洗濯した服が勝手にねじねじしていく理由
写真ではちょっと分かりにくいですが、服の脇の部分が、こんなふうに「ねじねじ」しています。
ある日、洗濯物をたたんでいたら、服がねじねじしていた。

この「ねじねじ」とは、服の脇の部分が斜めになっていく現象のこと。

「ねじねじ」といっても、中尾彬の仕業であるはずもなく、どういうわけか、ダンナの服も小1の娘の服もフツウなのに、私の服だけが、ことごとく勝手にねじねじしているのである。

もしかして、私の体がひどくゆがんでいるなどで、服にも影響が出ているとか? それとも、ダンナや娘の服に比べ、ストレッチのきいた服などが多い繊維の性質上、ねじれるのだろうか。

NPO法人日本洗濯ソムリエ協会・代表幹事の橋本英夫さんに聞いてみると……。
「これはアナタの体の調子が悪いからですよ」
えっ……と絶句する私に、橋本さんは「なーんてウソ」と軽く流し、こんな説明をしてくれた。

「着物の反物を想像してほしいんですが、反物は縦糸と横糸の2本で織られていますよね? これに対して、編み物・カットソーはメリヤスで1本の糸をひっかけて編んでいるんです。これを機械で編むとき、針の上を左右に移動して進んでいくわけですが、編み方にはどうしても場所によって強弱ができてしまいます。
たとえば、右側が1メートル幅だとすると、左側は95センチの幅になるなど、いびつになり、徐々に斜めになっていくものなんですよ」
つまり、生地は「もともと斜めになっている」ということで、実はこれはメリヤスで編んだものに関しては、100%そうなのだとか。

でも、服を買ったときは、ちゃんとまっすぐになっているのに、なぜ洗濯後にねじれていくんでしょう?
「もともといびつな生地から、タンクトップやキャミソール、Tシャツなどのかたちを切るわけで、それをメーカーがアイロンなどでまっすぐに仕立てているだけなんです。つまり、洗濯すると斜めになるんじゃなくて、洗濯することで、もとのかたちに戻ってるだけなんですよ」
なんと! もともとが「ねじねじ」だったとは!

それにしても、私の服ばかりねじれていく理由って……?
「安物、着てませんか? 言い方は悪いですが、どうしてもゆがみが大きいのは、安物に多いんです。なぜかというと、一反の反物から、安物はギリギリまで切りとるので、斜めになっている部分を使うことが多いんですよ」
確かに、娘の服のほうが、私よりしっかりしたメーカーのものが多いかも。デザインなどは同じように見えても、値段の差は、やはり質の差として出てくるのは、道理だ。

では、安物を買って、ねじねじしてしまった場合には、どうすれば良いのでしょうか。

「まずできるだけゆがみが出ないように、ゆるい水流で、ネットに入れて洗うこと。干すときは、ねじれていく方向と逆方向に、力を入れて引っ張ることで、ある程度カバーできますよ」

ねじねじしてしまう方、ぜひお試しを。
(田幸和歌子)