〈広陵・新たな暴力事案も〉「カントクは昭和気質で厳しいけど…」「真偽不明のまま拡散することは被害生徒にも迷惑な話では?」ネット大炎上、地元民困惑のなか新たな“イジメ疑惑”を部員の親が新告発
〈広陵・新たな暴力事案も〉「カントクは昭和気質で厳しいけど…」「真偽不明のまま拡散することは被害生徒にも迷惑な話では?」ネット大炎上、地元民困惑のなか新たな“イジメ疑惑”を部員の親が新告発

第107回全国高校野球選手権大会に出場中の広陵(広島)で、寮生活中に元部員が集団暴行を受けたとして告発した問題は、大きな波紋を広げている。大会3日目の8月7日には「加害者」と名指しされた選手も出場、旭川志峯(北北海道)相手に初戦勝利を飾ったが、SNSを中心に拡大する“無慈悲”な非難に地元では心配する声も多い。

一方で同日、新たに別の被害者からの告発を受けて広陵が第三者委員会を設けて調査中であることを大会本部(日本高野連、朝日新聞社)が発表、事態の収束にはほど遠い状況が明らかになった。 

「デマや憶測が広がることで新たに誹謗中傷の被害者も生まれている」

一連の騒動につき、広島県内の中学生以下の硬式野球クラブチーム関係者は、集英社オンラインの取材にこう心境を打ち明けた。

「広陵高校内で暴力事案があったというのは報道で見るまで知りませんでした。これまでにも広陵の子たちの間でイジメや暴力沙汰があるなんて話も聞いたことはありませんでしたよ。

中井監督とはたまにお会いすることはありますが、あくまで野球の上での付き合いなので深い話をする間柄ではありません。ですが、お話した印象だと普通のいい方ですよ。

最後にお会いしたのは春頃でした。中井監督はウチの中学生の試合をちょくちょく見に来られて『あの選手いいな』と熱視線を送ってくれています。普段から『いい選手がいたら教えてね』とリクルートのための人付き合いを大事にしていた方なので、何か問題があった時に恫喝したり、脅したりとかしないような気はしますが……。

いずれにせよ地元の名門校ですし、甲子園では頑張ってほしいですけどね」

県内の別の野球クラブチーム関係者も、SNSで過剰に広がる“風評被害”をこう懸念した。

「暴力事件があったということは1月に広陵の生徒から聞きましたよ。それこそ学校側が高野連に出した報告書にあったようにカップラーメンを食べていた生徒が先輩に殴られたと言っていました。聞いたのはそれぐらいで、被害生徒や加害生徒については具体的には語ってくれませんでした。

やはり『広陵』の名前が汚されるのは嫌でしょうしね。そんなこともあり、ネットで取り上げられている被害生徒の保護者とされる方のSNSへの投稿を見て、最初はガセかと思いました。監督やコーチまで巻き込んだ問題になってたとは思っていなかったし、そんなイメージはなかったので。

広陵の硬式野球部は名門中の名門ですから、規律や上下関係がある程度、厳しいということは皆、理解して進学しているはずです。ルールを破ったことへの指導はやむを得ないとは思いますが、イジメと受け取られるようなやり方は違うと思います。

中井監督には何度かお会いしたことがあります。昭和気質で親分肌の厳しい人ではありますが、野球に対してはとても熱心な方ですから、裏でこそこそ作為的なことをする人とは思えませんよ。

この件で広陵高校に入学する人が減るようなことがあったら残念ですし、加害生徒以外の野球部員にも悪影響が及んでいるはずです。

高野連は解決済みの姿勢を示している中で、デマや憶測が広がることで新たに誹謗中傷の被害者も生まれているということは世間にも知ってほしいです」

新たな疑惑…生徒の父親を名乗る人物が「拡散希望」としてSNSに投稿

県内の他の野球関係者もこう違和感を訴える。

「SNSで盛り上がっていることでこの件は知りました。広陵は甲子園常連校ですから、ルールや上下関係が厳しいというイメージはありましたよ。

ただ、先輩がルールを破った後輩を集団でシゴくということが本当にあったのであれば、テレビでプロ野球選手が過去を懐かしんで面白おかしく語る場面で見るような、いかにも前時代的で今の時代には合っていないことだなとは思います。

報告書では『胸を突く』などの表現ですが、一方で被害生徒の保護者の投稿は殴る蹴るみたいな書き方になっている。

学校側と被害者側で意見が食い違い、真相はまだ完全に明らかになっていない段階で、SNS上では性加害や集団暴行が『あった』という前提の情報や、加害者とされる部員の名前や顔まで拡散されていますよね。

改めて再調査するのか、会見をするのか、当事者同士で話し合うのかして、真実を明らかにするべきだと思いますし、インパクトのある情報を真偽不明のまま拡散することは、被害生徒にも加害生徒にも迷惑な話なんじゃないでしょうか」

しかし、こうした懸念をよそに「新たな告発」がこの問題にさらなる衝撃を加えた。大会本部が発表した「別件」は、昨年まで選手のメンバー表に名前があった現3年生が実名を挙げて広陵野球部内でイジメがあったとする詳細な告発だ。 

この生徒の父親とされる人物が「拡散希望」としてSNSに投稿し、動画投稿サイトなどでも瞬く間に拡散された。この告発によれば、「加害者」には複数の現役部員のみならず、指導者も含まれるとあり、事実関係の調査は急務だ。

そしてもはや、学校側が依頼した「第三者」による調査では透明性が保てないことは明らかだろう。事態はすでに、「教育」の名のもとに連綿と歴史を紡いできた「高校野球」の範疇で解決できる段階を超えている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

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