〈「日本駆け込み寺」事務局長逮捕〉別の女性にも薬物を”勧誘”…代表理事は「助成金も止まった、 ほぼ倒産状態」
〈「日本駆け込み寺」事務局長逮捕〉別の女性にも薬物を”勧誘”…代表理事は「助成金も止まった、 ほぼ倒産状態」

5月18日、公益社団法人「日本駆け込み寺」(東京都新宿区歌舞伎町)の事務局長の田中芳秀容疑者(44)はコカインを隠し持っていたとして麻薬取締法違反の容疑で現行犯逮捕された。また、田中容疑者と一緒にいた20代女性についても同法違反(使用)で逮捕されている。

女性は「日本駆け込み寺」に出入りしていた相談者だった。歌舞伎町に集う少年・少女らの相談を受ける公益社団法人の事務局長が逮捕されたとあって波紋を広げている。 

「日本駆け込み寺」ではナンバー3の立場

事件は田中容疑者と20代の女性が一緒にいるところを警察官が職務質問したことから発覚した。社会部記者が語る。

「田中容疑者は自宅でコカインを吸引した後に食事に出て、食事からの帰り道に警察官に職務質問をされ逮捕された。20代の女性は風俗店に勤務する相談者で、田中容疑者がコカインの使用を勧めたとみて調べを勧めている。田中容疑者は『自分で使うため』と供述し女性は『田中容疑者と一緒に使った』と供述している」

田中容疑者とはいったいどんな人物だったのか。半年以上「日本駆け込み寺」にボランティアスタッフとして出入りしていたAさんが重い口を開いた。

「田中さんの逮捕を知ったのは知人女性からの連絡を受けてのことでした。知人女性に『私大丈夫かな?逮捕されないかな?』と突然尋ねられ何のことかわからず、ネットで調べると田中さんがコカイン所持で逮捕という記事を見て驚きました。

知人女性に詳細を尋ねると、2月とか3月に田中さんは相談者の風俗嬢の部屋にいて、そこに呼ばれたそうです。部屋にあがると田中さんから風俗嬢と一緒に薬物をやるけど『一緒にやらないか』と誘われたそうです。知人女性は断って、部屋から出たみたいですがそのことを黙っていたので自分も逮捕されるのではないかと心配になったとのことでした」

#1でも詳報したように熱心に相談者に接しているその様子からは田中容疑者が薬物に手を出すなど想像もつかなかったと多くの関係者が語っている。

田中容疑者は「日本駆け込み寺」に4年ほど前から勤務していたそうだが周囲からどう見られていたのか。Aさんが続ける。

「仕事は本当に真面目にしていました。田中さんは相談員として勤務するだけでなく、公益社団法人という特性上、たくさんの書類を作成したり雑務みたいなこともやっていました。代表理事の玄さん、共同代表の清水葵さんに次ぐ立場のナンバー3です。もともとライターとして働いていたので、会見での仕切りや司会も上手でした。玄さんからの信頼も厚く、唯一の男性職員でした」

「田中さんは女性の面談は率先して行きたがっていました」

歌舞伎町にある日本駆け込み寺は土地柄、立ちんぼの女の子が暇つぶしに顔を出したり、雨風をしのぐために来る若者も多く、中には酔っ払って訪れるので、トラブルになることもあるという。そんな中、田中容疑者は唯一の男性職員として活躍していたそうだ。

「今は基本は夕方5時までになりましたが、以前は夜中の2時までやっていました。酔っぱらいなど面倒な人とかも事務所に来ることもあって、そんな時は田中容疑者が対応していました。清掃活動をはじめ野外のボランティア活動に田中容疑者は参加しませんでしたが、セキュリティ面を考えて事務所に常駐していたのだと思います」

普段の田中容疑者の印象についてAさんはこう語った。

「どちらかと言うと物静かで何を考えているのかわからない感じです。常に黒いTシャツと黒いスリムジーンズみたいに上下黒い服を着てポーカーフェイスでした。

地方出身で若い頃に東京に上京して、直近では出版関係で働いていました。ブラックミュージックが好きで昔はクラブなども行っていたりもしていたようですが、結婚もしていませんし、友人の話もしませんし、孤独な人だったのかもしれません」

仕事ぶりは真面目だったが事務所で時折見せる田中容疑者の行動に対し、Aさんは今思えば違和感を覚えたという。

「たまに田中さんは事務所で座ってボーっとしていることがあるのですがそれが話しかけずらいくらい気が抜けたような様子というか……。死んだような目をしてるというか……。うまく言い表せないのですがそんな様子を見せていました。

相談者と(日本駆け込み寺の)相談員って基本はLINEなど連絡先の交換はしません。トラブルになる可能性もありますし、相談者もひっきりなしに連絡する人もいるので相談員の体がもたないといこともあると思います。

ですが、田中さんはLINEの交換もしていました。その辺は相談員の裁量で決めていたと思います。それに田中さんは女性の面談は率先して行きたがっていました。そういったところを目の当たりにして田中さんは女性と知り合いたくて相談員をやっているのかなって思ったこともあったのですが……」

「税金受け取って何してくれてんねん」  

実際に「日本駆け込み寺」に相談に訪れる10代~20代の女性も多く、“知り合う”ということを目的とした場合「いくらでも知り合えた」とAさんは言う。相談者との距離感については「日本駆け込み寺」の玄秀盛代表理事も心配していたと語る。

「1年ほど前から田中が相談者との距離が近すぎる気はしていた。『深夜にホス狂の女性の相談者をタクシーで迎えにいった』などの報告が田中からあり、私も『そらやりすぎちゃうの。本来やるべきことやないで。行き過ぎた支援や』と注意したこともあります。

報道が出てから、『コカイン売ってくれや!』『都民から税金受け取って何してくれてんねん』と電話も鳴り止みません。ああ、20年積み上げたもんは、一瞬にして崩れるんやと。もちろん助成金も『様子見させていただきます』とすべて止まった。ほぼ倒産状態で、6月末を超えられるかどうか。

事件についてはどういう事情があっても許されることではない。田中が釈放されたら必ず会見させます。生き恥さらしてでもまずは謝罪し、駆け込み寺もやめさせない。相談員はさせず事務方として罪を償ってもらいます」(玄秀盛代表理事)

前出のAさんは田中容疑者がコカインに手を出してしまった経緯をこう推測する。

 

「相談内容は千差万別ですが『薬がやめられない』という相談も多いです。相談員の方は『何か他に好きなことや夢中になれることを探そう』とか『病院に行こう』とさとしてくれますけど実際はそれほど簡単なことじゃありません。さとしているうちに誘惑に負けた田中さんが引きずりこまれたのかもしれませんね」 

ミイラ取りがミイラになってしまったということだろうか。捜査の進展が待たれる。 

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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