「郷に入っては郷に従え」という慣用句は、中国禅宗の歴史書「五灯会元(ごとうえげん)」に起源があるとされている。あるいはさらに古い時代に記された「荘子外篇・山木」の中の「入其俗従其令」という句に起源があるという説もある。
中国が起源の言葉であるため、当然中国にも同じ意味の言葉があり、中国語では「入郷随俗」と表記する。

 経済成長によって豊かになった中国人は近年、世界各国を旅行で訪れるようになったが、各国でマナー違反を繰り返しているところを見ると、決して「郷に入っては郷に従え」という教えを守れていないようだ。

 中国メディアの今日頭条は5日付で、日本を旅行で訪れたという中国人旅行客の手記として、中国人に対して「入郷随俗」と記された注意書きを日本で目にしたと紹介する記事を掲載し、日本を訪れる計画を立てている中国人に向けて「自分の言動は中国を代表しているということをいつも肝に銘じなければならない」と論じた。

 記事は旅行先の日本で撮影した1枚の写真を掲載、その写真には中国人旅行客に向けて「各位顧客請注意 入郷随俗 請遵守日本交通規則 禁止横穿馬路」と記された注意書きが映し出されている。この中国語を日本語に訳せば、「日本の交通ルールを守りましょう。道路の横断は禁止です」という意味であり、中国人旅行客に対して「郷に入っては郷に従え」の原則に従い、日本の交通規則を遵守し、横断歩道のない場所で道路を横切らないように注意を促す内容だ。


 記事は、日本ではこのような中国語の注意書きを「何度も見かけた」と説明し、こうした注意書きが至るところに存在しているのは、中国人旅行客がしょっちゅう日本のルールに違反した行動をとっているからだと指摘。中国人読者に対して「旅行先がどこであっても、自分の言動は中国を代表している」ということをいつも肝に銘じなければならないと提言した。

 自国に起源のある慣用句を用いて日本でのマナーに注意するように呼びかけられるのは、かなりショックなことであるに違いない。間違いを指摘された時に、行動を改めることができるかどうかに民度が現れるものだ。また、横断歩道のない場所で道路を横断するのは危険なことであり、日本では是非とも「入郷随俗」の精神を忘れないでもらいたいところだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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