37条)の規定が適用され、違反にならないケースがある。
また、急病人の看護のために緊急性がある場合や、警察官・消防官の指示に従って車を止めた場合にも、正当行為(同法35条)として違反とはならない可能性がある。
しかし、これらはあくまで例外である。
加えて、はみ出し駐車によって事故やトラブルが発生した場合には、民法上の不法行為責任(709条)が発生して、損害賠償を請求されるリスクがある。
もし自宅の駐車場から車がはみ出している場合には、工事をして駐車場を拡げる、近隣の月極駐車場を契約するなど、違法な状態を解消するための対応をすぐに取るべきだろう。

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