デパート内の食料品店で買いものしていたときのこと。少し離れた棚の上の、黄色いパッケージに描かれた顔のイラストと目があってしまった。
近くにいってみると『うんと健康 あわたまオニオンスープ』という商品で、どうやら、そのイラストはたまねぎのキャラクターのよう。にっこり笑ったそのキュートな顔に惹かれ、そのまま買って帰ることに。

中身は商品名にもある、オニオンスープ。フリーズドライ製法により、お湯をそそぐだけで簡単に出来上がる固形タイプのもので、私が買ったものには4食入っていたのだが、その小分けのパッケージにも様々な表情をした、例の顔のイラストが! どれも愛らしい、そのキャラクターは“あわたまちゃん”という名前だった。さっそくスープも飲んでみると、甘みとコクがあってとても美味しい! ということで、さっそく“あわたまちゃん”とこの商品について知りたくなり、販売元の(株)コスモス食品に問い合わせてみたところ、営業の吉井敏治さんが丁寧に答えてくださった。

まず「あわたま」という名前の由来は?

「英語の“Our=私達”からとった“あわ”と、魂の“たま”で、『私達の思いを込めて作ったスープ』という意味が込められています。
また玉ねぎの産地と聞いて、北海道を浮かべる方も多いと思いますが、『あわたまオニオンスープ』には、甘くておいしいと評判で“王様のたまねぎ”とも言われている淡路島産の玉ねぎを使用していることから、淡路島の“あわ”と、たまねぎの“たま”を組み合わせた『あわたま』でもあるんです」

なるほど、「あわたま」の由来はいろいろとあるよう。ちなみに土壌が良いのはもちろんのこと、たまねぎ小屋で一時的に保管するなど、『あわたまオニオンスープ』に使用するたまねぎは、甘くするために様々な工夫を凝らして作られているそう。

(株)コスモス食品はフリーズドライのメーカーとして始めて40年。兵庫県に工場を持ち、たまねぎスープのほか、わかめスープ、卵スープの3つを主力商品として販売しているとのこと。そんななか、ひとつの商品を特化させたいと考え、今から約5年に誕生したのが、この『あわたまオニオンスープ』だったという。

「一見、子どもの落書きのようにも見えますが(笑)、実は“あわたまちゃん”のイラストは海外で活躍している芸術家が描いてくれたものでして。
もともと弊社の社長と交友関係があり、『あわたまオニオンスープ』を作るときにご協力いただいたんです」と吉井さん。

“あわたまちゃん”が、まさか芸術家によって描かれていたとは! でも、よく考えてみれば、シンプルだからこそ可愛くするのは難しいはず。ぱっと目が合っただけで惹き付けられてしまうのは、やはりプロの技なのかも、と妙に納得してしまった。ちなみに顔の表情は15種類ほどあり、1つの箱に、なるべく“あわたまちゃん”の表情がばらけるように入れられているとか。

ところで、『あわたまオニオンスープ』は、営業方法もユニークだった。2年ほど前に終了したそうだが、「あわたまを全国に広めたい!」という熱い思いから、新入社員が“あわたまちゃん”のイラストが描かれたワンボックスカー(その名も「あわたまカー」)に乗り、全国をまわってアピール。
スタート地点となった北海道のFM放送局に出演することだけ最初に決まっていたそうだが、あとは何の予定もなし。行き当たりばったりだったが、ご縁がご縁を呼び、最終的には全国で70局ものラジオに出演したり、試飲会を開いたりと、各地で出会うお客さんとの縁を感じながら、商品を広めてきたのだそう。

「『あわたま』はご縁がご縁を結んで広がったお客様の和(輪)なのです」と吉井さんも話してくれたが、ご縁により、あのヒットソング『メモリーグラス』で有名な歌手の堀江淳さんが『うんと健康 あわたま百面相』という曲を作曲し、歌ってくれたそう。しかもCDまで発売され、堀江さんが自身のコンサートで歌うこともあるとか! 

『あわたまオニオンスープ』のHPには、前述した新入社員によるブログが今も継続されているほか、あわたまカーで全国をまわった様子を記録した「あわたまマップ」や、全国の子どもたちが描いてくれた「あわたまちゃん似顔絵」コーナー、また『あわたまオニオンスープ』を使ったレシピのページなどもあって、かなりの充実度。“あわたまちゃん”もあちこちにいるので、目が合ったら、きっと気になってしまうはず!
(田辺香)

あわたまオニオンスープ あわたま百面相サイト