つまらなくなった……。一体、何年前からこう言われるようになったのでしょうか。
毎年の恒例行事として、7月23~24日にフジテレビ系で放送されたFNS27時間テレビですが、今年は特に評判が良くありません。
「フィナーレが茶番」「さんま&中居以外見所なし」「ジャニーズへの露骨な接待番組」など、ネット上で袋叩き状態。視聴率も史上最低の7.7%を記録し、こうなってくると、幾度となく取りざたされる「打ち切り説」も現実味を帯びてきます。

さて、こんな27時間テレビですが、輝いていた時代ありました。残念ながら現在では消滅説まで出ている同番組を懐かしむ目的で、名場面を振り返りたいと思います。

遡ること16年前、2001年の27時間テレビで事件は起こった


2001年放送の『FNS ALLSTARS27時間笑いの夢列島』は、総合司会を置かずに各コーナーのMCがリレー形式で進行していくという、2016年度版と同じスタイルを取っていました。
その結果、今年同様に当時の歴代最低視聴率を記録(11.4%)。
低調な成績に終わりましたが、この年は、後々まで語り継がれる伝説の名シーンを生んでいます。

それは、『クイズ$ミリオネア』が行われた時のこと。レギュラー放送では一般人が1千万円獲得を目指す同番組ですが、この日は特別と言うことで芸能人が挑戦していました。
ファーストチャレンジャーのココリコ・遠藤が10万円を獲得した直後、素敵なサプライズが起こります。司会のみのもんたの一声で、急遽、応援ルームにいた明石家さんまが、次のチャレンジャーとして連れてこられたのです。彼の回答者としての参加は予定外。
思わぬ大物の登場に、会場は沸きかえります。

司会のみのもんたの独壇場 回答者の個性が出にくい『クイズ$ミリオネア』


予め前提として伝えておくと、『クイズ$ミリオネア』は、タレント(特に芸人)が持ち味を発揮しづらい番組です。理由は、4択問題形式で回答に独自性を打ち出せないこと、そもそも真面目なクイズ番組でボケにくいことなど、様々ありますが、最大の原因は司会のみの。
彼のペースに巻き込まれると、回答者の個性はほぼ無効化されます。事実、この番組において1000万円獲得者の、顔と名前を複数覚えている人はいるでしょうか? 思い出すのは、みののクドイ間の取り方、アクの強い顔芸ばかりで、毛ほども浮かばないという人がほとんどなのではないでしょうか。

さんまが大竹しのぶに生電話!デビュー前のIMALUも登場


そんな「みのの城」で、お笑い怪獣・さんまがどう立ち振る舞うのか……。テレビの前の視聴者だけではなく、観客席に座っていた芸人たちも注目していたはずです。

そこで彼のとった行動は、出題されたクイズの答えが分からないときの救命措置「ライフライン」の一つ「テレフォン」を利用するというもの。
プルルルル…。さんまがかけた電話の音が鳴ります。彼が助けを求めた人物は果たして誰なのか、会場中が固唾を飲んで見守っていました。
カチャ。「……もしもし」。子供の声です。
そこでさんまが一言「あっ、前の奥さんの家ー?」。スタジオ全体が驚きと爆笑に包まれたのは言うまでもありません。まさか、明石家さんまと大竹しのぶの共演が『ミリオネア』で実現すると誰が思っていたでしょうか。しかも、デビュー前のIMALUも取次ぎの際に声で出演するというオマケ付きです。

「人生のファイナルアンサーしたな…」明石家さんまの名言も


「なんでこんなことするのよー!」「いや、ここしかかけるとこなくてやなぁ!」という、やり取りを目撃できた幸福感で、この時、もはやクイズなどどうでも良くなったのを覚えています。
みのの「ファイナルアンサー?」の後に、「ファイナルアンサー…、そういえば、あの時も人生のファイナルアンサーしたな…」と元妻に電話越しで囁いたさんまは、完全にみのを喰っていました。


こんな胸躍るようなハプニング、今年はありませんでしたが、来年もし27時間テレビが放送されるならば、起こることを期待したいものです。
(こじへい)


本人vol.11