
来年2026年4月1日から、自転車の交通違反に対して「青切符(交通反則通告制度)」が導入される見通しとなった。賛否両論が巻き起こるなか、とりわけ影響が大きいとされるあの“会社”に話を聞いた。
自転車の歩道通行で罰金が?
2026年4月1日から施行予定の「青切符制度」により、自転車の交通違反に対しても、車やバイクと同様に反則金を課す形での取り締まりがはじまる。
制度は16歳以上が対象で、113種類の違反行為が反則金の対象。警察庁は、特に重大事故につながりやすい違反について重点的に取り締まる方針を示している。
【主な違反行為と反則金の金額(案)】
スマートフォンを見ながらの運転(ながらスマホ) 1万2000円
遮断機が下りた踏切への立ち入り 7000円
信号無視 6000円
逆走・歩道の通行 6000円
一時不停止 5000円
ブレーキ不良(制動装置の不備) 5000円
傘差し運転・イヤホン使用など 5000円
二人乗りや並走 3000円
今回の制度には「事故防止のためには必要」といった賛成意見がある一方で、反論の声が多く上がっているのが「歩道の通行」にまで罰則が及ぶ点だ。
実際、都市部ですら自転車専用レーンが整備されていない道路は多い。車道を走ればクルマがすれすれを通過し、レーンがあっても違法駐車のせいで通行できない──そんなケースは日常茶飯事だ。
やむを得ず歩道を走ることは、決して珍しくない。そのためネット上でも、自転車ユーザーのみならず車ユーザーからも、さまざまな声があがっている。
〈自転車歩道禁止とか机上の空論ほざくなら自転車専用道路整備してからにしてほしい〉
〈歩道禁止はちょっと現状のシステムとあってなさすぎるよね。ちゃんと自転車が路駐してる車を避けて通れるシステムを作ってからにしてくれ〉
〈自転車の取り締まり強化って車勢も物申した方がいいよね。あれが車道にくるんだよ?やばいよね〉
〈自転車が車道走るようになって怖い。邪魔すぎて。急に寄ってきてぶつかりそうになるし、追い越すにも隣には車走ってるから、なかなか抜かせなくて後ろ詰まってる〉
そして、この青切符制度は「Uber Eats潰しでは?」という疑念も一部でささやかれている。
「Uber Eats等の配達系は終わる」の声も…会社の見解は?
最も反則金が高額となる「ながらスマホ」は、危険性を考えれば当然の対象だが、それを最も行なっている可能性があるのが、フードデリバリー配達員たち。なぜなら、彼らはオーダーや受注をスマホで受けて、スマホ内のアプリの地図を見ながら走行するのが基本だからだ。
さらに「歩道通行禁止」も、配達員にとっては大きな打撃になるだろう。ネット上でもこの点を指摘する声は多い。
〈自転車青切符導入したら、Uber Eats等の配達系は終わる〉
〈これウーバー狙い撃ちしてない? どうなるんだろう〉
〈神奈川県警やる気満々だろうな 神奈川のUber壊滅しそう〉
Uber Eatsを運営する、Uberの広報担当者に今回の青切符改正に対する見解を聞いた。
「自転車利用に関するルールの明確化や安全対策の強化は、すべての道路利用者の安全を守るうえで重要であり、社会全体にとって意義のある取り組みと認識しています。
Uber Eatsは今回の制度導入に伴い、配達パートナーの皆さまにも関係法令を正しく理解し、安全な走行を心がけていただけるよう、引き続き適切な情報提供と啓発に努めてまいります」(Uberの広報担当者、以下同)
では、ながらスマホについてはどうか? 現実には地図アプリの確認などで、完全にゼロにするのは難しい場面もあるはずだ。
「昨年の道路交通法の改正時には、自転車運転中にスマートフォン等を使用する『ながらスマホ』などの行為に対する罰則が強化される旨を、全国の配達パートナーに送るニュースレターでご案内しました。
特に、運転中のながらスマホについては、アプリを操作したり画面を注視する時は、安全な場所で一旦停止するよう注意喚起を継続して行なっております」
歩道走行についても、やむを得ないケースがあるのでは?という問いには、やや慎重な姿勢を見せた。
「歩道走行が業務上やむを得ないケースは限られていると認識しておりますが、仮にそうした状況が発生しうる場合には、配達パートナーの皆様が適切に対応できるよう、歩道を使用する際は自転車から降りて配達先にアクセスするなど、具体的な判断基準や対応方法についての啓発・情報提供を検討してまいります」
もちろん、今回の改正が影響を与えるのは配達員だけではない。全国の自転車ユーザーにも大きな変化が求められるだろう。これによって混乱が広がるのか、それとも道路の安全性が高まるのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部