【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」
峯田和伸(銀杏BOYZ) Photo:石原敦志

Text:兵庫慎司 Photo:石原敦志



2025年5月9日(金) に、東京・豊洲PITにて開催される、『Toyosu PIT 10th ANNIVERSARY 銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』を控えて、羊文学にメールでインタビューを行って先日 アップ(https://lp.p.pia.jp/article/news/416055/index.html) したが、今回は銀杏BOYZ編。



フェス2本、ライブハウス4本で、レコードショップでの弾き語りでのインストアライブ1本、計7本のアメリカ西海岸ツアーから帰ってから1週間のタイミングで、峯田和伸が取材に応じてくれた。なお、羊文学も4月に、ライブハウス4本とフェス1本のアメリカ・ツアーを終えてから、この対バンに臨む。



──アメリカ西海岸ツアー、いかがでした?



最高だったよ。ほんと、言葉では言い表せないくらい、すごい体験をしてきました。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──どんなふうに決まったツアーなんでしょうか。



もともとは、2006年にきっかけがあって。Shinobuっていうアメリカのインディー・バンドが、銀杏の「BABY BABY」をカバーしてるっていう噂があったんだけど、彼らからメールが来て、「よかったらアメリカに遊びに来なよ」と。当時のマネージャーがハワイで結婚式を挙げることになって、どうせハワイ行くんだったら、もう流れで遊びに行っちゃおう、ってことで、銀杏メンバーや友達、結婚式に参加した連中で、そのままShinobuの地元のサンノゼに行くことになりました。サンノゼはサンフランシスコが近いんですけど、そこで10日ぐらい遊び倒して来たの。Shinobuのボブが、毎日いろんなところに連れて行ってくれてね。その時に、たまたまギルマンでライブをやることになっちゃって(924 Gilman Street。バークレーにある、パンクの聖地)。ライブを観に行ったら、出演をキャンセルしたバンドがいて、その代わりにやらないかってことになってね。



それ以降、Shinobuのボブとは、なんだかんだつながりがあって。「いつかアメリカにツアーに来なよ」って言われてて、行きたいと思ってたんだけど、なかなか実現はできずに。という中で、もうひとり、銀杏マニアのオリヴァーっていうアメリカ人がいて。一昨年にそいつから「日本に遊びに行くから会ってくれ」ってDMが来たのよ。きいたら、Shinobuの連中ともつながってるのがわかったから、面倒見ようかなと思って、東京でオリヴァーを連れ回して遊んでたの。そしたら「僕の夢は、銀杏をツアーでアメリカに呼ぶことです」と。それで、Shinobuの連中とオリヴァーが、実現させようと動き始めたのが、去年の1月ぐらいかな。「イベンターとかなしで、俺らで全部ツアーを作るから」って、手作りのツアーが企画されて、それで行けたの。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──アメリカでもヨーロッパでも、日本のバンドを呼ぶエージェントがいて、彼らに頼むことが多いみたいですけど──。



そうじゃなくて、ほんとにShinobuとオリヴァーとまわりのバンドたちの、手作りのツアーだったから。その分、移動とか大変だけど、おもしろそうだなと思って。Shinobuもね、この5年ぐらい活動してなかったの。メンバーのひとりが、仕事の都合でオーストラリアに行っちゃっていたりして。で、「銀杏が来るんだったら、俺らも久しぶりに集まってツアーを回ろう」というので、Shinobuが全公演ツアーのサポートをしてくれました。あとは各公演に地元のバンドが1~2つ出る。っていうのがライブハウスで、フェスに関しては向こうで2本目のライブだったんだけど、アイダホ州のボイシっていうところで行われた『Treefort Fes』に参加しました。全米中からバンドが集まる大きいフェスで。400バンドぐらい出るの。街の公民館とかライブハウスとか、200個ぐらい会場が作られて。俺らがやったのは、古くからある劇場みたいな、600人ぐらい入る会場で、超満員だったの。トリで、夜の11時半ぐらいだったんだけど、こんな時間にこんなに人来んのか、っていうくらい来て。そういうフェスもあって、最後に出たロサンゼルスのフェスは、出演バンドは20バンドぐらいかな。



──ライブハウスはどれくらいのキャパ?



最初のシアトルはね、新宿ロフトぐらいで、ソールドアウト。リノもロフトぐらいで満員で、サンノゼも区民センターみたいなところだったんだけど、ステージがなくて、バンドをお客さんが円形に囲んでる感じで。そこも満員で、450人ぐらい入ってた。バークリーのパンクの老舗・Gilmanも、ソールドアウトで500人ぐらい。最後のロサンゼルスのフェスは、俺らのステージは1000人ぐらいで、そこも埋まった。わけわかんないよね、なんで埋まるのか。うちの曲を知ってる人もいっぱいいるし。びっくりした。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──最高だったというのは?



日本語の曲しかないけど、言葉関係なく、お客さんとあんなに、日本と変わらず盛り上がれるのとか。アメリカだからこうしよう、とかじゃなく、いつもどおりのライブをしようと思ってやったんだけど、それがすごいあったかく迎えられたというか。終わったあと、楽屋とかないからさ、ステージの脇のフロアとか、外とかで着替えるわけじゃん。みんな話しかけてくれんの。日本だったらサイン書いたり、写真撮ったりだけど、そういうのないからさ。「よかったよ!」「最高だったよ、おまえら」ぐらいで。そのコミュニケーションの感じが、すごく新鮮だった。



──大変だったことは?



移動。街と街の間が、クルマで7時間8時間かかるから。途中で雪山を通って、タイヤのチェーンが壊れてとか、そういうトラブルもあって。で、なんとか次の街に辿り着いたら、もう2時間後にライブ。身体ガチガチなところで、なんとか準備して、江口くん(マネージャー)は物販の準備をして。ライブに向けて、自分で自分のことに集中しないと、いいライブになんない。日本だったらさ、スタッフがいてさ、話し相手もいてさ、冗談を言ったりしながら準備ができるけど、そんな余裕、まったくない。その現実が、つらいんだけど、終わったあとは、達成感というか。カリフォルニアでは、21時以降は危なくて外に出れないって言われたし、ホテルでウーバーイーツ頼むんだよね。そのおいしいことおいしいこと!



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──(笑)。



沁みんのよ。「やっとひとりの時間だ!」みたいな。大きいクルマを借りられなかったんですよ、契約の関係で。だからミニバン4台で、メンバーとスタッフと機材で……荷物も全部入れるから、ギュウギュウなのよ。それで毎日8時間走って、着いてすぐライブで、後片付けも全部自分たちでやって……なかなか日本では味わえない。ゴイステ(GOING STEADY)時代を思い出したよ。



──サンノゼのライブは、6曲目の途中で終わりになってしまったそうで。



そこね、ライブハウスではなくて、市のフリースペースみたいなところで、22時に完全に音止めだったの。でも俺ら、それを知らされてなくて。トリで、俺らが始まる段階で21:30くらいだったの。50分やる予定が……残り30分しかないってわかってたら、30分のセットリストを考えられたけど、知らなかったからそのまま演奏してたら、突然音が止められて、照明が明るくなって、会場のスタッフが入って来て「NO!」って。お客さんみんな騒然として。



でもさ、そのあとのはからいが、すごくて。Shinobuの奴らが、責任を感じたみたいで。俺らの前に出演していたShinobuが、長めにやっちゃったから、銀杏がちょっとしかできなかった、と。で、会場を出た眼の前に通りが走ってて、その向かいに公園があんの。「峯田、あそこでアコースティック・ライブやりな」って。お客さん、半分以上が帰ってなくて、みんなでそこに移動して、「BABY BABY」を歌ったの。すっごい空間だった。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──インスタを見ると、ライブ以外も──カート・コバーンのベンチとか、行きたい場所を回ったりもしたみたいですね。



時間に余裕があった時はね。特にシアトルは、行きたいところがいっぱいあったので。『ツイン・ピークス』の舞台になったところも行けたし。



──「こんなに『ツイン・ピークス』を好きだったのか」と思いました。



大好き。ちょっとね、言っときたいことがあって。1991年というのは特別で。僕の実家、それまでボロボロのちっちゃい家だったのが、1991年に改築したんですよ。中学校2年生で、家が完成して、「広くなった、自分の部屋ができた!」っていうのと同時に、家にWOWOWが入ったの。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──そうだ、WOWOWが始まったの、1991年だ。その最初の売りが『ツイン・ピークス』の放送だった。



WOWOWで、イタリアのサッカーリーグ、セリエAの放送が始まって、食い入るように観て。それと同時に『ツイン・ピークス』が始まって、「うわ、このドラマすげえおもしろい」と思って。あとニルヴァーナの『NEVERMIND』が発表されたのが、1991年で。自分にとってはすごい特別なの、あの年が。ネットで調べたら、『ツイン・ピークス』に出てくるダイナーは、今でもあのまま残っているらしい。せっかくアメリカに行くんだったら、このツアーにはシアトルも入ってるし、絶対行きたいと思ってて、ライブ前日にみんなで行って。いろいろ買って来たよ、グッズ。



──あ、グッズもあるんですね。



いっぱいある。世界中からファンが集まるところだから。シアトルって当時、すごかったよね。ニューヨークとかロサンゼルスに比べたら小さい街なんだけど、シアトルに着いたらいきなり大雨で、止んだと思ってもずっと曇り空で。わかった、ああいう音がなんであの街から生まれんのか。山形とそっくりだった。肌寒くてさ、雨ばっか降ってさ、森いっぱいあってさ。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

カートの家も行ったし。自殺した部屋は取り壊されてたけど、家は残ってる。あの公園の、カートとコートニー(・ラヴ)がよく座ってた、有名なベンチのすぐ隣に家があって。鬱蒼としてんだよ。クルマで5分ぐらい行くと高級住宅街なんだけど、そこに住まないで、その陰鬱な一軒家に住んでたの。写真撮ったけど、それは載せたくないな、SNSには。



──相当気に入ったんですね、シアトル。



俺マジで、江口くんに言ったけど、住むかもしれない。二拠点生活。シアトル近いもん、飛行機で9時間だもん。曲はデータでやりとりできるし、メンバーと。シアトルに住もう!



──またツアーもやる?



やりたい。今回、就労ビザ取ったのね。それ、3年間有効だから、その間にもう一回行きたい。



──で、6月~7月で、横浜・名古屋・大阪・東京のZeppツアーがありますけど。



うん。ぶっちゃけるけど、今回のアメリカ・ツアー、まったく儲かってないのよ。



──(笑)。まあそうでしょうね。



赤字! それを埋めるツアーが、このZeppツアーなの(笑)。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

──じゃあ内容とかは決めてない?



うん。でも、このアメリカ・ツアーで鍛えられた実感あるんですよね、バンドとして。だいぶ自分の中で、意識、変わったところもあって。俺は日本語で普段生活してるし、作る歌も日本語で、それをお客さんに向けて歌うってことをやってきたけど。それに頼らないで……言い方、難しいけど、アメリカでは、言葉では伝わらないからこそ、気持ちでぶつかんないといけないな、っていうのが、3カ所目ぐらいで実感があったの。それが「あ、できた」っていうのがあって。今までも、気持ちをお客さんに届けるっていうのは、やってきたつもりだったんだけど……今までと違うことを、見つけられたんだよね。アメリカで、あそこまでの環境で、ああやることしかできなかったからこそ、見つけられたっていうか。それが、自分の中で収穫っていうか。これから日本でも、こういう感じでやれたらいいな、っていうのが、見つかった気がした。



──そのツアーの前に、5月9日(金) に豊洲PITで、羊文学とのイベントがありますが。羊文学は、どの程度ご存知でした?



羊文学は、僕、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる。



──いつ知ったんですか。



最初はジャケ買いしたの。7年ぐらい前かな。『若者たちへ』っていう、最初のアルバム。日本の新しいバンドのレコードもけっこう買ってて、その中でも羊文学は曲が好きで、このバンドは集めようと思って。でもそういうことはさ、今は訊かれたから言ったけど、普段自分から言うことでもないじゃん。ファンとして楽しんでるだけだから。そしたら5年くらい前に、彼女たちが、ゴイステの「銀河鉄道の夜」をカバーしていいですか?っていうのがきて、「おわ、すげえ」と。でも、そこから何もコンタクトはしてなくて。だから今回、好きなバンドと対バンできるな、っていう。アメリカのお客さんたちにも「羊文学、アメリカに来るんだよね」って言ってた人、いたから。「日本で対バンやるんでしょ?」ってことまで知ってる人もいた(笑)。



【銀杏BOYZ:インタビュー】『銀杏BOYZ×羊文学“じゃぽんVol.1”』開催間近「羊文学は、CDとレコード、全部持ってる。カセットまで持ってる」

★銀杏BOYZ サイン入りポラをプレゼント!



【応募方法】
ぴあ音楽編集部SNS(XまたはInstagram)からご応募ください。



①ぴあ音楽編集部・Xから応募
・ぴあ音楽編集部( @OngakuPia(https://x.com/OngakuPia) )のXアカウントをフォロー。
・該当ポストを応募締め切りまでにリポストしてください。



【応募締め切り】
2025年5月22日(木) 23:59まで



【注意事項】
※当選者の方には5月23日(金) 以降にXアカウントよりDMにてご連絡いたします。やむを得ない事情によりご連絡や発送が遅れる場合もございますのであらかじめご了承ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。



②ぴあ音楽編集部・Instagramから応募
・ぴあ音楽編集部のInstagram( music__pia(https://www.instagram.com/music__pia) )フォロワー限定。
・該当投稿のコメント欄にお好きな絵文字をお送りください。



この投稿をInstagramで見る
(https://www.instagram.com/p/DJGvOWihfJq/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading)

ぴあ音楽(@music__pia)がシェアした投稿(https://www.instagram.com/p/DJGvOWihfJq/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading)



【応募締め切り】
2025年5月22日(木) 23:59まで



【注意事項】
※当選者の方には5月23日(金) 以降、InstagramアカウントよりDMにてご連絡いたします。発送先等の情報を頂くために、問合せメールをご連絡します。ご自身のメールアドレスや住所などの個人情報をDMに記載しないようにご注意ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※既にフォローをいただいている方もご応募の対象となります。
※応募するInstagramアカウントを公開状態にしてください。
※日本国内に在住し、郵便物・宅配物の受け取りが可能であることをご確認ください。
※このキャンペーンにInstagram(META社)の関連はございません。



<公演情報>
『Toyosu PIT 10th ANNIVERSARY 銀杏BOYZ×羊文学”じゃぽんVol.1”』



2025年5月9日(金) 東京・豊洲PIT ※SOLD OUT
開場 18:00 / 開演 19:00
出演:銀杏BOYZ / 羊文学
公式サイト:
https://japon-pialive.com



<ツアー情報>
『昭和100年宇宙の旅』



6月6日(金) 神奈川・KT Zepp Yokohama
開場 17:30 / 開演 18:30



6月11日(水) 愛知・Zepp Nagoya
開場 17:30 / 開演 18:30



6月18日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
開場 17:30 / 開演 18:30



7月8日(火) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
開場 17:30 / 開演 18:30



【チケット情報】
1Fスタンディング:7,500円(税込/ドリンク代別)
2F指定席:7,500円(税込/ドリンク代別)
https://w.pia.jp/t/gingnangboyz-25/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558175&afid=P66)



銀杏BOYZ オフィシャルサイト:
https://gingnangboyz.com



編集部おすすめ