先日、ネットの掲示板で「小2の算数複雑すぎワロタ」といったスレッドがたち、一部で話題となっていた。

件の問題は、
「くふうしてけいさんしましょう」というもの。

たとえば、以下の「52-8」という問題、「くふうしてけいさん」すると……。

<12から8をひいて4→40と4で44>
<52から2をひいて50→50から6をひいて44>

これ、2年生でも暗算ですぐ計算できてしまうもので、大人ならなおさら瞬時に答えがわかるだけに、「なんでそんなめんどうくさいことを?」と思ってしまう。

ちょうど自分自身も、小2の娘とその友人にこの問題を聞かれたところだったので、ネット上の話題に敏感に反応してしまったのだが、実際、ネット上では「これをくふうというのか」「わかりにくすぎ」などの大人のコメントが多数見られた。

また、子どもたちの解き方を見ていると、普通に計算できるくせに、「くふうして」と言われると、ややこしく考えすぎて、以下のような誤答が見られた。
○「52を40と12に分けて、8を6と2に分けて」と、どういうわけか分けまくってしまう
○「8を6と2に分けて、52から2をひいて、6を足して」となぜか足してしまう
○「52を40と12に分けて、8を引いて、4」などと、最初に分けて、置いておいた数をきれいさっぱり忘れてしまう

普通に計算するほうが楽なのに、なぜこんなにも複雑な計算をしなければいけないの? 私たちが子どもの頃も、こんな計算の仕方をしてたっけ? 『新しい算数研究』を発行する東洋館出版社・川田さんに聞いた。
「これには、いろいろと理由があります。
一つは、現実として繰り下がりのある引き算を間違う子供が多いということです。大人から見れば簡単に思えることでも、算数の苦手な子供にとっては、大きな壁になるところでもあります」

海外でも、おつりを渡すのに足し算で計算することがよくあるそうで、「日本人は、比較的引き算が得意ですが、実は引き算は難しいのです」という。
苦手な子供をどうするか? と考えると、「ひたすら練習」ではなく、「引き算そのものを理解していくことも大切」ということで……。
「52-8も52-6-2として考えるのか、40+(12-8)と考えるのか。それぞれ『減減法』『減加法』ともいいますが、引いて引いていくのか、引いてから足すのか、必要に応じて、いろいろある方法をうまく選べるようにしたいですね」

さらに、もう一つは、「式の意味の理解」。
「引き算は、計算のためだけでなく、思考の道具、説明の道具としても使われます。
文章題などで、複雑に書かれた内容をシンプルに表現するのが式でもあります」

そして、大人にわかりやすい例として、わり算の意味についてこんな解説をしてくれた。
「10÷2は、どんな意味でしょうか。10を2つに分けることですね。では、10÷0.5はどんな意味でしょうか。10を0.5に分けるというのは、大人でも多くの人がうまく説明できません。これは、式の意味を理解していないからです」
10÷0.5は、「10の中に0.5がいくつあるか」ということで、こう考えると、小数点の位置も間違えにくくなるわけだ。


「同様に、分数のわり算でも、1/2÷1/4も、『半分のピザの中に1/4のピザがいくつあるでしょう』と考えると、答えがすぐにピンとくるでしょう。このように、計算をひたすら練習するだけでなく、式の意味をよく理解することも大事なのです」
複雑すぎる小2の算数、それは大人が見ると「??」だけど、「より深い理解」のために必要なことのようです。
(田幸和歌子)

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