
しゃぶしゃぶ「木曽路」や焼肉「大将軍」などを運営する木曽路<8160>が、経営の柱となる新しい外食業態の開発に乗り出した。
主力の木曽路業態が売り上げの80%を占めており、リスク分散などの観点から、木曽路業態に次ぐ経営の柱が必要と判断した。
当面は買収した「大将軍」を中心とした焼肉業態を第2の柱として拡大する計画で、これに次ぐ第3の柱を自社開発のほか、M&Aの手法を活用して開発する。
同社ではこれまで手を付けていなかったフランチャイズ展開が可能な業態の開発にも力を入れる方針で、第3の柱がフランチャイズ運営になる可能性もありそうだ。
「非日常」「専門性」のある分野で探索
外食産業はコロナ禍後の客数の回復や、インバウンド(訪日観光客)需要の増加などの追い風が吹くものの、人口減少や物価高、人件費の上昇などの要因が重なり、厳しい環境下にある。
このため大手を中心に、消費者に支持される新しい業態の開発や海外進出に目を向けるケースが散見される。
木曽路もコロナ禍の中、2021年に首都圏で焼肉店を展開する大将軍を子会社化したのに続き、2022年には焼肉事業の拡大を支える食肉加工業の建部食肉産業を会社化し、焼肉業態を売上高の15%ほどにまで拡大(残りの5%ほどは居酒屋や物販など)した。
今回はこれに次ぐ経営の柱を開発するため、自社開発と並んでM&Aを活用するもので、「非日常」「専門性」のある分野での業態探索に取り組むという。焼肉や居酒屋はこの条件から外れ、新業態は別分野となる見込みだ。
一方、フランチャイズによる店舗展開については、居酒屋の「大穴」業態でフランチャイズの体制を確立し全国展開を検討するほか、から揚げ専門店「からしげ」でもフランチャイズ展開を模索する。
これに加えてフランチャイズ展開に適した新業態の開発を進めることにしており、M&Aの活用で「非日常」「専門性」のある分野もフランチャイズ業態の候補になりそう。
このほかM&Aについては、新業態の開発だけでなく、新技術の取得や地域の食文化の継承支援などでも活用する計画だ。
4期ぶりに黒字に転換
木曽路はコロナ禍の影響で2021年3月記に営業赤字に陥ったが、2024年3月期に4期ぶりに営業黒字に転換した。
2025年3月期は、売り上げは横ばいを維持できるものの、光熱費などのコストが上昇し営業利益は10%ほど減少する見込み。
同社は2027年3月期に、2025年3月期の見込みよりも13%多い600億円の売上高と、同58%多い32億円の営業利益を計画している。

文:M&A Online記者 松本亮一
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