
中堅調剤薬局のファーマライズホールディングス<2796>が2025年5月期に当初の増益予想から一転、大幅営業減益に陥ることになった。
2024年12月2日に寛一商店(京都市)グループの54店舗からなる調剤薬局事業を譲り受けたことで20%近い増収となるものの、処方せん枚数が当初計画に達していないことや、医薬品仕入原価の上昇などに加え、のれん償却費の増加などで60%を超える営業減益を余儀なくされる見込みだ。
営業減益は、コロナ関連需要の減少や水道光熱費などの経費の増加などによって減益となった2023年5月期以来、3期連続となる。
同社はこれまでM&Aによって店舗数を拡大してきた経緯がある。今回の減益修正に関しては「新規出店による収益獲得強化」を目標に掲げる基本方針に変更はないとしており、今後もM&Aにブレーキがかかる可能性は低そうだ。
2期連続でM&Aが一因の営業減益に
寛一商店グループから譲り受けた54店舗の2023年6月から2024年5月までの1年間の売上高は71億4800万円で、この数字が加わることで、2025年5月期の売上高予想を前回より38億5300万円多い647億3400万円(前年度比18.9%増)に引き上げた。
一方で、事業譲受に伴って費用が増加するほか、54店舗の2023年6月から2024年5月までの1年間の営業損益が2400万円の赤字だったこともあり、2025年5月期の営業利益予想は5億9900万円少ない3億5000万円(同61.8%減)に引き下げた。
前年度の2024年5月期も、M&Aによって53 店舗が増えたことなどで4.7%の増収となったものの、店舗数の増加に伴う販管費などの経費の増加により、営業利益は36.3%の減益となっていた。
2025年5月期は当初3.6%の営業増益を見込んでいたが、M&Aが一因となり2期連続の営業減益となる。

調剤薬局と並んでコンビニも対象に
ファーマライズが2024年に適時開示したM&Aは3件で、2010年以降の年間M&A件数では2015年と2020年の2件を上回り最多となった。
2024年の3件のうち2件は今回の寛一商店グループの調剤薬局事業の譲り受けと、東名阪地域で調剤薬局を運営するGOOD AID(名古屋市)の子会社化で、残りの1件はコンビニエンスストア「ファミリーマート千代田PA下り店」(茨城県かすみがうら市)の取得だった。
基本方針の「新規出店による収益獲得強化」には調剤薬局だけでなく、売上高で全体の15%ほどを占める物販事業分野のコンビニエンスストア事業も含まれており、今後もコンビニエンスストアは調剤薬局と並んでM&Aの対象となることが予想される。

文:M&A Online記者 松本亮一
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