ヨーロッパや北米など、世界の旅行者が利用する人気のインターネット・ネットワーク「カウチサーフィン」(CouchSurfing)。簡単に言えば海外旅行者がサイト内のメンバープロフィールを見て「あなたのウチに泊めてください」と事前にお願いするというもの。
ツアーを利用しない外国人旅行者や低予算で旅行がしたい若者にウケて、急速にメンバー数を増やしている人気サイトだ。

日本ではネットを通じて素性も知らない人を宿泊させるという行為に違和感を覚える人も多く、支持率は少ないが、メンバーだからといって宿泊リクエストを受け入れる義務は一切なく「泊めることはできないが会うぐらいならオッケー」を意味する「コーヒー オア ドリンク(Coffee or a drink)」の選択も可能だ。私も1年ほど前からメンバーで、様々な国の人と出会い大阪の街を案内してきたが、日本にいながらにして世界各地からの訪問者と話し文化のエクスチェンジができて面白い。「英語を話したい」「文化の交流に興味がある」という人にはお勧めだ。 

同サイトを使って世界各地を旅行している台湾人のヤン君は、アラスカのホストに会ってすぐ「僕は留守にするけど家は勝手に使っていいよ」と鍵を渡されて「いくらなんでも信用しすぎだろ?」と驚いたそうだ。ヤン君自身も世界各地でお世話になっているお礼として、ホストとして滞在先と食事を無償で提供しているという。
私が案内した人の中にはイギリス東部ノリッチの市長さんやアメリカ人作家もいたが、普段聞けないような話が聞けて楽しかった。数十人のカウチサーファーに、率直な意見や利用法を尋ねたら同じような答えが返ってきたので紹介しよう。

1. ヨーロッパや北米では比較的、泊めてくれる人も探しやすいが日本では難しい(ちなみにメンバー比率は約50%がヨーロッパ、約27%が北米、次は南米と続く)。だが、日本は英語の看板が少ないので、案内してもらうだけでも有難い

2. カウチサーフィンは互いに思いやりと信頼で成り立っていることを理解して、ホストに無理は言わないこと。ホスト側もできないことは、気を使わずはっきり言う必要がある

3. 現地の人と知り合うことで、普通の旅とは違う貴重な経験ができ視野が広がる

4. 世界中に友だちができる

5. 相手の素性を知らないという危険性もはらんでいるため、泊めてもらう時や会う時はレファレンスをチェックしたり、当人の名前や写真なども確認する必要がある。レファレンスが付いていない人や情報が少ない人は避けたほうがいい(レファレンスとは、一度泊まったり会ったりした人が、互いの印象を正直に評価してその人の自己紹介欄にアップすることができる機能。
当然、悪い評価の人もいる)

カウチサーフィンによると、無料で宿泊先を探すことだけが目的ではなく、海や大陸、文化を超えて人と人が絆を深めることなどを目的に運営している。ホストを探す時には注意も必要だが、信頼と思いやりで成り立つ「ウチ泊めて」システム。海外で実際に体験した時には改めて紹介したいと思う。
(山下敦子)