千葉市「エスカレーター歩かないで」呼びかけ 歩行問題めぐりいまだ賛否わかれる
イラストとともに「歩かない 走らない」と4カ国語で書かれている(画像提供:千葉市)

「歩かない 走らない」――エスカレーターの乗り口に貼ってあるイラストの注意文だ。千葉市はエスカレーターでの歩行を控えるよう呼びかけるキャンペーンを始め、2月15日、「千葉都市モノレール」の駅内にPR用のシートを設置した。


公共交通機関でのエスカレーター利用時の歩行をめぐっては、以前から危険性が指摘されてきたが、賛成派と反対派の議論がたびたび起こるばかりで問題は解決していなかった。今回のような取り組みを自治体が行うのは珍しく、エスカレーター歩行問題はようやく決着に向かうのだろうか。

エスカレーターの安全な利用を促す気運


千葉市は昨年11月に「黄色い線の内側に立ち、移動手すりにつかまって乗る」「ベビーカー、カート、車いす、台車を乗せてはいけない」といったエスカレーターの利用方法を定めた指針を策定。その普及の一環として、今回のPRシート貼付けのほか、啓発ポスターの掲示を行なって周知を促している。
千葉市「エスカレーター歩かないで」呼びかけ 歩行問題めぐりいまだ賛否わかれる
エスカレーター乗口にPRシートを貼付している様子(画像提供:千葉市)

JRなど全国の鉄道事業者では、エスカレーターでは歩かないように呼びかけるキャンペーンは以前から行っていた。なぜいま市が実施したのか。

担当者によると、千葉市が出資している千葉都市モノレールも以前より啓発ポスターを掲出するなどしていたため、エスカレーターの安全な利用を促す気運が高まっていると認知していた。
加えて市民からの問い合わせもあり、千葉市でも何かできないかと検討した結果、今回の取り込みにつながったという。

しかし、すべての市民から受け入れられるわけではない。「よくやった!」と評価する声がある一方で、「世界各国でもエスカレーターでは歩いているのに何でそんなことしたんだ!」と疑問視する声もあったという。

エスカレーターは構造上、歩くことを想定していない


急ぐ人のためにエスカレーターの片側を空けて乗る習慣は、日本全国に浸透している。だが、歩行者による接触事故もしばしばある。エスカレーターの構造は、元々歩くことを想定しないこともあり、千葉市としては安全に利用してもらうのを優先したと担当者は答えてくれた。


エスカレーターの利用方法について、Twitterでも意見が分かれている。「(エスカレーターは原則として歩かないものなのだから)急ぐ人は階段を使え」「エスカレーターのスピードを速めろ」と歩くことを否定する人もいれば、「(歩く側に)立ってるとこっちがマナー違反しているような目で見られる」などと諦めている人も同じくらいいた。
エスカレーター歩行問題が解決するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
(上原しげお)