
業務の設計から実行、管理などの代行や支援を、中小企業に特化して行うスターティアホールディングス(HD)<3393>は、今後3年間(2026年3月期~2028年3月期)にM&A戦略を強化する。
当面は「顧客を買うM&A」に注力し、その後は「サービスを買うM&A」に軸足を移すことで、3年後の2028年3月期にM&Aとシナジー領域だけで80億円の売上高と、8億円の営業利益を上積みし、既存事業と合わせた同期の売上高370億円、営業利益50億円を目指す。
3年で100億円を投入
同社は資金を短期間に回収できる小規模な企業を対象にするロールアップ型のM&A(複数の中小企業を買収し、統合することで一つの大きな企業として成長を目指す手法)を計画しており、今後3年間にこうしたM&Aに100億円を投じる。
まずは「顧客を買うM&A」を優先的に行うことにしており、オフィス向けOA機器の販売や、ネットワーク、セキュリティ、光回線、パソコン販売などのほか、Webサイト制作などを手がける企業700社ほどの中から候補先を絞り込む。
これまでも「顧客を買うM&A」に取り組んでおり、2007年に同業者から事業を譲り受けたあと、2024年の富士フイルムBI奈良の取得まで、主な案件だけで14件の企業買収や事業譲受を実施してきた。
この結果、2025年3月時点で承継したITインフラ系の顧客数は、全顧客数5万社の40%ほどに当たる約2万社に達しており、今後はさらにM&Aなどを通じて顧客数を増やし、3年後には顧客数を現在の2倍の10万に引き上げる。
その一方で2028年3月期に向け「サービスを買うM&A」にも着手する計画で、デジタルマーケツールやWeb制作、広告、コンサル、BPaaS(業務プロセスをクラウド経由で提供するサービス)などの「DX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)ソリューション領域」や、「AI(人工知能)関連事業」、「セキュリティ分野」などでM&Aの対象となる企業や事業を探索する。
売り上げ、営業利益が過去最高を更新
矢野経済研究所が2024年11月に発表したBPaaSなどを含めたBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査によると「安価なクラウド基盤システムの普及に合わせて、BPOサービス利用企業が中堅、中小企業に広がりを見せており、市場は今後も拡大基調で推移する見込み」という。
こうした業界の中にあって、同社では5万社を超える顧客基盤力をはじめ、営業力や開発力、デジタルツールの活用力の四つの力を活かした「中小企業向けのBPaaSを提供できるのが強み」と分析する。
BPaaSを手がける企業は数多くあるが、中小企業に特化して事業を展開している企業は少ないという。
こうした取り組みが功を奏し、2025年3月期は売上高222億1100万円(前年度比13.5%増)、営業利益27億3700万円(同19.9%増)と、ともに過去最高更新した。
総売上高の80%強を占めるオフィス環境の構築や光回線の提供、ネットワーク環境の構築などからなる「ITインフラ関連事業」と、総売上高の20%弱を占める統合型SaaS(サービスとしてのソフトウエア)ツールの提供などからなる「デジタルマーケティング関連事業」で事業を構成しており、いずれも好調に推移したことから2ケタの伸びとなった。
2026年3月期は8.5%の増収、9.6%の営業増益を見込んでおり、売り上げ、営業利益がそろって2期連続の過去最高を更新する見込みほか、2027年3月期、2028年3月期もともに、既存事業で売り上げ、営業利益ともに過去最高を更新。
さらに2028年3月期はM&Aとシナジー領域の売り上げと利益が加わり、大幅な増収営業増益となる見込みだ。

文:M&A Online記者 松本亮一
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
M&A速報、コラムを日々配信!
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック