カラスが好きな女性は意外に多い。カラス愛好家の吉野かぁこさんは、カラスが好きすぎてカラスの雑誌『CROW’S』を自費出版したほどだ。
かぁこさんによると、読者の6割以上は女性とのこと。カラスというと、興味の薄い人にとっては「実は飼うことができる」「カラスの巣をガン見したらダメ!」など、知らないことだらけ。そこで、かぁこさんに、カラスの魅力と不思議な世界についてお聞きした。

カラスが好きすぎてカラスの雑誌を作った吉野かぁこさんとは


カラスが好きすぎてカラスの雑誌を作った吉野かぁこさんとは

※『CROW’S』巻頭写真ページより。
モデル:カラスが好きな福山理子さん
(女優、キャットファイター、日本プロ麻雀協会、オートバイライターなど。初代ミニスカポリス)
撮影:宮木和佳子 ヘアメイク:産屋敷麻美 
カラス:おこげちゃん

――巻頭写真のページでは、おこげちゃん(カラス)が福山さんになついてますが、カラスは人になつくんですか?
「まるで犬みたいになつきますが、カラスは人を選びます。
この写真を撮影した時は、福山さんにはものすごくなついてましたが、私にはサッパリ(涙)」
――そもそも、カラスって飼えるんですか?
「条件を満たした上で、自治体などに申請して許可が下りれば飼うことができます。ただし、野鳥なので条件は非常に厳しく、クリアすることはほぼ不可能です。おこげちゃんは、許可をもらって、しかるべき環境で飼育している人に飼われています。近所のことを考えても、カラスを飼うのは大変なので……」

たとえ、カラスのヒナが道端にいたとしても、基本的には触ってはいけないという。
「その場合も、遠くで親のカラスが様子を見ていることがあるので、そのままにしておきましょう」

ちなみに、カラスを飼っている人は、名前を付ける傾向があるそうだ。
「かーちゃん」「かぁこ」など、典型的な名前をつけている人もいるが、中には変わった名前をつけている人もいるそうで、その一例を紹介。


・羽郎(ハロー)
 (ストレスで禿げていたので羽が生えるようにという願いから)
・シロ(←反骨精神にあふれている)
・JUJU(ジュジュ)
・コンブ
・ヤタさん(八咫烏から)など。

「中には、18年以上、何代にも渡ってカラスを飼っている強者もいて本当に奥深い世界です」(かぁこさん)

飼ってはみたいけど、条件が非常に厳しくて難しい……となると、家で飼わなくとも野生のカラスだけでも観察したいと思う人も出てくるだろうが、かぁこさんは注意を促す。

「春から夏の間、カラスの巣をガン見してはいけません! カラスの個体の性格にもよるけど、人間が巣を狙っていると思ってカラスが襲ってくることがあるんです。たとえ、巣の中にカラスがいなくとも、どこかから見張っていることがあるので、絶対に巣を見ないほうがいいです。一眼レフカメラについている大きなレンズを向けた時などは、より危険です」

とはいえ、近所を歩いていても、カラスの巣をあまり見かけない気がする。
「神社の境内の木に作っていることがありますよ。
私はカラスの巣を見つけたら『赤ちゃんが生まれるといいな~』などと思うんですが、あまりジロジロ見ているとカラスを怒らせちゃうことがあるんで、心の中で願うばかりで、片思いをしているような気持ちです」

境内の木のまわりでそわそわしている人がいたら、かぁこさんかもしれない。

ちなみに、不幸にして人間がカラスに襲われる時は、背後から蹴られるケースが多いそうだ。
カラスの攻撃を甘くみてはいけない。
中には、カラスの攻撃がひどくてせっかく買った家を手放してしまった人もいるそうだ。

――何か防ぐ方法はありませんか?
「札幌カラス研究会の中村眞樹子さんによると、両手を上に挙げて静止するのがいいそうです。カラスは幅の狭いところは、羽に傷がつくと嫌なので、通るのを避ける傾向があるそうなんです」

カラスが好きすぎてカラスの雑誌を作った吉野かぁこさんとは

※イラスト:吉野かぁこ

――なんだか、やはりひとクセある生き物のような気がしますが、かぁこさんにとって、カラスの魅力は何ですか?
「なんといっても、太ももが可愛いんです。
向かってきた車をよける時に、反復横跳びのような動きでひょこひょこと動くところとか。あとは、暑い日にクチバシを開けたまま佇んでいるところですね。そうそう、水浴びしている姿も可愛いんですよ~。それから……」

挙げるとキリがないようだ。

と、ここまで書いておいて、最後にこんなことを明かさなくてもいいのかもしれないが、実はかぁこさんはもともと、カラスが大の苦手だった。ショック療法的にカラスを飼っている人に取材していくうちにカラスにハマっていったという。
今ではカラスの雑誌を立ち上げるようになり、はたまたカラスの写真を集めたフォトコンテスト『みんなのカラス写真アワード』(8月13日まで募集中)を開催するまでに。人生って、本当に分からないものだ。
(取材・文/やきそばかおる)


『カラス友の会』サイト
カラスの雑誌『CROW’S』販売方法、『みんなのカラス写真アワード』の詳細もこちらへ。
『CROW’S』は8月11日(月曜)新宿ロフトプラスワンで開催されるイベント『毒蟲』でも販売。
カラスが好きすぎてカラスの雑誌を作った吉野かぁこさんとは