〈産休クッキー炎上中〉公園にいるママは「おめでたくていい」「配るくらい自由にさせてほしい」いっぽう丸の内OLは「自慢された気分になる」「配慮が足りない」〈100人の声〉
〈産休クッキー炎上中〉公園にいるママは「おめでたくていい」「配るくらい自由にさせてほしい」いっぽう丸の内OLは「自慢された気分になる」「配慮が足りない」〈100人の声〉

産休に入る女性が職場の同僚に配る「産休クッキー」をめぐって、「かわいい」「もらったらうれしい」という賛成派がいる一方で、「不妊治療中の人への配慮が足りない」「マタニティハイ」といった否定的な声も上がり、SNSで論争が起こっている。果たしてリアルの意見はどうなのか。

公園にいるママや丸の内OLなど女性100人に街頭アンケートを取ってみた。

「産休とサンキューがかかっていてセンスがいい」

妊婦や赤ちゃんのイラストと、同僚への感謝のメッセージが入った「産休クッキー」。産休前の女性に向けて販売されている商品だが、今、これが大きな論争の種になっている。

騒動の発端は4月15日、出産を控えるXユーザーが「職場の人に配るクッキーの赤ちゃんがかわいい」という文章とともに、赤ちゃんのイラストと「産休をいただきます」「ご迷惑をおかけします」の文字が入った産休クッキーの写真を投稿した。

すると瞬く間にポストは拡散され、「産休クッキー」はトレンド入り。「かわいすぎて食べられない(笑)」「産休とサンキューがかかっていてセンスがいい」という好意的なコメントが寄せられるいっぽう「産休で迷惑かけるのに幸せアピールかよ」「不妊治療してる人に渡したら一生恨まれるよ」というネガティブな意見も。

そこで、リアルな意見を聞くために街頭インタビューを実施。

まずは日曜日の昼下がりに公園にいたママ50人に話を聞いてみると……。

【肯定派の意見】
「出産って女性の人生において、とても大きなことだからクッキーを配るくらい自由にさせてほしいですね。めんどくさい時代になったなぁと思います。私が職場でこのクッキーをもらったら、先輩ママとして『出産に子育て……これから大変だけどがんばってね!』って純粋に応援したい気持ちになりますけど」(30代育休中・2児のママ)

「かわいくていいじゃないですか! 何でこれが炎上するのかわからないです。珍しいし、斬新なアイディアで凝ってるし、お金もかかってそうで、もらったらうれしいですけどね。

私も産休を取るとき、すごく申し訳ない気持ちになりましたが、このクッキーがあれば、その場にいない人にもメモ代わりにデスクに置いておくことができて便利ですよね」(40代サービス業・3児のママ)

「おめでたくていいなぁと思います。

これに対して批判的な人は、なんでもいいから批判したいだけの人よ」(40代事務職・1児のママ)

【否定派の意見】
「私の周りでこういうの配ってる人は見たことないです。もらったところで、赤ちゃんとか妊婦さんのイラストが入っていると何となく食べづらいから、普通のちょっと高めのクッキーやチョコレートとかのほうが正直うれしいですね。わざわざクッキーにメッセージを書かなくても、口頭で伝えてくれればいいのにって思う」(30代事務職・2児のママ)

「私の会社には長年不妊治療をしている女性や結婚したくてもできない女性がいるから、産休クッキーを職場で配るのは配慮に欠けていると思います。私なら絶対しないですね。これを配られたら、自慢されてる気分になる人もいるんじゃないかな……」(40代サービス業・1児のママ)

【どちらでもない派の意見】
「私は特に不妊に悩んでないから単純にこんなのもあるんだーって感じだけど、会社で配るのはデリカシーないなって思う……。仲のいい人とか近しい関係の人にだけ配るならいいと思うけど、他の人にやたらめったらあげるのはまずいんじゃない?」(20代専業主婦・1児のママ)

ちなみに、冒頭のX投稿主は「無神経にホイホイ色んな人に渡した訳じゃなくグループ内の特定の人に渡しただけ」とのこと。

公園ママさん50人の内訳は、「賛成派」32人、「反対派」15人、「どちらでもない派」3人と、賛成派が反対派をダブルスコアで圧倒した。

丸の内OLの意見は…?

続いて平日のランチタイムに東京駅前の広場で休憩中の丸の内OL50人に、産休クッキーについて聞いてみた。

【肯定派の意見】

「もし、私がもらったら『お、ラッキー』って感じでうれしいですけどね。せっかく準備してもらったものだから、ありがたく受け取りますよ。ごく一部の声が大きい人たちが騒いで炎上してるだけじゃないですか? 普通の人はクッキーもらったくらいで嫌な気持ちにならないですよ(笑)。世の中にはいろんな人がいるんだなぁって思いました」(30代サービス業)

「私は小腹が空いたときに食べられてうれしいくらいにしか思わないです。胃の中に入れば何でも一緒でしょ!(笑)。

でも、妊活中とか不妊症の人に刺激を与えてしまうのはよくないと思います」(30代事務職)

「産休クッキーを渡す人に問題があるのではなくて、産休が取りづらい社会に問題があると思いますよ。子どもを産むことで少子化問題の解決に貢献しているわけだし、そこは素直に祝福すべき。誰かがその分の仕事を負担して大変になるのだとしたら、それは個人の問題ではなく、会社の問題ですよね」(30代事務職)
 

【否定派の意見】

「わざわざクッキーにする必要がある?って思います。ここまで手の込んだものをもらっちゃうと、何をお返ししたらいいんだろうってプレッシャーになるから、その辺の安い普通のクッキーでいい。仕事でこっちに迷惑かけてるのに、こういう能天気なクッキーを渡されたら正直、モヤっとしますね」(40代金融関係)

「正直、このクッキーはやりすぎだと思います。何でわざわざクッキーにメッセージ書いちゃうんだろうって……(笑)。

表に出さなくても不妊症とかで苦しんでる女性ってたくさんいるから、これをもらって傷つく人もいるとか考えないのかなぁって、ちょっと引いちゃいますね」(20代IT関係)

「よほどうれしくて自慢したいのか知らないけど、その人の分まで仕事しなきゃいけない立場の人間からすると、黙って産休に入ってくれればいいのにって感じです。クッキーでマウント取られてるみたいで、正直イラッとします」(30代事務職)

【どちらでもない派の意見】

「Xでこの論争を見たとき、めちゃくちゃどうでもいいことで炎上してるな、日本は平和だなって思いました(笑)。うちの職場では、産休をとる人は百貨店とかで売られている個包装のお菓子を配る風潮があります。

もし、産休クッキーを配る人がいたらよくも悪くも印象に残っちゃいますよね。そもそも、何かある度にお菓子を配る風潮が古いし、時代に合ってないと思いますけど」(30代コンサル)

丸の内OLたちは「肯定派」18人、「否定派」25人、「どちらでもない派」7人と、公園にいたママたちと対照的に否定派が肯定派を上回った。

メーカーには問い合わせが殺到!

渦中の産休クッキーを販売する「スイーツ工房focetta」は、その他にも「天空のプリン」や「天空のチーズケーキ」などメディアでも取り上げられる本格派スイーツを製造するメーカーだ。



4月19日、記者が会社に騒動について問い合わせると「後日対応します」と回答。その後、Focettaの公式サイトのトップページには、産休クッキーについて以下の見解が更新された。

弊社の産休クッキーについてお問い合わせを多く頂きました。
弊社の産休クッキーは、産休を控えたお客様の要望に応じて始めたものです。
産休を取得する前にお祝いして頂いた職場の方々へ、感謝の気持ちを伝えたいというお客様からの要望に応じて、イラストを作成し、産休のご挨拶に利用して頂くクッキーとして製品化いたしました。
職場の方々へ配りやすいように個包装とし、皆様の気持ちを伝えて頂けるように、イラストとメッセージを食べられるインクでプリントした商品です。
弊社の商品でお客様の感謝の気持ちを伝えるお手伝いができれば幸いです。

楽天市場でこの産休クッキーを注文してみると、4日後に商品が到着。商品には、持ち運び用の紙袋まで丁寧に同封されていた。クッキーの大きさは1枚あたり直径約6.8センチと思っていたより少し大きく、お得感があった。 

食べてみたところ、程よい甘さにサクサクした食感で、百貨店スイーツに引けを取らないクオリティーだった。しかし、物議を醸したのも事実。妊婦を取り巻く日本社会の現状は、産休クッキーほど甘くないようだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班