
11月18日(土) に新宿・歌舞伎町4会場で開催されるPK shampoo主催のサーキットフェス「PSYCHIC FES」。出演ラインナップには、責任プロデュースを担っているヤマトパンクスとつながりの深い、個性豊かな面々が集結している。
――座談会第二弾ですが、改めてこの「PSYCHIC FES」とは何なのかというのをヤマトさんから説明していただけますか?
玉屋 得体が知れなすぎて(笑)。
ヤマト えっと、まあ……要は最高のパーティーを作りたかったってことです(笑)。そのパーティーにはもちろんWiennersやシンガーズハイにも来ていただきたいなと。そうやって「この人も呼びたいな、この人も呼びたいな」って思って誘っていたらZepp Shinjukuがすぐパンパンになっちゃったので、じゃあ会場を増やそうと。とにかくそういう「もっと!」の精神でこうなった感じです。手伝ってくれている大人たちに「これ以上はやめて!」って半泣きで言われてストップしました。本当はもっと増やしたかったです。

玉屋 でもなんか意外だなって思いました。ヤマトってこういうことするんだって。僕のなかのイメージだと、自ら率先してこういうイベントごとの旗を振るタイプじゃなかったんで。
内山 PK shampooっていうバンド自体が自分たちのことは自分たちでやるのでっていう形が結構強めだと思うので意外でした。でもヤマトさんの人間的なところで言うと……僕、ヤマトさんが東京に越してきてから事あることに急に電話がかかってきて「今どこどこにいるから来い!」って呼び出されることが多くて。で、「ふたりしかおらんくて寂しいから来て」って言うから行ったら10人、20人集まってる、みたいなのが常なんです(笑)。
玉屋 はははは!
内山 そういう、常に『ONE PIECE』の宴会みたいなことをやってる人なんです。それって誰もができることじゃないじゃないですか。人を巻き込むことができる才能は間違いなくヤマトさんにしかないものだと思うんで、そういう意味ではらしいといえばらしいのかなと。

内山ショート(シンガーズハイ)
――Wiennersとシンガーズハイというのはヤマトさんにとってどういう存在なんですか?
ヤマト やっぱりライブがいいし、曲もいいし。Wiennersは学生のころから好きでライブもチェックしてたし、自分らの大阪でのイベントにも呼ばせてもらったりしたこともあって。さっき、内山が俺のことを呼び出すタイプだって言ってたけど、実は玉屋さんもめっちゃ人を呼び出すタイプなんですよ。一昨日も朝5時くらいに何回も電話がかかってきて。
玉屋 いや、もしかしたら来るかな?って。
ヤマト ほんまに行ったらどうすんねん、って(笑)。そういうところも共通点じゃないですけど、好きだし。逆に内山は最近断り方を覚えてきてて、最初から「行かない」って言うと「なんで来ないんだ」とか「明日何かあるのか」って話で長引くから、こいつ最近は「行きます」って言って来ないようになってる。で、後日「おまえ最近勢いあるからって天狗なってるんか!」とか言ってまた大騒ぎして(笑)。でもまぁ、イベントの出演依頼なら来るかなって。
内山 だって行っても知らない人が10人くらいいるんだもん(笑)。ヤマトさんに会いたいから行ったのに、ほったらかしにされて全然知らない人と喋ってる。それもそれで楽しいところもあるし、それでその人と仲良くなったらいいんですけど。
ヤマト それは俺もあるよ。玉屋さんに呼ばれて行ったら、玉屋さん、朝5時くらいまでよくわからん昔のパンクの話とかを別の人としてるから。

――付き合いは長いんですか?
玉屋 初めて会ったのが2年くらい前だよね。ライブに呼んでもらって一緒にやったのが初めて。それまでももちろんバンドのことは知ってたんですけど、PK shampooが俺らに声かけてくれるのもそのときはめっちゃ意外だったんですよ。「俺らのこと知ってるんだ」って。それで、その大阪のイベントの直前に別のイベントで一緒になることがあったので、ちょっと話しに行こうかなと思って楽屋に行って話したのが最初ですね。

玉屋2060%(Wienners)
――ヤマトさんはWiennersのどこが好きなんですか?
ヤマト ……全部ですね。曲も唯一無二さがすごくあるし、ライブ映像とかも見てかっこいいなと思って。当初は本気で「こんなバンドになりたい」って思ってたけど、全然なれなかった(笑)。そういうの、結構あるんですよ。今回出てくれる先輩で言うと地元でずっと憧れてたSPARK!!SOUND!!SHOW!!とかもそうだし、ENTHとかも「こういう普段ふざけてて不良っぽいけどセンスあってかっこいい、みたいなバンドに憧れてたなぁ」って思う。俺は結局わけのわからん化け物になったんですけど。
――ああ、でも言いたいことはわかる。
ヤマト 内山と初めて会ったのいつだったっけ?
内山 2年前ぐらいかな。(下北沢)Daisy Barかどこかで、ヤマトさんが弾き語りで出ていたときだったかな。俺が普通にバンドで出てて、ヤマトさんは弾き語りで出てて。そのとき、僕はもともとPKのファンでライブ観に行ったりしてたんで「ファンです」って言ったら、「俺を好きなやつなんかいっぱいおるわ!」って言われて(笑)。
ヤマト 「お前もか!」みたいな(笑)。基本的に褒められても貶されても「その先に進む」ようにしてるんですよね。なめんなよと。
内山 「こんな返し方されるんだ」と思いました(笑)。で、その日の打ち上げの二次会かなんかで、ヤマトさんがまた宴みたいなことをやっている状態のなかに僕もちょっと突撃してみて。そのときの記憶は正直あまりないんですけど。

――SNSとかで伝わってくるふたりの関係性見てても、絵に描いたような先輩後輩っていう感じですよね。
ヤマト 俺は上に媚びて下を押さえつけていきますからね。
玉屋 昭和だな。
内山 自分も田舎の運動部上がりなんで、そういう縦社会の方が居心地はいいんです。
ヤマト でもシンガーズハイ、最近どんどん売れてますよね。許せない。先輩より勢いを出してはいけない。「おまえ、何勝手に売れてるんだ」ってよく言ってます。「干すぞ!」って(笑)。
玉屋 絶対に干せない人しか言わない言葉だよね。
スタッフ 最近は和田アキ子さんのコンサートのゲストパスを振りかざしてますよね。
ヤマト (スマホの裏に貼ったパスを見せて)お前アッコさんに言うぞ!って言ってます。
玉屋 すげえ武器見つけたな。
ヤマト この間までは一番上はスギム(クリトリック・リス)やったんですけど、今はアッコさん。
――水戸黄門の印籠並みだよね、これ。
玉屋 酔い覚めるわ、これは(笑)。

――今回呼んでいるバンドはみんな基本的には今話してくれたみたいな関係性がある人たち?
ヤマト 1回でも一緒に乾杯したり、対バンさせてもらったりした人しか呼んでないですね。
――ヤマトさんのなかで好きになるバンドや人と、そうじゃないバンドや人を分けるところってどこなんですか?
ヤマト 僕が初めて組んだバンドは大阪の十三にあったファンダンゴっていうライブハウスが一応ホームみたいな感じやったんですけど、そこの店長の加藤さんという人が僕のバンド人生最初の感動で。ファンダンゴって大阪のなかでもけっこう格式とか歴史があるライブハウスで、そこに初めて出させてもらったときに、ライブ終わってから加藤さんに恐る恐る「今日の演奏どうでしたかね」って聞いたら「そんなもん、俺にわかるかぁ!」って言われて(笑)。そこから何回も呼んでくれたんですけど、そのたびに「演奏のことはわからん!」とか言われるし、「CD作りたいんですよ」って相談しても「CDなんか作ってる場合か!おまえは歌詞がいいから詩集を先に出せ!」とか、よくわからんアドバイスばかりもらっていたんです。でも加藤さんは終始「おもろいバンドになれ!」ということはずっと言っていたんですよ。それはお笑いって意味じゃなくて、人として魅力のある人間にならないとバンドは続かないし、一瞬売れたりしてもそんなバンドは結構な割合でやめていくから、「おまえらこの街でやっていくならおもろないとあかんで!」みたいな。加藤さん自体もとんでもなく面白い人だし、それに感化されながら、自分自身それを目指してきたし、他のバンドに対してもそういう人間みたいな部分は重視してるかもしれないですね。偉そうな言い方ですけど。

ヤマトパンクス(PK shampoo)
――確かに今回の「PSYCHIC FES」のラインナップ見ても、音楽性で選んでいる感じはまったくしない。でもみんなキャラが濃い、「おもろい」人たちばかりですよね。
内山 でも僕はずっと今まで生きてきて「おもんないやつ」ってレッテルを貼られることが多かったような記憶があって。目立ちたがり屋なんですけど面白くない友達と一緒にいると大体「じゃないほう」の人間なんです。だからこそ自分にないものとして憧れ的なものもあって「こういうふうになれたらな」と思ってきたんです。でも影響を受けて真似をしようとしてもそれは違うんだろうなとは思うし、実際スベりそうな気がするんで。それを見習うか、逆に見習わないかで、自分らしさみたいなものを確立できるところは結構あると思っているので、僕の中でヤマトさんはそういう意味で結構キーになっている人だと思ってますね。大きい基準になる人でした。
ヤマト 「なる人でした」って、死んだみたいな言い方すんな!
玉屋 確かに(笑)。でも人間としての力があると言うのはバンドをやるためにもすごく重要になってくるので、ヤマトのそういうところは自分にはもともとないものだから、そこは吸収しないといけないなと見ている反面、「ああだけはなりたくないな」とも思う(笑)。あちこちでいろんな事件を起こすし。それぐらい話題があるってことはすごくいいことだとも思うけど。
ヤマト ファンダンゴイズムがすごいんで(笑)。
玉屋 それを聞いてすごく納得した(笑)。

――バンドである以前にひとりの人間としてどうしたいかっていうのが、この3組ともにある気がするんですよね。そこが共通点だし、今回のフェスのツボなのかもしれない。
ヤマト 「寂しい」とか「孤独」みたいなことって歌詞でよく歌われがちだけど、それを4人とか5人みたいなバンドの形態でやってることの矛盾は昔からずっと感じてたんですよ。悲壮感たっぷりに孤独歌ってる割にお前ら4人おるやん!みたいな(笑)。勿論それは重箱の隅を突きすぎというか形式上仕方ないことだとは思うけど、別に4人も5人もいるんだったら、もっといてもいいんじゃない?みたいな感じになって。だからロックバンドがサーキットとかフェスとかを主催していってもいいのかなっていう。そういう屁理屈のこね方をしていったっていうのは自分の中ではありました。
――Wiennersはトップバッターですね。
玉屋 そうなんですよ。トップバッターって大事じゃん。だから価値つけてくれたなって思いますね。
ヤマト タイムテーブルもいろいろな人たちと決めたんですけど、最初は「PKがトップバッターがいい」って言ったんですよ。最初に出て、そこからずっと飲んだりふざけたりしたいなって。でも「ダメだ」って言われて、泣く泣くWiennersにお願いしました。でもうれしいですね。最高のバンドでイベントを始められるので。

――PK shampooはもちろん最後ですけど、どんなライブになるでしょうね?
ヤマト えー、なんなんでしょう、まぁ多分もう号泣です。絵にならないぐらいに泣いちゃうかもしれない。
――何泣きなんですかね、それは。
ヤマト ドラ泣きです。その時はみんなもドラ泣きで「STAND BY ME」してもらえれば。よろしくお願いします。
――最初に「最高のパーティーを作りたい」と言っていましたが、ヤマトさんにとってそれはどんなパーティーなんでしょうね?
ヤマト 最高のパーティーは……「次のパーティー」じゃないですか?
玉屋 もうそこにはいない、っていうね(笑)。

Text:小川智宏 Photo:佐藤瑞起
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<公演情報>
PK shampoo presents『PSYCHIC FES』
11月18日(土) 開場11:00 / 開演12:00
会場:Zepp Shinjuku、新宿BLAZE、新宿MARZ、新宿Marble
【出演アーティスト】
愛はズボーン、a flood of circle、Wienners、ENTH、小林私、クリトリック・リス、後藤まりこ アコースティック violence POP、崎山蒼志、ザ・シスターズハイ、挫・人間、時速36km、Jam Fuzz Kid、ジュウ、シンガーズハイ、神聖かまってちゃん、SuU、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、多次元制御機構よだか、鉄風東京、DENIMS、東京初期衝動、PK shampoo、Hue’s、Blue Mash、Haze、Maki、浪漫革命、忘れらんねえよ
チケット料金:6,000円(税込・ドリンク代別)
https://w.pia.jp/t/psychicfes/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2345280&afid=P66)
公式HP:
https://pkshampoo.jp/psychicfes
関連リンク
PK shampoo HP:
https://pkshampoo.jp/
Wienners:
https://wienners.net/
シンガーズハイ:
https://www.singershigh.jp/