新作アニメ放送中『地獄先生ぬ~べ~』原作者が初めて明かす幻の“初期設定”「生徒がひとりずつ少年院に送られて…」
新作アニメ放送中『地獄先生ぬ~べ~』原作者が初めて明かす幻の“初期設定”「生徒がひとりずつ少年院に送られて…」

『地獄先生ぬ~べ~』が『週刊少年ジャンプ』で連載されていたのは1993年~1999年。同時期の連載は『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』『ろくでなしBLUES』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』など、まさに“ジャンプ黄金期”。

漫画原作・真倉翔がオープニング曲の作詞・作曲・ボーカルを務める命 -mikoto-との対談で明かした、ぬ~べ~誕生秘話――。(前後編の後編)

初めて明かされる『地獄先生ぬ~べ~』の初期設定

1996年にアニメ化、2014年にはドラマ化もされ、多くの人々を魅了した『地獄先生ぬ~べ~』。そんなぬ~べ~が約26年ぶりに、新アニメとなって放送されている(水曜23時45分~テレビ朝日系全国ネット ※一部地域を除く)。漫画原作・真倉翔と、オープニング曲『P0WER-悪霊退散-』を手掛けた-真天地開闢集団-ジグザグの命 -mikoto-が、誕生秘話や新旧のコンプライアンスなどで大盛り上がり!

――新アニメ化された『地獄先生ぬ~べ~』。連載開始は32年前ですが、そもそもどのような経緯で誕生したんですか?

真倉翔(以下、真倉) 原作の漫画担当・岡野剛先生が「子どもを描きたい」と。それで「子どもを守る大人みたいな話が作れないか」となって。最初は主人公が「少年課の刑事」で、クラスの子どもたちがいろいろな犯罪に巻き込まれるっていうものを書いたんだけど。

生徒がひとりずつ少年院に送られて、減っていくっていう……(笑)。あまりにもコンプラ違反ってことで、会議で落ちちゃった(笑)。

命 -mikoto-(以下、命) 全然違う漫画じゃないですか(笑)。さすがに、その時代でもダメだったんですね。

真倉 うん。昔でも、ちょっとやっぱり(笑)。

そのとき、別の企画で「霊能者の話を書いてほしい」という依頼があって。じゃあ、もう霊能力で子どもを助けようと。だったら、いちばん出しやすいのは学校の先生だから、という感じで『地獄先生ぬ~べ~』ができていったんですよね。

命 全然知らなかった。そういう話って楽しいですよね!

真倉 だから子どもを襲う悪いヤツも、架空の妖怪とか霊のほうが出しやすいっていうか。人間が襲ってきたら、犯罪になっちゃうから。

命 確かに。

真倉 コンプラという意味では、別のコンプラは緩やかで(笑)。今の子どもがコミックスを見ると、ナイスバディな可愛い女の子が出てきてね(笑)。 今ね、ちょっと後悔もしているんだけど。でも、それがなかったら『地獄先生ぬ~べ~』は生き残ってないから! 

――稲葉郷子や細川美樹ですね。確かに小学5年生とは思えない魅力があります。



 僕としてはもう感謝、感激です!

真倉 でも、当時は『少年ジャンプ』の黄金期。みんなもやってましたけどね。桂正和先生とかはもっと(笑)。

 大事な要素でしたね。

コンセプトは“ビビらせるぞ”

――そもそも、命さんと『地獄先生ぬ~べ~』との出会いは?

 えっ、いつだろう? 気づいたときにはもう知っていたっていう感じですね。学校で、気づけばそういう会話をしていましたよね。

真倉 漫画とアニメ、どっち?

命 漫画ですね。家に兄貴が読んでいた漫画があったので。でも、ほぼ同時進行だった気がします。

――好きなキャラクターを教えてください。

 僕はやっぱり、ぬ~べ~先生ですね! 男の子なので、やっぱり強くて優しい人は大好き。鬼っていうところも、また中二心をくすぐるっていうか。

ああいう人外的な要素っていうか、鬼を眠らせていることを普段隠してて、いざという時に助けてくれるっていうのは、やっぱり好きになりますよね。

少しダークヒーロー感がある設定も、またいい。鬼の手を悪いことじゃなくて、正義のために使うカッコよさ。そして普段はちょっと間抜けで、ちょっとスケベなところも(笑)。その親しみやすさがよかったんでしょうね。

――放送中の新アニメはスマホが出てくるなど、令和仕様にブラッシュアップされています。そんな中でも決して変わらないものは?

真倉 ぬ~べ~の生徒を守るっていうスタンス。この筋が通っていればどんな設定になろうと、周りの環境が変わろうと『地獄先生ぬ~べ~』は崩れない。

今回の新アニメは“作者は関係ない”みたいな作品ではなく、監修も結構させてもらっていて。そこは絶対に守ってもらい、原作の中から選りすぐりのエピソードで展開しているので、みんなに安心して盛り上がってもらいたいと思います。

それと、コンセプトは“ビビらせるぞ”。子どもたちには思いっきり、夜、寝られなくなってもらいたいぐらい。
こっちも作り手として脅かしたいっていう気持ちがあるので。それに、ぬ~べ~みたいな先生って今、もういないわけだから。ファンタジーでもいいから、子どもたちに“こういうすごい頼れる大人がいるんだよ”って伝われば、すごくうれしいですね。

 確かにちゃんと怖い要素も再現されてますよね! 大人も子どもも一緒に楽しめる!

現代の子どもたちの胸に、令和のヒーローとして、ぬ~べ~は刻まれるはずだ。

取材・文/池谷百合子

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