年明け1月、トランプ米大統領の2期目がスタートし、国内にあっては日銀が政策金利を0.5%程度に引き上げ、2008年10月以来17年ぶりの水準とした。日経平均株価は月間で322円安と2カ月ぶりに下落した。
旧村上系、王子と古河機械を新規保有
まず注目されるのが旧村上ファンド系投資会社だ。複数ある投資会社のうちのシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が王子ホールディングスと古河機械金属の株式について、それぞれ5%を超えて新規保有したことが分かった。
保有目的はいずれも「投資および状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。
なかでも製紙最大手の王子HDの株式については303億円を投じて5.14%を取得した。大量保有報告書によると、昨年11月初旬からの取得割合(直近60日間)は1.7%程度で、それ以前から周到に株式を買い進めていたことがうかがえる。
王子HDは昨年11月、2028年3月期までの政策保有株の縮減目標を従来の300億円から700億円に引き上げると発表。さらに12月に1000億円の自社株買いを2027年3月期までに行うとした。こうした資本効率の向上と株主還元の拡充に向けた一連の動きの背後には旧村上系の影がちらついていた可能性が指摘されている。
三井松島HDで5度の買い増しを報告
シティは、既存の保有銘柄のうち、新光商事、三井松島ホールディングス、愛知製鋼などで保有割合を高めた。
約半年ぶりに取得の動きが活発化した銘柄が三井松島HDだ。シティは1月中、株式を買い増したとする変更報告書を5度にわたり提出し、保有割合を35.65%に高めた。石炭事業撤退に伴いM&Aを通じた新規事業や経営の多角化を推進している三井松島HDをめぐっては昨年5月、シティの新規保有が判明し、同6月に保有割合が27%超に達して以降、動きが途絶えていた。
株価が急上昇に沸いたのが愛知製鋼。
香港オアシス、トプコンに触手
香港投資ファンドのオアシス・マネジメントは測量機器メーカーのトプコンに触手を伸ばした。7.38%を新規取得した後、さらに買い増して保有割合を10.58%と2ケタまで高めた。
また、オアシスはNECネッツエスアイの株式について、親会社のNECによるTOB(株式公開買い付け)が年明けに成立後も追加取得を継続し、保有割合を15.22%に高めた。
NECは買付期間を2度延長し、買付価格を引き上げた末にTOB成立にこぎつけたが、オアシスが揺さぶりをかけた形だ。NECは今後、オアシスから保有株を引き取るため、スクイーズアウト(強制買い取り)の手続きを進める。
昨年12月にオアシスによる5%超の新規保有が明らかになった花王についてはその後、買い増しなどの動きは表面化していない。
米投資ファンドの動きも活発化
米投資ファンドの動きも活発化した。ミリ・キャピタル・マネジメントが印刷業のTAKARA&COMPANYの株式5.06%(その後6.47%に買い増し)、ファラロン・キャピタル・マネジメントが物流企業のニッコンホールディングスの株式5.05%をそれぞれ新規保有したことが分かった。
ミリ・キャピタルは昨年12月にも青山財産ネットワークスを5%超新規保有している。一方、ファラロン・キャピタルは東芝が非公開化される前の大株主として名を連ねたほか、昨夏以来、米国の2大ファンドが買収を争っている富士ソフトの大株主だったことでも知られる。
米国勢といえば、目下、動静が最も関心を呼んでいるのがダルトン・インベストメンツだ。
ダルトンはフジ・メディア・HD株式の7.19%を英投資ファンドのニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド(NAVF)など2者と共同保有し、このうち5.83%をダルトンが持つ。
◎1月:アクティビストによる主な保有状況(直近に提出の大量保有報告書に基づく。赤字は新規保有。※保有割合が低下)

文:M&A Online
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