
石井ふく子演出、久本雅美が主演を務める2025年6月三越劇場公演、松竹創業百三十周年『花嫁 ~娘からの花束~』。2025年4月14日に都内で実施された取材会のレポートが到着した。
直木賞作家としても知られる脚本家・向田邦子が、『渡る世間は鬼ばかり』をはじめ数々の名作を生み出したプロデューサー・石井ふく子の依頼により執筆し、1977年に放送されたドラマ『花嫁』。東京・上野池之端の下町を舞台に、ある家族のもとへ舞い降りた母への縁談をきっかけに家族の絆を明るく深く描き出す名作は、昭和・平成と受け継がれ、ドラマ放送、舞台化も繰り返されてきた。
1977年に放送されたドラマ版から作品に関わる演出の石井は「『花嫁』は何回かやりましたけど、今回違う方々が出演されるので、もう1回『花嫁』の形を考えようとしております。私は、家の中に問題が起こってもそれをうまく解決できるような芝居を作っていきたいなと思いながら、ずっと家族のドラマをやってまいりました。今度も、心のあるドラマを作りたい。娘と息子と母親とがみんな心を通わせ、いろんな思いを表現できたらと思いながら、ここにお出でになる皆さんとご一緒に作りたいと思っております」と語った。

数々の名優が演じた主人公・片倉ちよを演じる久本は、「我慢強くて、ちゃきちゃきとして気持ちのいい人で、愛情もいっぱいあって、すごくかわいいチャーミングな人なので、自分なりに演じられたらいいな」と役への思いを馳せる。「『還暦すぎて恋をしちゃった』というセリフがあって、同世代の人たちから見てもすごく素敵なセリフだなと思うので、自分の中でもうまく咀嚼して、いくつになっても恋をする可愛らしい女性の思いを伝えられたらいいなと思っております」と意気込んだ。

ちよへ結婚を申し込む黒崎宇一を演じる羽場裕一は、「台本を読ませていただいた時は、途中から涙腺がゆるみ始めて、最後までずっとポロポロ泣いておりました」と告白。「流れている空気感が柔らかくて、懐かしくて。難しいこともなく、ただただ真心同士が行き交っているだけという、本当に綺麗な台本だなと思って。それをやらせていただくということにはプレッシャーを感じているのですが、皆様に納得いただけるよう、ちよさんに『お嫁に行ってもいいよ』と言っていただけるような男を演じたいと思います」と、作品に感じた魅力と自身の思いを明かした。

ちよの長女・巴役の小林綾子は、これまでに何度も同作に出演しており「向田邦子さんの、心のひだを描いている作品がとても大好き」とコメント。「10歳の頃からお世話になっている」という石井演出の魅力については「とても人の心を大切にされること。いつも先生は『形じゃなくて気持ちでお芝居をしなさい』とおっしゃるんです。大事なポイントを本当に熟知してらっしゃって、指導してくださいますし、だからこそ先生がいつも演出されるお芝居には、ずっとあたたかいものが通っている感じがします」と表した。

ちよの長男・良一役の丹羽貞仁も、石井演出を受けてきたひとり。「役者全員、カンパニー全員に心を配って、演出される時には目の前までお越しになられ、ひとつひとつの表情、目の動きなどをお客様の立場で見てくださり、細かなことまで1個ずつ教えていただいたのが僕の最初でした。本当に石井先生には感謝しかなく、今回『花嫁』で再チャレンジできるのはすごく嬉しく思っております」と、笑顔をみせた。

一方、久本は今回初めてタッグを組む石井について「正直、大先生でオーラがすごいですから、怖いというイメージはありました」と苦笑。「でも、今まで先生とご一緒した丹羽さんや綾子ちゃんに『どういう人なの?』と聞いたら、皆さん『優しい』とおっしゃっていたので、やっと眠れるようになりました」と安心した様子。石井も「1度うちでお会いして、ちょっと台本を読んでいただいて、『ああ、よかったな』と思いました」と太鼓判を押し、会見の最後には、石井から「今度の皆さんとご一緒できることは、私の心の財産です。ありがとうございます」と心のこもった一言が飛び出した。

『花嫁 ~娘からの花束~』は、2025年6月1日(日)~24日(火) に三越劇場にて上演。

<公演情報>
『花嫁 ~娘からの花束~』
作:向田邦子
演出:石井ふく子
出演:久本雅美、小林綾子、上脇結友、石原舞子、瀬戸摩純、丹羽貞仁、羽場裕一 他
【東京公演】
2025年6月1日(日)~24日(火)
会場:東京・三越劇場
■チケット
全席指定:10,000円
発売日:4月29日(火・祝) 10:00~
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2447046(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2447046&afid=P66)
【地方公演】
6月28日(土) 14:00
富山・南砺市井波総合文化センター
6月29日(日) 14:00
石川・金沢市北國新聞赤羽ホール
7月5日(土) 14:00
福島・会津若松市會津風雅堂
7月6日(日) 14:00
岩手・一関文化センター
7月8日(火) 11:00 / 15:00
宮城・仙台市電力ホール
松竹公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/