〈カイロ大卒業詐称疑惑再び〉「れいこさんと話すとイジメられる」「みんな“おかしい”と思っても言えない」小池都知事を4年間追及した上田令子都議が感じていた“ファシズム”のような空気
〈カイロ大卒業詐称疑惑再び〉「れいこさんと話すとイジメられる」「みんな“おかしい”と思っても言えない」小池都知事を4年間追及した上田令子都議が感じていた“ファシズム”のような空気

30年以上も疑問視されてきた小池百合子東京都知事の自称「カイロ大学(首席)卒業」という学歴ははたしてウソなのか本当なのか。この問題に終止符を打つ可能性を秘めた元側近、小島敏郎弁護士が「文藝春秋」5月号に語った「学歴詐称工作」が波紋を呼んでいる。

小池知事が立ち上げた「都民ファーストの会」を離脱し、学歴詐称疑惑についても一貫して追及してきた上田令子都議が、元都民ファーストの会事務総長でもあった小島氏と小池知事との関係についても、赤裸々に語った。(♯1の続き)

「私との飲み会禁止令みたいのが出された」

――上田都議は今回、告発した小島さんと面識はありますか。

上田令子都議(以下同)私が離党する直前の時期に、小島さんは急に事務総長として都民ファ―ストにやってきたんです。もともと東京都の特別顧問の職にあった人が、なぜ政治団体の事務総長になるのか不思議でした。

小池さんは「NO政策NOプラン」というタイプの人で、好き嫌いや、その人の主義主張などは関係なく、とかく利用できる人を利用するって感じなんです。環境大臣時代は小島さんがよほど頼りになったのでしょう。それで都民ファーストでも同様の動きを期待したのではないでしょうかね。

——上田さんはなぜ都民ファを離党されたのですか。

小池百合子という人間に、政治を委ねたくないという思いからです。委員会での資料請求要求も禁止され、文書質問もダメと言われ、議会活動に著しく検閲がかかるというか、そういう粛清体質みたいなものがすごく嫌だったんです。

もともと仲のよかった都民ファの都議が『れいこさんと仲よくするとイジメられるから…』と目も合わせなくなったり、私との飲み会禁止令みたいのが出されたり、ファシズムのような雰囲気が本当に嫌で許せませんでした。

そもそもは小池さんから直接「都知事選に出馬するから協力してほしい」と要請されて都民ファに入ったわけですし、私が重視していた保育や待機児童対策を、この人を通してやっていけると思っていたんですけどね。
 

——小島氏は事務総長時代、どんな働きぶりだったのですか。



よくあの人(小池氏)にいつまでもくっついてるなと感心していました。でも、都民ファの中でも年長者だし、東大も出てるし、弁護士だし、最後は所属議員にとって面倒くさくて小うるさい存在になってお払い箱になってしまったのではないか、と思料してます。

このタイミングでの告発は、告示を直前に控えた衆議院東京15区の補欠選挙への影響も含めて、小池さんに一番ダメージを与えられる時期を選んだのかもしれません。

「記者会見の笑顔は一世一代の笑顔では?」

――今後、この学歴詐称問題はどう展開していくでしょう。

私は4年前から追及しています。支援者からは「(小池氏が卒業してないことは)もう誰が見てもわかるじゃない。

でも政府が認めちゃってるんだからあきらめなさいよ」と言われてたんですけど、都議会で一人くらいは「おかしい」と言い続けなきゃいけないと思ってます。

みんなが「おかしい」と思っているけど言えなかった、ジャニーズの問題と同じですよ。でも、日本人にはいい意味での同調圧力が働いて、突然ドミノ倒しのようにダダダーってひっくり返るじゃないですか。4年前は私も小池ファンみたいな人たちに嫌がらせをされたけど、最近は「上田頑張れ」「よくぞ言い続けてくれた」って声が多くなった。

そこに小島さんと北原さんの実名告発がきたという感じです。ブームのときは何をやっても評価されていた小池知事ですが、徐々に化けの皮がはがれて「都庁のプロジェクションマッピングになんでひと月7億円もかけるんだ」「お米クーポンいらねーよ」みたいな批判を受けるようになってきてます。



小池知事は自分で政策を考えられないから「とにかく私はかっこいいことがやりたいの」という“ノリの政策”が続けざまに破綻しているように思います。

——小池知事の4月12日の会見についてはどう思いますか。

悪あがきをしているように見えます。会見もニッコリ笑って応じていましたが、そりゃあ憔悴したところは見せられませんもんね。おそらくは何十年もかけて「絶対卒業したことにしてね」とエジプト本国やカイロ大に根回しをしてきて、大学側も今さら卒業してないと認めれば虚偽に加担したことになってしまうので、芝居を続けているんでしょうけど。

そもそも彼女は「カイロ大が卒業を認めている」と言い張っていますが、今回の告発は、そのカイロ大側に「認めさせるように画策した」という部分が核心ですからね。

偽装工作を頼んだのかという記者の質問には、ゴソゴソと聞き取れないような答え方で濁していましたけど。
 

——今回の騒動についてあらためて感想を。

「火のないところに煙は立たず。ウソつきは泥棒のはじまり。学歴詐称するような人間、それを疑われるような人間を知事にしておいてはいけないと思います。4月12日の会見でみせた笑顔は一世一代の笑顔ではないでしょうか? 50年前、二十歳の小娘がついた嘘がこんな大ごとになるとは思ってもみなかったでしょうから。



なんとかしてニュースキャスターの末席に潜り込んで、そこで名だたるキャスターたちの前でメッキが剥がれないよう必死だったんでしょう。結局「カイロ大卒業」というハッタリしか彼女にはなかったから、そこで嘘をつき通した。それで権力の階段を駆け上がって環境大臣から防衛大臣になった。国防ということになれば中東は一目おきますしね。

ーー思えば、大谷翔平選手の口座から1600万ドルも盗み出し、賭博を繰り返していた元通訳の水原一平容疑者も「カリフォルニア大リバーサイド校卒業」との学歴詐称疑惑が報じられたたばかりだ。自分を守るためについたウソが、他の誰かを幸せにすることはこれまでもなかったし、これからもないのである。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班