クリーニングに出したもの、みなさんすぐに取りに行っていますか?

たまに引換券などに、「○カ月以内にお引き取りいただかない場合は、責任を負いかねます」とか「○カ月を過ぎた場合、保管料をいただきます」といった記載もある。でも、それを過ぎても引き取りに来てもらえなかったクリーニング品って、最終的にはどうなるのだろう?

クリーニング業については、厚生労働省の定める「クリーニング業法」という法律があるが、同省に確認したところ、とくに預かり期限の規定はないという。
ということは実質、各クリーニング店にまかされている? あるクリーニング店に聞いてみると、
「期日を過ぎた場合、何度も電話などで連絡させていただきますが、なかには引っ越し等により連絡がつかない方もいらっしゃいます。2~3年経っても引き取りに来られなかったものについては、こちらで処分させていただいています」
さすがに2~3年経ったら預けたことも忘れていそうだけど……。

全国クリーニング生活衛生同業組合連合会の方にも話を伺った。すると、
「本来であれば預かっているクリーニング品には所有権があるので、勝手に処分するわけにはいかないんですよ」
と意外な答え。たしかに民法上は基本的に所有権に時効はない。

ならば前述のようなクリーニング店に数年後に取りに行って、預けたものが処分されていたら、賠償を求めることも可能?
「逆に損害賠償を求められる可能性がありますね」
長期保管によって、クリーニング店には余計な保管場所や手間がかかるからだ。
それで相殺されるか、場合によってはマイナスになることもあるかもしれない。

実際はクリーニング店の側から損害賠償を求めることは少ないにせよ(そもそも連絡がとれるのであれば、まず引き取りを促すだろうし)、こちらから賠償を求めれば逆に訴えられる可能性は充分にあるということだ。

またクリーニング業界では「クリーニング事故賠償基準」を定めており、そのなかで、“受け取りから90日経っても完成した品を客が受け取らず、かつ客の側に責任があれば、これによって生じた損害については賠償責任を免れる”としている。いずれにせよ、早く取りにいくことにこしたことはない。

全国には引き取りにこないクリーニング品に、頭を悩ませているクリーニング店も多いそう。自分の大切な衣類、忘れずに期日までに取りにいきましょう。

(古屋江美子)