SDN48卒業後、3年かけて宅建取得した元ギャル・なちゅが芸能人御用達の不動産を立ち上げるまで‥「築年数40年、私の入居者も募集中です!」
SDN48卒業後、3年かけて宅建取得した元ギャル・なちゅが芸能人御用達の不動産を立ち上げるまで‥「築年数40年、私の入居者も募集中です!」

SDN48で唯一“MC”枠としてメンバー入りしたなちゅさん(40)。コンサートのMC以外にもバラエティ番組や音楽番組などで活躍する機会が増え、知名度が上がると、誹謗中傷も届くようになった。

やがてグループは解散。次のキャリアに行き詰った先で、たどり着いたのが芸能人御用達の不動産だった。 

大島優子と一緒にテレビに映っただけでブログに誹謗中傷が2万件

SDN48のメンバーとしては異質であるギャルの見た目で目立ち、MC以外にも活躍の幅が広がったなちゅ。テレビ出演が増えるにつれ、誹謗中傷も届くようになった。

「AKB48と一緒に24時間テレビに出演したとき、大島優子ちゃんがアップで映った後ろに私が立っていたんです。そしたら私が書いていたブログのコメント欄に『番組に集中できない』『なんで優子の後ろにブスがいるんだ』と一気に誹謗中傷が書かれました。

どんどんコメントが増えていって、とんでもないアクセス数だったと思います。。そのときは飛行機で営業先に移動していたのですが、移動中の機内でずっと泣いていて……。ギャルメイクも全て取れてしまい、やり直しました」

今でこそSNSなどの誹謗中傷は法的処置をとることも少なくないが、当時は誹謗中傷は放置されることが多く、タレント側が我慢して受け止めるしかなかった。そんな苦しむなちゅを支えたのがメンバーたちだ。

「SDN48のメンバーが『私たちは大好きだから、気にしちゃダメだよ』って言ってたくさん励ましてくれました。優子ちゃんも優しく声をかけてくれて、目に見えない不特定多数の声よりも目の前にいる人たちが私のことを好きでいてくれるなら、こっちの声を信じようと思いました。

だから営業のときにはめちゃくちゃ元気にやり切った記憶があります」

SDN48も、ギャルサーのときと同じくらい楽しくてずっと続けたかったというなちゅ。しかし2012年28歳のとき、グループは解散することに。

「さて、次はどうしよう、とまたキャリアに悩みました(笑)」

不動産を営んでいた父親が病気に…

「タレントとして生き残るためには武器が必要だと思いました。だから、お琴を習ったり、料理教室に通ったり、いろいろ試行錯誤しましたね。その中で一番続いたのが書道でした。師範資格を取得し、ギャル書道家という商標まで取って、グラビアアイドルの体に書を書くパフォーマンスを始めたんです」

SDN48を卒業して2年後、なちゅはギャル書道家としてグラビア雑誌やテレビ番組で少しずつ注目を集めるように。その矢先、プライベートで人生を変える大きな出来事が起きた。

「不動産の事業を営んでいた父が病に倒れてしまったのです。日に日に衰弱していく父を目の当たりにして、私の夢や仕事はどうでもよくなりました。 ただ、大好きな父に元気になってほしかったし、不動産を愛する父のおかげで、私は毎日楽しく過ごせていたことに改めて気付かされました。

父の仕事を手伝えるようになるために、いったん芸能の仕事は控えました。そして、まずは知り合いの不動産会社に頼み、アルバイトとして働かせてもらうことにしました」

賃貸サイトに載せる物件の写真を撮りに行ったり、お客さんのお茶出しをしたりする簡単な事務作業から始めたアルバイトだったが、しだいに不動産業界に興味を持つようになったという。

「ワタナベエンターテインメント時代の芸人仲間やAKBグループの人たちに不動産の仕事の話をしていると、『タレントは審査が通りにくい』『ストーカー対策が大変』など、不動産契約に関する悩みを聞くことが多くなりました。



それで、最初は父親の仕事を手伝いたいと思って始めた仕事でしたが、今まで関わってきたタレントさんたちが安心して住める家を見つけてあげたいと思うようになったんです」

3回目の挑戦で宅建に合格「不動産にのめり込んだ」 

タレントがきちんと契約できて、安心して住める不動産を提案できるようになりたいと、宅地建物取引士の取得を目指すことを決めたなちゅ。 

「でも不動産業界の素人である私にとっては内容があまりにも難しくて、独学では到底合格できそうにありませんでした」 

学習方法について模索する中で、「資格スクエア公式チャンネル」という宅地建物取引士の取得スクールのチャンネルを発見。そこで、あるタレントがこのスクールを活用して宅地建物取引士を目指すというPR動画を見つけた。

この企画を見て、「私ならもっと演者としてうまくやれるし、合格もできる!」と直感で感じたなちゅは、自ら「私をPRに使ってください」と問い合わせた。そして宅建合格するまでの1年間を追うYouTube企画がスタートした。

「YouTubeで合格するまで追い込まれることで、プレッシャーをかけたかった。でも、全然勉強できなかったんですよ。最初の半年間はめっちゃサボっていました(笑)。そしたら当然ですが、先生にめちゃくちゃ怒られました。

本当にヤバいと思い、真面目にスクールに通い、試験までの最後の3か月間は不動産のアルバイトを休んで1日13時間くらい勉強していました。先生の教え方がすごく上手だったので、一気に勉強にのめり込み、毎日宅建のことしか考えられないくらいになっていました」

2019年12月、3回目のチャレンジで宅地建物取引士の試験に合格し、晴れて不動産業界で働き始めた。

「その頃には父の体調もよくなっていて、私の合格を一番に喜んでくれました」

芸能人御用達の不動産に「私の入居者も募集中」

現在は、有名人に特化した不動産取引を行う「御用達不動産」事業を展開している。

「私自身、タレント活動の経験があるので、不動産を紹介した有名人の方々から信頼していただいています。

そのため、私が仲介した有名人の方から、別の有名人を紹介してもらうことも多くあります。

中には、上京したばかりの10代のアイドルもいるのですが、親御さんにも安心して任せてもらえています。また、不動産業界での仕事がタレント活動にもいい影響を与えていて。バラエティ番組などのお誘いも増えました。今は、どちらの仕事も本当に楽しいですね」

一方、プライベートでの繫忙期は未だ来ず…?

「私、築年数40年の未入居物件ですが、耐震基準は新基準を満たしているので、ご安心ください。あなたのハート駅近1分、物件なちゅ、ただ今入居者募集中です!(笑)」

取材・文/橋本岬 撮影/石垣星児

 なちゅ●1984年12月23日生まれ。アイドルグループSDN48として活動し、2012年3月31日卒業。フジテレビ「笑っていいとも!」「バイキング」、テレビ朝日「『ぷっ』すま」などに出演。2019年、宅地建物取引士を取得し不動産業界へ転職。株式会社マークス不動産で芸能人・著名人を顧客とした「御用達不動産」を立ち上げた。 

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