Facebookの「いいね!」やTwitterの「ファボ」……ネットの海には、ボクたちワタシたちの承認欲求を満たしてくれる、素晴らしき“ポチッとワンクリック承認装置”が氾濫しております。

「あの子いつもファボってくれるからボクのこと好きじゃない?」「これはもうDM送ってナンパOKということ?」などと、ポチられた側をウハウハ誤解させてしまう、罪深いサービスでございます。


【ワンクリックお手軽承認ツールの原点とは?】


一方でポチッとする側も、「いつも見てるよアピール」や「先輩スゴイっすね! アピール」などなど意図があってポチる場合が大半。まるで太鼓持ち芸人のように、ビジネスライクなファボをしまくる“ファボ職人”さんも散見されます。
さてさて、このような承認装置の原点(?)といえば、「web拍手」ではないでしょうか! ひゃぁ〜、この単語を見ただけで自分の黒歴史が走馬灯のように……! 

【web拍手というサービスがあってだな】


「昔、管理人やってました」「大好きな管理人さんがおりまして」という人たちには、この気持ちが伝わるはずです。かつて魅了したweb拍手というサービスは、ほっこりとしていて、拍手を設置する管理人さんと、サイト訪問者の1対1の“愛”を確かめ合うツールだった……そんなようなものだった気がします。

公式によれば、web拍手のコンセプトは「クリックひとつで応援の気持ちを届ける」というもの。管理人さんがサイトに設置すると、閲覧した人が応援の気持ちをワンクリックで表明できるので、「わざわざダイレクトメッセージを送るのは気がひけるな」、「匿名で応援している気持ちを伝えたい」という場合に、とても理にかなったツールだったんです。


【管理人さんにとっても嬉しいツールだった】


もちろん、これは管理人さんにとっても同じ。ウェブ素材サイトや、自作イラスト公開サイト、待ち受け画像サイトや小説サイト……。こうした創作物の公開サイトを運営していた管理人さんにとって、自分の作品を見て、応援してくれている人がいるんだ、と実感できるツールがweb拍手でした。

当時、筆者をはじめとするサイト訪問者にとって、お気に入りサイトの管理人さんとは、まさに「神」というべき雲の上の存在。感受性が豊かすぎた中高時代、“憧れ”という感情はもう崇拝に近くて、ネット上の顔も年齢も知らない管理人さんを神格化していたように思います。

今思えば、学校から帰ってきてPCの前に座り、大好きなサイトの管理人さんにポチポチと「拍手」を送っていました。web拍手は匿名でもHN(ハンドルネーム)付きでも押すことができるので、今でいう「いいね!」や「ファボ」よりも、よりひっそりと応援してますぜ感というか、秘密の関係というニュアンスがあった。
それがヲタク的な感受性をビンビン刺激してくれたんですな。

【拍手すると限定イラストがもらえたり!】


とくにイラストサイトの場合、拍手してくれた人限定で待ち受け画像がもらえたり、「○○ちゃんありがとう!」と自分のHN入りのイラストがもらえたりしたんですよ。

管理人さんも拍手をもらえると俄然やる気がでるし、サイトのファンとしては「○○さんのオリジナルイラストが欲しいです! ずっと応援してます!(鼻息荒め)」といった純粋な気持ちで好意を伝えられたんですよね(-ω-。)

ちなみに、筆者が大好きだった作家さんは今、商業誌でマンガ家をされています。あのとき憧れだったお姉さまのマンガが書店に並んでいるんですよ……?(感涙)。

web拍手という言葉を見ると、黒歴史が思い出されてざわざわしちゃうけれど、やっぱり初期インターネットってサイコーだったなぁ〜。

(ヤマグチユキコ)