1泊2日は2泊3日よりどうして高いのか
3年前に復元されたソウル市内の清渓川。比較的新しい観光スポット
「韓国へ焼き肉を食べに行こう」。10年以上前、友人とこんな約束をした。
それが去年の春になってようやく実現しそうに。でも二人の予定が合うのは週末だけ。ならばと言うことで、1泊2日でソウルへ旅立つことにした。

早速ツアーを検索。しかし、ないのである。1泊2日のツアーが。
みんな2泊3日以上。仕方なく航空券だけを探してみても、4〜5万円代の割引チケットはみんな2泊以上の条件付き。1泊2日で行ける安いチケットが全然ない……結局、7万円以上のチケットを買ってなんとか旅は成立、短いなりに結構楽しかったけれど、費用的には2泊3日より高くついてしまった。

どうして1泊2日だと安いチケットがないのか。日本航空宣伝部に聞いてみた。
「普通運賃より安いツアー商品用のチケットは、IATA(国際民間航空輸送協会)のルールで、路線ごとに最小ツアー日程が決められています。
旅行関係者なら誰でも持っている『OFCタリフ』という、旅行の法律みたいな本に載っていますよ」
とのこと。早速、図書館で調べてみることに。少し古い資料だったが、割引チケットには次のような「必要旅行日数(Minimum Stay)」が決められていると分かった。
 ソウル、ハワイなど……2泊3日以上 ロサンゼルス、ロンドン、シドニーなど……3泊4日以上
 カイロ、サンパウロなど……4泊5日以上  ナイロビなど……6泊7日以上
 世界一周……9(11)泊11日以上
1泊2日のソウルはこの条件に合わない。だから割引チケットが買えないのだ。

とここまでは分かったが、そもそも「必要旅行日数」なんてものがどうしてあるのか。
電車の切符を買うとき、「この切符は安いので、お帰りはあさって以降にして下さい」なんて言われたこと、一度だってない……。

某大手旅行代理店に尋ねてみるも「お答えしかねます」、旅行誌を出版する某社に尋ねてみるも「情報を持ち合わせておりません」とのこと。どうも難問らしい。困っていると、航空業界の知人からこんな意見が寄せられた。
「ビジネス客に安いチケットを利用されないように、ではないでしょうか」

なるほど。そして、もうひとつ浮かんだのがこんな考え。
日本ではあまり聞かないが、欧米の宿には「最小滞在日数(Minimum Stay)」というものがあって、1泊や2泊の短期滞在ができないことがある。割引チケットは元来、旅行を目的としたもの。ノーマルチケットより安いから何か条件を付けなくちゃならない。航空券に宿泊と同じ考え方を適用したのかも。

さあ、間もなくゴールデンウィーク。長い方も短い方も、楽しい旅をどうぞ。

(R&S)