逮捕され、ネットで“立ちんぼ四天王”と呼ばれた女性(21)の憤り「億も稼いでないし詐欺もしていない」「だから不起訴なのに…テレビやネットに名前も顔もさらされてどうすればいいの」
逮捕され、ネットで“立ちんぼ四天王”と呼ばれた女性(21)の憤り「億も稼いでないし詐欺もしていない」「だから不起訴なのに…テレビやネットに名前も顔もさらされてどうすればいいの」

新宿のホテルで外国人男性の財布から現金を盗んだとして、警視庁保安課は9月18日までに窃盗の疑いで、新宿区西新宿の無職・A子(21)を逮捕した。A子は、7月22日、歌舞伎町・大久保公園周辺で“立ちんぼ”をし、売春防止条例で逮捕された4人の女性のなかの1人。

彼女らのなかには2年間で1億円以上売り上げていた女性もいたことから「立ちんぼ四天王」とSNS上で呼ばれ大炎上、「外国人を相手に詐欺や窃盗もしていた」といった書き込みが目立った。集英社オンラインは今年8月、「私は不起訴になったのに心外です」と、釈放後に不満を漏らすA子にインタビューを行なっていた。 

「詐欺や窃盗は一切していません」

集英社オンラインが「四天王」と呼ばれたA子と接触したのは8月下旬のことだった。

「逮捕されたときは、ウリ(売春)をしていたわけではなく、ただ友達に呼び出されて集合していただけでした。たぶん、もともとマークはされていて、逮捕の瞬間をマスコミに撮らせるための見せしめとして選ばれたんだと思います。

突然逮捕されて驚いたけど、警察からは『君は“大したこと”をしてなかったから』と48時間で釈放されました」

自身に再び捜査の手が伸びているとは思ってもいなかったのだろう。A子は、ただただ冷静な女性に見えた。原宿署に移送され、まる2日間留置所で過ごすも、「辛かったのはスマホが使えなかったことくらいかな」と淡々と振り返る。

「立ちんぼ四天王」の一員としてメディアやSNSで取り上げられたことには、大きな憤りを覚えていた。

「たしかに私は売春はしていて、それ自体は犯罪だと分かっていたから、捕まって報道されるのは当たり前のことだと思ってます。けど、詐欺や窃盗は一切していません」

詐欺や窃盗について容疑を否認していたA子だが、今回の逮捕容疑はインタビュー以前に行なった窃盗事件だ。彼女はこう弁明していた。

「詐欺も窃盗も周りにやってる子は実際にいたけど、それは私じゃない。

実際、私はごく“普通の売春”しかしていなかったから、詐欺罪にも問われずに警察からもすぐに釈放されたんです。

『詐欺や窃盗は外国人や高齢者をターゲットにしていた』っていうニュースも見たけど、それは単に私が派手髪で地雷メイクをしてたのがアニメキャラみたいで、オタクな外国人のツボに入ることが多く、外国人に話しかけられていたから尾ひれがついたのでしょう。

高齢者だって、幼さの残る私の容姿を孫にでも重ねて、話しかけやすかったんじゃないですかね。だから、そういう客層が近くを通れば目配せをするくらいのことはありましたけど。彼らの財布から金を盗ったり納得のいっていない法外な額を取ったことなんかないです」

「世間の目が怖くてしばらくは家から出られなかった」

A子らが作成した立ちんぼ仲間26人が入っていたLINEグループでは、私服警察官の写真を流し、要注意人物として共有していたと報じられている。実際はどうだったのだろうか。

「このグループの初期メンには、たしかに私も入っていました。ただ、最初は単なる掲示板みたいな感覚で、『今日は暇だね』『NPOが配ってる今日のご飯は〇〇だったよ』と各々がつぶやく感じ。

私服警官の見回りが強化された1年ほど前から、それぞれが勝手に注意喚起的に警官の写真を流し始めたのは事実だけど、私以外にもやっている子はいたし。だからって、別にみんなに仲間意識があるとかじゃなくて、ただ暇だから投稿していたような子ばかりです」

ちなみに、A子は2年間で1億円以上稼いだとも言われているが、それも「ウソだ」という。

「実際は売春を始めた3年間で9000万円くらいですよ。けど、手元に残ってるのは20万円くらいで、稼いでは使う暮らしをずっと続けた感じです」

インタビュー当時、A子は顔写真と実名を報道されていたことを知り、今後の生活を思い頭を抱えていた。

「名前も顔も世間に出ちゃったんだって知って、もう立ちんぼなんかやめようと思いました。

身体を売らなきゃ成り立たない生活を続けたいわけでもなかったし。何より、世間の目が怖くてしばらくは家から出られず、歌舞伎町にも近づけなかった」

「本当はコンカフェとかでまともに働きたい」

だが、結局は変わることはできなかった。A子は8月中旬からすでに数回、大久保公園前で「“立ちんぼ”をしてしまった」とも話していた。

「私が歌舞伎町にいない日にも、勝手に『私がまた立ってる』とウソの投稿をして騒ぐ奴らがいるんです。書き込み主と思われる“買春おぢ”や“立ちんぼの女”に詰め寄ったりもしたけど、はぐらかされたり、ダッシュで逃げられたり。

本当にやめるつもりだったのに、いたずらで適当なこと言われるなら、『だったらいっそ本当に…』ってなっちゃったんですよね。もうどうでもいいやって。それで何度かは立ってしまいました。

それと、いまは顔も実名もさらされたせいで、仕事の面接に行っても絶対に受からないだろうなって。本当はコンカフェとかでまともに働きたいのに。人の噂も75日って言うから、もう少しほとぼりが冷めるのを待つしかないと思ってます」

約60分にわたるインタビューでは反省の弁はほとんどなかったA子。後編ではA子の生い立ちについても詳報する。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班・清談社                             

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