SCHNEEBALLEN(シュネーバレン)というドイツのお菓子をご存知だろうか。直訳すると「雪の玉」となり、シュネーバルとも呼ばれるこの食べ物は、中世の町並みが残るドイツの観光都市・ローデンブルクに行けば、どこでも見かけるポピュラーな商品。
平麺のような細長い生地をボール状に丸めて油で揚げたもので、砂糖がまぶされた姿はまさに雪の玉。また雪っぽくはないが、チョコレートでコーティングされたものも定番となっている。

日本ではあまり馴染みのないこのお菓子が、昨年からお隣韓国で爆発的な人気を集めている。韓国では「シュニバレン」と発音されるこの商品が、市内の百貨店に登場したのは去年8月のこと。当時ひとつしかなかった売り場は、長蛇の列ができる大人気となり、購入するのに2時間待つこともあったという。
9月からは株式会社SCHNEEBALLEN KOREA(シュニバレンコリア)が専門ブランドを立ち上げ、半年の間で韓国各地の百貨店60店舗に入店、3つのロードショップを展開するという大成長を遂げた。
同社によるとロードショップは今年中に100店以上に増える計画があるとのことで、勢いの止まらない人気商品といえる。

筆者も韓国で、噂のシュネーバレンを買って食べてみた。価格はひとつ3500ウォン(約300円)。見た目は可愛らしいのだが、食べるためにはお店に置かれたハンマーで叩き割らなければならないというのが、面白くもありもったいなくもある。プレゼントにするなら、無傷な姿を一度見てもらってから叩き割るのがいいだろう。
家に帰って紙袋を開け、そのかけらをひとくち食べると、見た目からのイメージより硬いというのが筆者の第一印象。
食感はかりんとうや瓦せんべいに近いかもしれない。しかし甘すぎない素朴な味わいがちょうど良く、コーヒーにも良く合い、ポリポリと食べていたら止まらなくなってしまった。

シュニバレンコリアにヒットの要因をお聞きすると、「ハンマーで割ることに、目新しさや楽しさを感じているようです」とのこと。かわいい筒のケースに入れるというのも、女性に受けている理由のひとつだ。
ちなみに、本家のドイツではシュネーバレンをハンマーで割ったりせず、これは同社のアイデアによるものだとか。もちろん専用のハンマーでなくても問題なく割ることができるが、欲しいという要望も多く、店頭販売もしている。


同社では、韓国に自社工場をつくりこのお菓子を生産し、現在14種のアイテムを展開している。定番のシュガーパウダーがまぶされたもの、チョココーティングがされたものの他に、韓国ならではの商品としてガーリックチーズ味なども開発した。
20~30代の女性を始めとして、広い年齢層に人気があり、日本や中国の観光客も噂を聞いて買いに来る人がいるとのことだ。

それにしても、もともと綺麗な形をしているのに、それをすぐ崩して食べるお菓子が、韓国でヒットするということに面白みを感じてしまう。盛り付けの美しい全州ピビンバを、均一になるまでよく混ぜて食べるのと、通じるものがあるように思うのは、筆者だけだろうか。
また、実際にドイツでシュネーバレンを食べた人の中には、ハンマーで割らずにそのまま食べられるほど柔らかかったという声があり、味についても韓国ならではのアレンジがされているようである。

本場のシュネーバレンもぜひ食べてみたいところだが、韓国化された「シュニバレン」も話の種に味わってみてはいかがだろう。
(清水2000)