w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」
『TOUCH THE PINK MOON』 Photo::小杉歩

Text:森智之 Photo:小杉歩



w.o.d.の自主企画イベント『TOUCH THE PINK MOON』が4月24日 恵比寿LIQUIDROOM、4月25日 梅田CLUB QUATTROで開催された。



『TOUCH THE PINK MOON』は、ミュージシャン/バンドマンとして活動する一方、超ディープな音楽ラバーたちでもあるw.o.d.のメンバーが、リスペクトするゲスト出演者を招いて開催するイベント。

4回目となる今年はドミコ、SATOHが出演し、DJとしてKen Mackay(w.o.d.)、TAISHI IWAMI(SUPERFUZZ)が登場。さらにアーティストのYUGO.によるオリジナルデザインのシルクスクリーン体験コーナー「"YUGO.Design Silk Screen Printing" in TOUCH THE PINK MOON」が行われるなど、音楽を中心にした様々なカルチャーを体感できた。



w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」

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w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」

恵比寿LIQUIDROOMに入った瞬間、『TOUCH THE PINK MOON』のポスターをレイアウトされたディスプレイが目に飛び込んできた。ロビーフロアには、映像ディレクターの元によるブラウン管のテレビを使ったオブジェが展示され、なぜかウサギの着ぐるみを着たパフォーマー(?)が観客とコミュニケーションを取っている。

w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」

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ライブフロアではTAISHI IWAMI(SUPERFUZZ)のDJプレイの真っ最中。Oasis、BECK、JIMMY EAT WORLDからハリー・スタイルズ、The1975のヒットチューンをつなげ、オーディエンスのテンションを引き上げる。体にビリビリくるほどの音量が気持ちいい。



w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」

TAISHI IWAMI(SUPERFUZZ)
w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」

最初のバンドアクトは、Linna Figg(vo)、Kyazm(g/mp)によるロックデュオ・SATOH。「ここがどういう場所か教えてくれ」(Linnna)という挨拶とともに放たれたオープニングナンバーは「TOKYO FOREVER」。サビのコーラスを観客に歌わせようとしたLinnaはいったん演奏を止め、「“もっといけるな”と思ったでしょ? 今日はそういうのナシにしよう」と煽る。さらにバウンシーなビートに乗ってオーディエンスが飛び跳ねた「21 century boys」、鋭利なバンドグルーヴと〈ニヒルやめろmy friend〉という挑発的なフレーズが響き合う「OK」を放ち、瞬く間にフロアを掌握してみせた。



「今日は『TOUCH THE PINK MOON』ということですけど、俺らにも空にまつわる曲があるんで、それをやります」というMCから始まったのは「RAINBOW」。

天然のオルタナティブと称すべきバンドサウンド、ラップ的なセンスを感じさせるボーカル、〈ネジ外れてる心臓/動脈感じてるpulse〉というラインがぶつかり合い、緊張感と解放感を同時に感じさせるステージへとつながっていく。



w.o.d.自主企画『TOUCH THE PINK MOON』 4回目の開催はドミコ、SATOHらが登場「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」

SATOH

個人的に強く惹かれたのは、「彼女に捧げます」という言葉から始まった「愛し合うとして」。フライングVを置いてハンドマイクを握ったLinnaは痛みにも似た切なさを滲ませるメロディとともに〈あなたのために死にたい〉という歌詞を響かせる。エモーショナルに振り切った歌もまた、このバンドの大きな魅力だ。



「時間が短くても、ここにいる大半の人は僕らを初めて観たとしても、燃やし尽くしたいんですよ。みんなも同じ気持ちだったりしますか?」というMCからライブは後半へ。最後は“絶対にデカくなってやる”という意思を漲らせた「Big Man」。無限のポテンシャルとカリスマ性をはっきりと見せつけた濃密なアクトだった。



転換中のDJはKen Mackay(w.o.d.)。The Prodigy、The Chemical Brothers、Primal ScreamとUKアーティストのビッグチューンを並べ、会場の熱気をさらに上げていく。DJブースにはw.o.d.のサイトウタクヤ(vo,g)、中島元良(ds)も姿を見せ、笑顔で踊っている。こういう距離の近さもまた、『TOUCH THE PINK MOON』の楽しさだ。



Ken Mackay(w.o.d.)

続いてはドミコ。この日も、さかしたひかる(vo,g)とサポートドラムの高石晃太郎でステージに上がった。歪んだギターを鳴らし、〈朝なのか 夜中なのか/そのまま体はとけてしまったのか〉と気だるく歌い上げた次の瞬間、強靭なドラムが叩きつけられ、一気にスピードアップ。1曲目は「びりびりしびれる」。ギターフレーズとボーカルの“一人ユニゾン”を交えながら、どこまでも性急に突き進む両者のアンサンブルにしびれまくる。



研ぎ澄まされたギターリフから始まり、〈飛び込みたいなあ 地獄でいいよん〉というフレーズを伴って予測不能な展開を見せる「てん対称移動」、さらにビートの速度を上げ、爆発的なロックンロールを出現させた「ペーパーロールスター」(間奏パートの即興的なセッションもカッコいい!)、パーカッシブなビートを軸にしたプリミティブなグルーヴ、〈格別なハートビートで/揺らしてくれよ べいべー〉というラインが共鳴する「解毒して」を続けざまに演奏。ルーパーを使った有機的なアンサンブル、インプロビゼーションを含んだ両者のやり取り、日本語の響きをアンプリファイさせるような歌もすごいが、もっとも強いインパクトを放っていたのはやはりギター。オルタナ、ブルース、グランジ、ファンクなどが混然一体となったさかしたのプレイはやはりとんでもない。



さらに「幽霊みたいに」「問題発生です」を続けライブは終了。“サンキュー”以外のMCはまったくなく、特に客を煽ることもなく、強烈な熱狂を生み出したドミコ。理性をぶった切るようなパフォーマンスは流石としてか言いようがない。



ドミコ

TAISHI IWAMIがblur「Song2」、THE VINES「Get Free」、NINE INCH NAILS「Wish」などのアンセムをスピンし、フロアのテンションは最高潮。

そこに登場したのは、このイベントの主催者であり、天性のパーティー・ピープル、w.o.d.だ。



w.o.d.

ヴァニラ・ファッジの「Ticket to Ride」とともにステージに上がった3人は、ダンサブルなビートと歪みまくったギターがぶつかり合う「モーニング・グローリー」でライブをスタートさせた。冒頭6曲はノンストップ。骨太のベースラインから始まり、一瞬にしてトップスピードに達した「Balaclava」、「『TOUCH THE PINK MOON』へようこそ。遊ぼうぜ」(サイトウ)という呼びかけとともに放たれた「Kill your idols,Kiss me baby」、パーカッシブな打ち込みビートを交え、さらに強烈なグルーヴを生み出した「エンドレス・リピート」、ファンキーな爆発力を打ち鳴らし、〈La la la la la〉の大合唱が生まれた「lala」(観客のノリの良さにサイトウは親指を立てて応える)、そして、パンキッシュに突き進むサウンドとノスタルジックな旋律が狂舞する「1994」へ。演奏の精度はさらに高まり、観客に熱狂的な解放を与えるステージングもさらに進化。メジャー1stアルバム『あい』を引っ提げた全国ツアー『I SEE LOVE Tour』によって、w.o.d.のライブは確実にネクスト・フェーズへと突入した。そのことを確信させる圧巻のステージだ。



Ken Mackay(b)

「友達みたいに遊びに来てくれて、最高です。自由にやりましょう。よろしく」(サイトウ)という簡潔にして完璧なMC、さらに軽いセッションを挟み、「バニラ・スカイ」。鋭いビートと煌びやかなギターフレーズ、〈あなたを照らせる光を探して〉というフレーズが共鳴し、“踊りながらグッとくる”最高のシチュエーションを演出。

会場を照らし出すミラーボールの光が眩しい。「オレンジ」では再びシンガロングが巻き起こり、会場全体がひとつになっていく。



中島元良(ds)

「パーティーしてますか? パーティーって、アホな言葉ですね。好きです」から始まり、このイベントについて改めて話したサイトウ。



「ワンマンや対バンとは違う、カルチャーを押し出して、みんなで面白いことができたらいいなというのがありました。仲いい友達と純粋に遊ぼうという感じで始めたんですけど、集まってくれてうれしいです」というサイトウに対し、大きな拍手と歓声が送られた。



サイトウタクヤ(vo/g)

「今日は踊らせるためだけに来てるんで!」という言葉を合図にライブはクライマックスへ。「馬鹿と虎馬」「Wednesday」「踊る阿呆に見る阿呆」とアッパーチューンを連発。イントロが始まるたびにすさまじい歓声が沸き、フロアの熱気がグングン上がっていく。ラストは最強のアンセム「My Generation」。“ロックで踊る”の最高峰を更新するシーンが実現し、イベントはエンディングを迎えた。



w.o.d.

この後、w.o.d.は『FREEDOM NAGOYA 2025』『COMING KOBE25』に出演、ツアー『I SEE LOVE Tour』の振替公演を大阪、名古屋で行った後、5月29日(木)には恵比寿LIQUIDROOMにてハンブレッダーズ、w.o.d.、Kannaのスリーマン『TOUCH THE GOOPAN CHECKERS』を開催。

同じマネジメント事務所 “株式会社次世代” に所属する、w.o.d.とハンブレッダーズ、そして名古屋から現れた新星・Kannaによる共演はまさに必見だ。



w.o.d.


<公演情報>
w.o.d. presents “TOUCH THE PINK MOON”



2025年4月24日 東京・恵比寿LIQUIDROOM
出演:w.o.d. / ドミコ / SATOH
DJs:Ken Mackay(w.o.d.) / TAISHI IWAMI(SUPERFUZZ)



セットリスト

SATOH
1.TOKYO FOREVER
2.21 century boys
3.OK
4.RAINBOW
5.ゆらせJP
6.愛し合うとして
7.Fuse
8.Big Man

ドミコ
1.びりびりしびれる
2.てん対称移動
3.ペーパーロールスター
4.解毒して
5.幽霊みたいに
6.問題発生です

w.o.d.
1.モーニング・グローリー
2.Balaclava
3.Kill your idols,Kiss me baby
4.エンドレス・リピート
5.lala
6.1994
7.バニラ・スカイ
8.オレンジ
9.馬鹿と虎馬
10.Wedneseday
11.踊る阿呆に見る阿呆
12.My Generation



<ツアー情報>
『w.o.d. presents “I SEE LOVE Tour”』



※終了分は割愛
2025年5月22日(木) 大阪・なんばHatch(振替公演)
2025年5月23日(金) 愛知・名古屋DIAMOND HALL(振替公演)
開場18:00 / 開演19:00

【チケット情報】
前売:4,600円(税込)
※ドリンク代別途必要
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=F9180001(https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=F9180001&afid=P66)




<イベント情報>
『TOUCH THE GOOPAN CHECKERS』



5月29日(木) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
開場 17:30 / 開演 18:30
出演:ハンブレッダーズ / w.o.d. / Kanna

【チケット情報】
スタンディング:4,800円
※入場時ドリンク代別途必要
https://w.pia.jp/t/touchthegoopancheckers/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2557674&afid=P66)



w.o.d. 公式サイト:
https://www.wodband.com



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