強烈な紫外線は髪を細くし、秋の抜け毛の原因に。夏の間にやっておきたい抜け毛・薄毛を防ぐケア
強烈な紫外線は髪を細くし、秋の抜け毛の原因に。夏の間にやっておきたい抜け毛・薄毛を防ぐケア

連日のように続く強い日差し。実はこの紫外線が、秋シーズンにおける抜け毛増加の原因のひとつになっていることをご存じだろうか。

夏のうちにしっかり頭皮をケアしておくことは、抜け毛や薄毛を防ぐために欠かせない。秋の抜け毛対策や日頃の薄毛対策について大正製薬の毛髪研究員に話を聞いた。

秋は抜け毛が増える!? その原因は「夏の紫外線」

今年も全国各地で猛暑日(最高気温35℃以上)が続いており、日本列島は厳しい暑さに見舞われている。

近年日本では猛暑日が増加している。それに伴い紫外線量も増えており、人体への影響を示す指標である「UVインデックス」も上昇傾向。環境省は「UVインデックスが3以上の日は日差しを避け、8以上の日は外出を控えるのが望ましい」としているが、実際に8以上を記録する日も年々増えている状況だ。

この“強い紫外線”は、肌へダメージを与えることでよく知られているが、それだけでなく「髪」にも大きな影響を及ぼすことをご存知だろうか。夏に浴びた紫外線が、実は「秋の抜け毛増加」の一因になっているのだ。

秋は、抜け毛の悩みが顕在化しやすい時期と言われている。実際、2019年~2024年の「抜け毛」に関するインターネット検索数の推移を季節ごとに見ると、9月~11月に検索数がもっとも多いことがわかっている(*1)。

では、紫外線と秋の抜け毛増加には、どのような関係性があるのか。

そもそも毛髪には一定の寿命があり、その生え変わりの周期は「ヘアサイクル」と呼ばれている。一般的に、髪は2~6年間の成長期を経て、退行期に入ると成長が止まる。

その後、3~4カ月の休止期を経て自然に抜け落ち、再び毛穴から新しい毛髪が生えてくる――これが、ヘアサイクルの一連の流れだ。

しかし、強い紫外線を浴びると、毛髪を生成・保護する皮膚組織「毛包(もうほう)」がダメージを受けることがある。さらに頭皮が炎症を起こすことで、髪の成長期が短くなり、太くしっかりした髪に育つ前に休止期へと移行してしまう。その結果、抜け毛が通常より早い段階で進み、次に生える髪も細く弱いものになりやすい。加えて、一度退行期に入った髪は、成長期に戻ることはない。

つまり、夏の紫外線から頭皮を守ることは、抜け毛や薄毛を予防するうえで欠かせない対策の一つなのである。

(*1)…Googleトレンドのデータをもとに大正製薬が調査

“細くて弱い髪”は、見た目のボリューム感にも影響

では、夏の紫外線は、具体的に頭皮にはどのようなダメージを生むのだろうか。

大正製薬の毛髪研究員が特に注意喚起しているのが、髪の「太さ」が見た目の印象に与える影響だ。

前述のとおり、紫外線によって毛包が傷つくと、細く弱い髪が増えやすくなる。同じ本数の髪でも、太い髪と細い髪では見た目の印象や手触りのボリューム感に大きな差が出る。

日本人の髪の太さは平均70~80µm(マイクロメートル)とされているが、それよりも細い60µmと平均値に近い80µmの髪の毛を実際に比較してみると、その差は歴然。

見た目のボリューム感はもちろん、手で触れたときの印象にも明確な違いがあった。

ちなみに筆者(30代・男)は毛髪研究所が開催した抜け毛勉強会でマイクロスコープと専用アプリを使用した頭皮チェックを体験。



頭皮を撮影・分析してみたところ、連日炎天下での移動が多かったこともあり、頭皮全体に皮脂の蓄積や炎症の兆候が確認された。

幸い平均的な毛の太さは維持できていたものの、これからも健康的な髪の毛を維持するためには、紫外線によるダメージから頭皮を守っていくことが大事だとアドバイスを受けた。

毛髪研究員によると、猛暑が続く限りは男女問わず日中は帽子や日傘を活用し、頭皮に紫外線が直接当たることを避けることが望ましいという。

また、洗髪時には皮脂汚れをしっかり洗い流す、頭皮を保湿して乾燥を防ぐ、栄養バランスの取れた食事を意識するなど、頭皮環境を正常に整えていくことで夏に受けるダメージを軽減できれば、秋の抜け毛を予防することに繋がるという。

増える女性の薄毛、女性にも「壮年性脱毛症」に悩む時代に

紫外線の影響で髪が細くなってしまうこととは別に、近年トレンドになりつつあるのが女性型AGAだ。

2024年7月、全国の20~60代の男女を対象に実施された調査(調査会社:株式会社モニタス/男性1,351人、女性1,486人)によると、男性の64.2%、女性の52.7%が「薄毛が気になっている」または「今は気にならないが、将来薄毛になる可能性がある」と回答。

これまで男性だけの悩みだと考えられてきた薄毛の悩みだが、女性でも過半数を超えており、薄毛に対する不安が幅広い層に広がっていることがわかる。

特に女性の場合、「鏡を見たときに分け目の透け感が気になった」「ブラッシング時の抜け毛が増えた」「髪が細くなり、頭頂部のボリュームが減った」といった変化を感じる人も多い。

こうした兆候は、もしかすると「壮年性脱毛症(女性型AGA)」の初期症状かもしれない。 

今年の夏も、引き続き強い日差しが続くと予想されている。紫外線から髪と頭皮を守るとともに、気になる症状がある場合は、こうしたアイテムを取り入れながら早めのケアを検討してみてはいかがだろうか。

取材・文/毛内達大

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